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PROFILE

船越幹央

Author:船越幹央
博物館で学芸員をしています。また、京都市内の大学で非常勤講師を務めています。
生れ育った京都の魅力を歴史・文化財・史跡を中心にお伝えします!
やっぱり、京都は奥深い。知れば知るほど、味わい深い。このブログを読んで、京都を歩いてみてください!

[主な取材等]
テレビ:NHK「ブラタモリ~京都~」、BS-TBS「高島礼子・日本の古都」、BS日テレ「片岡愛之助の解明!歴史捜査」ほか
新聞・雑誌:小学館「サライ」、朝日新聞、日本経済新聞ほか
見学会:「まいまい京都」ほか

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近代京都の遊楽空間をさぐる - 加藤政洋編『モダン京都 <遊楽>の空間文化誌』-

京都本




  モダン京都 加藤政洋編『モダン京都』ナカニシヤ出版


  遊所の研究 

 4月に入って2週間が経ちました。
 今年度は、いつもに増して慌ただしく過ごしています。

 大文字山と桜 大文字山と鴨川とサクラ

 そんななか、『京都モダン <遊楽>の空間文化誌』という新刊を手にしました。
 編著者は、加藤政洋氏。

 加藤さんは、立命館大学で人文地理学を研究されています。
 若い頃は(いまもお若いですが)、大阪を拠点に研究され、最初の著書『大阪のスラムと盛り場』という本をまとめられました。

  大阪のスラムと盛り場 『大阪のスラムと盛り場』創元社

 私は、その頃からお世話になり、勤務先で講演いただいたりしました。
 都市の盛り場のような空間への関心は、その後も持ち続けられ、とりわけ花街(かがい)について調査を深められました。
 それは、古くは遊廓とも重なりますし、大都市だけでなく、ローカルな場所にも小さなところがあったわけです。

 著書には、『花街』や『京の花街ものがたり』などがあります。

  花街 『花街』朝日選書

 京都の花街研究である『京の花街ものがたり』は、祇園や円山などについて研究されていて、このブログでも何度か引用させていただきました。

  京の花街ものがたり 『京の花街ものがたり』角川選書

 また、戦後の赤線(売春防止法以前に公然と売春が行われていた地域)についても、新書を刊行されています。

  敗戦と赤線 『敗戦と赤線』光文社新書


 気鋭の地理学者の最新刊
 
 加藤さんの研究は、地理学者らしくフィールドワークに支えられつつ、文献史料にも目配りをされています。
 私も、京都や大阪の遊所について、多くを学ばせてもらいました。

 今回、ナカニシヤ出版から刊行される『京都モダン』は、加藤さんとその教え子さんらしい若い方との共同執筆になっています。
 祇園をはじめとする花街や、席貸などについて十数本の論考が収められています。

 目次は、次の通り。

  序 章 文学の風景を歩く
  第一章 京の<宿>-≪上木屋町≫の文人たち
  第二章 席貸と文学のトポロジー
  第三章 鴨川畔の山紫水明-≪東三本木≫の文人たち
  第四章 花街周辺の宴席文化-山猫・配膳・雇仲居
  第五章 廓の景観と祭礼-≪島原≫の太夫道中をめぐって
  第六章 祇園祭のねりもの-≪祇園東≫芸妓衆の仮装行列
  第七章 鴨川納涼の空間文化史
  第八章 祇園はうれし酔ひざめの……-≪祇園新橋≫の強制疎開
  第九章 「風流懴法」のあとさき-≪真葛ケ原≫の京饌寮
  第十章 縁切りのトポスと「愛の空間」-安井金毘羅宮とその周辺
  第十一章 紙屋川の料理茶屋-≪平野≫と≪北野≫のはざまで
  終 章 <地>と<図>のあいだに  


 第二、第十章は住沢杏子さん、第六章は三浦実香さん、第七章は加藤千尋さんが執筆されています。

 吉井勇、高浜虚子、近松秋江など、京都に遊んだ文化人も多数登場、その著作から引用がなされています。その点、文学色も濃い一書ですね。
 これからじっくり読ませていただきますが、序章に記された編者の言葉を引いておきましょう。

 本書は、文学作品、地図・絵図、そして古写真などを材料にして、モダン京都における<遊楽>の風景を探訪しながら、都市空間の随所に埋もれた場所の意味と系譜を掘り起こす試みである。
「<宿>と<文学>のトポロジー」、「景観とスペクタクル」、「花街周辺の<遊楽>」という、三つの主題から構成され、いずれの章も京都を訪れた文人たちの足取りをたよりに、<遊楽>をめぐる場と連関する歴史空間へとわけいってゆく。(7ページ)


 前著『京の花街ものがたり』は江戸時代の記述も多々あったので、それと対にして読むと、より楽しめるでしょう。




 書 名  『モダン京都 <遊楽>の空間文化誌』
 編 者  加藤政洋
 刊行者  ナカニシヤ出版
 刊行年  2017年 



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