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船越幹央

Author:船越幹央
博物館で学芸員をしています。また、京都市内の大学で非常勤講師を務めています。
生れ育った京都の魅力を歴史・文化財・史跡を中心にお伝えします!
やっぱり、京都は奥深い。知れば知るほど、味わい深い。このブログを読んで、京都を歩いてみてください!

[主な取材等]
テレビ:NHK「ブラタモリ~京都~」、BS-TBS「高島礼子・日本の古都」、BS日テレ「片岡愛之助の解明!歴史捜査」ほか
新聞・雑誌:小学館「サライ」、朝日新聞、日本経済新聞ほか
見学会:「まいまい京都」ほか

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門徒の寄付で建立された東本願寺の参拝接待所は、武田五一の設計





東本願寺


 お寺にある「休憩所」

 参拝者が多い大きなお寺には、休憩所があることが多いですね。この休憩所は、お茶を呈することから、昔は茶所と呼ばれていました。今でも、古い木造の茶所が現役で活躍しているところが多数あります。これについては、別の機会にじっくり書いてみたいと思います。

 今日は本願寺なのですが、西本願寺には古い茶所があり、「総合案内所」として現役で活躍しています。

西本願寺
  西本願寺 総合案内所(茶所)

 こちらでは、摂州接待講の皆さんがお茶の提供をなさっていて、誰でも無料でお茶がいただけます。

 東本願寺の場合、かつての茶所の位置に総合案内所があります。

東本願寺
  東本願寺 総合案内所

 ドアには「東本願寺お買い物広場」と大書されています。
 その名に恥じず、本願寺グッズが満載! 数珠や蝋燭のような伝統的な品々から、ロゴ入りのTシャツ、トートバッグといった現代モノまで、多種多様です。書籍類も充実していて、私などはそこで購入ですね。


 昭和初期にできた参拝接待所

 東本願寺の御影堂門を入って右手(北)には、古くは集会所(しゅうえしょ)がありました。明治以降、その場所に、門徒の志を受ける志納場(しのうじょう)が置かれました。

東本願寺平面図(大正11年)
  赤く囲ったところが志納場(『お寺まゐり』大正11年より)

 平面で見ると、建物の3方が少し突き出した造りです。

 昭和になって、この改築が計画されます。
 門徒の寄付により、京都帝大教授の武田五一設計で建築されたものです。

 以前購入した古書に、その内容を報じる新聞記事の切り抜きが挟み込まれていました。何新聞かは不明なのですが、昭和9年(1934)8月10日付の新聞です。

 十四間四面の大伽藍を建立
  東本願寺の志納場と法務局
   門徒の寄進廿[20]万円で

 東本願寺の大壇越岩田惣三郎氏の遺族諸氏が故人の供養のためとて十万円を東本願寺に寄進し、それを聞いた門徒の有力者三十氏が更に十万円を醵出[きょしゅつ]寄附したので、同本山では志納場と法務局を新築することに決し、まづ従来の志納場を取毀つてその後へ十万円を投じ、十四間四面の大伽藍を建立、写真のやうに殆ど外見はでき上つた。
 近ごろ防火が喧しくいはれるのでルンペンが縁の下へ入つて焚火などしない縁を基礎工事とスレスレにした所は伽藍建築に新機軸を出したものだといはれる。
 畳が三百畳敷けるので、正面に阿弥陀如来を安置し、その両脇に志納場と参拝部を設け、大部分は参詣者の無料休憩所として開設する。
 名前も『志納場』といふのはいかにも搾取機関のやうに聞こえるので参詣者休憩所といつたやうな名に改めるはずだし、殿舎拝観にも現在のやうに宗務所まで大廻りしなくてもこゝで受付けるやうにし、参詣者や団体旅行者に頗る便利になるはずである。
 なほひきつゞき現在の法務局を取毀つて新たに十万円を投じ法務局の建築に着手するが、これは両堂の裏になり、あまり他の伽藍との調和を必要とせず反対に防火の必要を痛感されてゐる。


 
 “『志納場』というのは、いかにも搾取機関のように聞こえるので、参詣者休憩所といったような名に改める”というのが、妙におかしく生々しいです。
 確かに、現在では参拝接待所となっています。

 また、“ルンペンが縁の下に入ってたき火などしないように、縁を基礎工事とスレスレにした”という話。確かに、こんな感じで……

 東本願寺

 基壇に密着して載っている造りで、縁の下がなくなっています。珍しいかも。

東本願寺

 こちらは、内部。

東本願寺

 写真の奥が志納場、手前が広い休憩スペースで、自販機なども設置されています。阿弥陀さんは、この左手に安置。東本願寺を開かれた教如上人に関する詳しいビデオも上映されていたりして、思わず見入ってしまいます。

 外観の細部を見ておくと、こんな雰囲気です。

 東本願寺
  花頭窓

 東本願寺
  ガラス入り菱格子

 全体の雰囲気としては、御殿風の抑えた意匠です。
 記事に「十四間四面」とあるのは、柱間のことではなく実際の長さが14間(約25m)あるということでしょう。

 現在は、この建物に隣接して真宗本廟視聴覚ホールが完成しています(設計・高松伸、1998年竣工)。
 東本願寺への参拝の際は、休憩を兼ねて訪ねてみるのもよいかも知れません。


 
 東本願寺 参拝接待所

 所在 京都市下京区烏丸七条上る
 拝観 自由
 交通 JR京都駅下車、徒歩約5分



 『真宗本廟 東本願寺』真宗大谷派宗務所出版部、2000年
 『お寺まゐり』博文館、1922年
 『京都名勝誌』京都市役所、1928年


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