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船越幹央

Author:船越幹央
博物館で学芸員をしています。また、京都市内の大学で非常勤講師を務めています。
生れ育った京都の魅力を歴史・文化財・史跡を中心にお伝えします!
やっぱり、京都は奥深い。知れば知るほど、味わい深い。このブログを読んで、京都を歩いてみてください!

[主な取材等]
テレビ:NHK「ブラタモリ~京都~」、BS-TBS「高島礼子・日本の古都」、BS日テレ「片岡愛之助の解明!歴史捜査」ほか
新聞・雑誌:小学館「サライ」、朝日新聞、日本経済新聞ほか
見学会:「まいまい京都」ほか

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宇治の平等院にある隠れた見どころ(2) - 羅漢堂 -

宇治





浄土院羅漢堂


 禅宗様の建築

 平等院の境内には、天台宗の最勝院と浄土宗の浄土院という2つの寺院があります。今回は、浄土院にあるひとつのお堂を取り上げてみましょう。
 羅漢堂という建物です。鳳凰堂や観音堂など和様の名建築がある平等院で、これだけは異彩を放つ禅宗様です。時代はぐっと下り、江戸時代前期の建築。棟札によると、寛永17年(1640)とのことで、当地の茶師・星野道斎らが施主となっています。

 全体像は、以前取り上げた普済寺にある仏殿と同様、典型的な禅宗様です。

普済寺仏殿
【参考】普済寺仏殿(南丹市園部)

 見渡しますと、屋根は入母屋造本瓦葺、組物は出三斗で、普済寺のように組物ぎっしりの詰組ではありません。その下、中央には虹梁に大瓶束を立て、欄間は菱格子。扉は桟唐戸、窓は花頭窓ですね。
 全体のイメージは普済寺仏殿と似ていますが、細部はかなり異なっています。

浄土院羅漢堂
 組物と大瓶束

浄土院羅漢堂
 菱格子欄間と花頭窓

 禅宗様ですので、柱は上部が細くなる「粽(ちまき)」ですし、足もとには礎盤があります。

浄土院羅漢堂
 礎盤

 柱の真下の丸く加工した石を礎盤と呼んでいます。
 ところが中村達太郎博士は、かつて、通常の呼び方を否定して、<これは礎盤ではなく沓石(くついし)であり、その下の石が礎盤なのだ>と述べています(『日本建築辞彙』)。主張の根拠は定かでないのですが、いまふつうには一番下の石を礎石とか根石と呼んでいます。
 でも、中村博士のこういうこだわり、私は好きです。

 いずれにせよ、柱の上下にも禅宗様の特徴が表れています。


 十六羅漢を祀る

 堂内を見ますと、多くの仏さまが安置されています。真ん中におられるのは釈迦如来ですが、冠や瓔珞を付けている宝冠釈迦如来坐像です。そして、脇には十六羅漢像などが配されています。
 宝冠釈迦如来は、あまり見かけない仏さまです。冠や首飾り(瓔珞=ようらく)を着けておられますから一見すると観音さまのようですが、十六羅漢と一緒ということからもお釈迦さまだとわかります。
 宝冠釈迦如来と十六羅漢の組み合わせは、京都でいうと東福寺三門と同じ形ですね。東福寺三門の上層に上がってみると、幅広い室内にずらっと十六羅漢像が安置されており壮観です。

 羅漢は悟りを開いた高僧を指しますが、釈迦入滅に際して正法を伝えられた者ということで、禅宗では敬われ画像が数多く残されています。人数も、十六羅漢、十八羅漢、五百羅漢などがあり、残された図像にも東福寺の五百羅漢図(明兆筆)や萬福寺の十八羅漢像(范道生作)などがよく知られています。

 東福寺の三門内は、梁や天井が極彩色に彩られており、息を呑むような美しさです。この浄土院羅漢堂も同様に、室内が彩られています。柱や組物などには文様が描かれていますが、鏡天井には龍図が、そして須弥壇には蓮池や唐獅子が描写されています。特に龍図は退色も少なく、くっきりと姿を見せています。
 ふだんは堂内には入れないのですが(開いた扉から拝観できます)、なかなか愉しいお堂ですので、一度のぞいてみてください。



 浄土院羅漢堂(宇治市指定文化財)

 *所在:宇治市宇治蓮華(平等院内)
 *拝観:有料 (2012年9月3日~2014年3月31日に限り、大人300円ほか)
 *交通:京阪電車宇治駅より、徒歩約10分



 【参考文献】
 中村達太郎『日本建築辞彙[新訂]』中央公論美術出版、2011年(原著1906年)
 石田茂作『仏教美術の基本』東京美術、1967年
 「都名所図会」(『新修京都叢書』6、臨川書店、1967年)








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