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船越幹央

Author:船越幹央
博物館で学芸員をしています。また、京都市内の大学で非常勤講師を務めています。
生れ育った京都の魅力を歴史・文化財・史跡を中心にお伝えします!
やっぱり、京都は奥深い。知れば知るほど、味わい深い。このブログを読んで、京都を歩いてみてください!

[主な取材等]
テレビ:NHK「ブラタモリ~京都~」、BS-TBS「高島礼子・日本の古都」、BS日テレ「片岡愛之助の解明!歴史捜査」ほか
新聞・雑誌:小学館「サライ」、朝日新聞、日本経済新聞ほか
見学会:「まいまい京都」ほか

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藤森神社の旗塚は、腰痛平癒の効能が…

伏見




藤森神社


 勝運の神さま・藤森神社

 藤森神社は、戦前の社格でいえば府社なので、その北にある官幣大社だった伏見稲荷に較べると、格は高くはありませんでした。しかし、もとは伏見稲荷の位置にあったともいわれ、このあたりの古社でした。

藤森神社


 伏見稲荷大社もなかなか興味深い神社なのですが、藤森神社もそれに負けていません。
 境内にある「蒙古塚」や「かえし石(力石)」などの遺跡、5月に行われる駈馬(かけうま)神事など、武威に関係する事柄が多く、付近には陸軍の第16師団もあったわけですから、現在も“勝運の神さま”として信仰を集めるのも理解できます。

 駈馬神事は「都名所図会」巻五によると、次のように説かれています

「例祭ハ五月五日にして、産子ハ武具を着して走馬する事ハ、光仁帝の御宇、天応元年[781]に異国の蒙古、日本へ攻来るよし聞へたれば、[桓武]天皇、第二の皇子・早良親王を大将軍として退治あるべきよし宣旨を賜る。親王、当社に祈誓して五月五日に出陣し給ふ。神威いちじるしく忽ち暴風大いに吹来り、蒙古の軍船波にたゞよひ、悉く亡びうせたり。此の吉例によりて毎歳軍陣の行粧をなし天下平安の祷[いのり]とし給ふ。当社を弓兵政所といふは此の謂れによるともいふ」

都名所図会より駈馬神事 「都名所図会」巻五


 8世紀の奥州平定に関する伝えに関連づけたものですが、なんとなく鎌倉時代の蒙古襲来とダブってしまって、変な記述になっています。
 ちなみに、蒙古塚については、「当社森の中に七ツありとぞ。今詳らかならず。夷賊退治の後、軍将の首をここに埋て、神威を現し給ふなり」としています。

藤森神社
 蒙古塚


 神功皇后の「旗塚」

 「都名所図会」の藤森社の図。

都名所図会より藤森社 「都名所図会」巻五

都名所図会より藤森社
 
 上のクローズアップを見ると、本殿の右上に木の生えた小さな塚が描かれており、「旗塚」と注記されています。
 これが神功皇后ゆかりの遺跡なのです。

 今宮神社
 神功皇后と武内宿禰 (今宮神社の絵馬より)

 神功皇后が、いわゆる「三韓征伐」の帰路、ここに立ち寄り、戦さの旗と兵器を埋めたのがこの塚だといいます。つまり、ここが藤森神社の起源だということですね。

 藤森神社

 現在の姿です。「神功皇后 御旗塚」の石標が立てられ、イチイ(イチイガシ)の切株に注連縄が掛けられています。
 ここでは、イチイの異名である「いちのき」に敬称を付けて「いちのきさん」と呼ばれているそうです。
 イチイ(櫟)は、常緑針葉樹で、樹高は20~30mに達する木です。

 「山城名勝誌」には、「当社神主宅後園ニ旗塚ト云有、毎歳十一月朔日[ついたち]注連ヲ引、同二日、神供ヲ献テ祭之」とあります。


 「いちのきさん」は、腰痛に効く!

 いま、この旗塚が信仰されているのは、お詣りすると腰痛が平癒するからだそうです!
 私も少し腰痛のきらいがあるので、これを知った時はうれしく、思わずお守りを求めてしまいました。

 藤森神社腰痛お守り
 「腰痛除け 平癒 御守」

 寺社参拝や歩きで出掛ける時に使うリュックに付けています。
 新撰組の近藤勇もお詣りしたとは、よく言われるところです。

 それにしても、なぜ腰痛平癒なのか?

 不勉強でよく分かりません。

 腰痛とは、いわゆるギックリ腰などの類ばかりと思っていましたが(私もその口)、古くはそれだけでもなかったらしいのです。立川昭二さんの『日本人の病歴』などを見ると、「疝気(せんき)」が腰痛をもたらしたと記されています。疝気とは、昔よく行われた、ある種の症状に対する総称で、下腹などの疼痛を指すものだったようです。内臓疾患などが冷えたりして腰の痛みを引き起すことがよくあったそうで、「せんき腰いたみ」という表現も使われたとか。
 前近代の日本人の病のひとつですね。

 こんな腰痛と旗との関係が何かあるように思うのですが、今のところ思い付きません。
 もう少し調べてみようと思います。
 



 藤森神社

 所在 京都市伏見区深草鳥居崎町
 拝観 境内自由
 交通 京阪電車墨染駅下車、徒歩約5分



 【参考文献】
 「都名所図会」1780年
 立川昭二『日本人の病歴』中公新書449、1976年



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