【駅から、ふらっと1時間】京阪・三条駅から東へ、三条通界隈を歩く(その2)
|洛東|

増えていく更地
前回、三条京阪の駅をスタートし、篠田屋や檀王法林寺をのぞいてみました。
さらに、東へ向かいます。

三条通 東を望む
道路右側(南側)の空地は、いろは旅館が建っていたところです。
いろは旅館は、2015年12月に閉館しました。
私は京都に住んでいるので泊まったことはありません。修学旅行生などがよく宿泊していた印象です。旅館の前には空港バスのバス停があって、ここから早朝、伊丹空港へ向かったことをなぜか覚えています。
跡地には、ホテルが建設されるということです。
2軒の家屋
いろは旅館跡の東側に、2軒の木造家屋があります。

長屋のような二階屋。
実は、右の建物は有名で、「伏見」という居酒屋でした。

看板に「味の店 伏見」とあります。
ここも入ったことがないのですが(すみません)、BSの「吉田類の酒場放浪記」などで見たことがあります。
カウンターのある狭い店で、ボリュームのある料理を出す店と見受けました。
こちらも、2016年5月末に閉店。
京都新聞によると、昭和30年(1955)頃から60年にわたって営業してきたと言います。
2軒の家の間には、路地があったようです。

入口の上には、今では無用になった奥に住んだ人たちの表札が掛けられていますね。

壁も年季が入っています。
この2軒の隣りには、フェンスが立てられています。

その向こうには広大な更地が拡がっています。

先ほどの新聞記事には、「道路や公営住宅を整備する市の住宅地区改良事業」が行われると記されています。
この空地にも、近いうちに高層住宅が建つのでしょう。
さらに東へ
「伏見」から東へ進むと、仕出し店の辻留(北側)や、千鳥酢の村山造酢(南側)など、特徴ある顔ぶれが。

茶懐石 辻留

村山造酢
辻留は明治35年(1902)の創業。初代は辻留次郎、二代目は有名な辻嘉一です。
仕出し店は、いわば “出張” して料理を出されるので、店構えは普通の仕舞屋です。でも、名店であるのが京都らしい。
仕出しは、京阪でよく使われるもので、家などに料理を取るスタイルですよね。辞書には「料理などを、注文に応じて調理して届けること。また、その料理」とあります(『日本国語大辞典』)。
京都には仕出し屋さんが多いので、街を歩くときに気を付けて見るとおもしろいと思います。
一方、村山造酢は、江戸中期の享保年間からご商売をなさっていると言います。なにげない店でも老舗が多いという、こちらも京都らしいですね。
だいぶん前に社屋を建て替えられたのですが、古い建物のときは三条通に酢のにおいが漂って、少しばかり強烈な印象でした(笑)
道沿いを見るだけでも、あきない三条通。
こういうなにげない通りを歩き、ちょっとだけ脇にそれながら歴史を考えることが、実は大切。目的地に一目散ではなく、できるだけキョロキョロ、ウロウロして、感じることが大事です。
そうこうするうち、左側にこんな標柱がありました。

「本山 要法寺」。
ここもちょっとおもしろいのですが、つづきは次回に。
(この項、つづく)
伏見
所在 京都市東山区三条大橋東入ル二町目
見学 外観自由(営業は閉店)
交通 京阪「三条」下車、徒歩約3分
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