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船越幹央

Author:船越幹央
博物館で学芸員をしています。また、京都市内の大学で非常勤講師を務めています。
生れ育った京都の魅力を歴史・文化財・史跡を中心にお伝えします!
やっぱり、京都は奥深い。知れば知るほど、味わい深い。このブログを読んで、京都を歩いてみてください!

[主な取材等]
テレビ:NHK「ブラタモリ~京都~」、BS-TBS「高島礼子・日本の古都」、BS日テレ「片岡愛之助の解明!歴史捜査」ほか
新聞・雑誌:小学館「サライ」、朝日新聞、日本経済新聞ほか
見学会:「まいまい京都」ほか

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西国三十三所、秘仏の観音さま御開帳を参拝 - その1・革堂 -





革堂


 「西国三十三所 草創1300年」

 関西一円に拡がる観音霊場・西国三十三所。
 西国三十三所札所会では、2018年を草創1300年と位置付けて、今年から5年間にわたって各札所寺院で特別拝観を行っています。

 この草創1300年というのは、大和・長谷寺の僧・徳道が、一旦絶命した際、閻魔大王に観音巡礼を勧められ、蘇生後、それを人々に広めたという伝えに基づいています。これが養老2年(718)のことで、それから1300年というわけです。

 西国三十三所の始まりについては、よく知られるように、花山法皇の巡礼に求める考え方があります。これは、寛和2年(986)のこととされます。ただ、学問的には法皇が三十三所を巡拝された確証はありません。
 「寺門高僧記」などの史料に基づけば、三井寺の行尊(1057-1135)の巡拝、さらには同じく三井寺の覚忠(1118-1177)の巡礼に起源が求められます。特に、覚忠が応保元年(1161)に行った三十三所巡礼が、史実として認め得るとされています。
 もちろん、これらの説は学問的な考えであり、信仰上の伝えはそれとは異なった位置にあります。

 ちなみに、巡拝の順序は、覚忠のときには、1番目は現在と同じく那智山ですが、33番目は三室戸寺で、今とは異なっています。現在の順番に定まってくるのは、室町時代のこととされています。


 革堂を訪ねて

 「寺門高僧記」に記された覚忠の巡礼では、どの寺院でどのような仏さまを拝したのかも記録されています。
 京都の諸寺は、順序が遅く25番以降ですが、次のようになっています。

 25番 上醍醐    准胝観音
 26番 東山観音寺  千手
 27番 六波羅蜜寺  十一面、又は八尺丈六千手
 28番 清水寺    千手
 29番 六角堂    金銅三尺如意輪 或記に云く金剛三寸如意輪
 30番 行願寺    八尺千手

 そんな中、先頃、2つの霊場寺院の本尊開扉に参拝する機会に恵まれました。
 十八番 六角堂頂法寺と、十九番 革堂行願寺です。

 十九番の革堂では、10月30日から11月13日にかけて、特別内拝が行われています。

 革堂
  革堂(行願寺)

 正しくは行願寺と言いますが、革堂(こうどう)の名で通っています。
 寺町通に面していて、町なかにあるこぢんまりとしたお寺です。

  革堂石標

 門前の石標には「西国十九番札所」とあるとともに、「一条かうだう(革堂)」と記されています。もともとは、一条油小路にあったためですが、長く一条革堂とも通称されました。

 門をくぐると、目の前に本堂があります。

 革堂

 江戸後期らしい、にぎやかな屋根のお堂です。


 秘仏・十一面観音を拝す

 革堂にはよくお詣りしますが、いつもは吹き放ちの外陣より拝する形になりますので、お前立ち(秘仏の御本尊の前に立っている仏さま)すら見えません。
 今日は、御本尊の特別開扉ですので、お厨子を開けて秘仏を拝することができるのです。

 革堂の御本尊は、十一面観音立像です。
 三十三所霊場の御本尊は、全体の約4割が千手観音です。ついで十一面観音、如意輪観音(いずれも2割弱)、さらに聖観音と続きます(『西国三十三所霊場寺院の総合的研究』)。
 千の慈眼、慈手を持つ千手観音が、その霊験から最も多く祀られたのでしょうか。

 拝観料を納めて、堂内に入ります。
 外陣の格天井には、花鳥の彫り物があり、ほほえましい感じがします。
 奥に進むと、内陣のお厨子が開扉されており、中に千手観音が立っておられます。

 お厨子の脇には、お前立ちがおられるのですが、少しお姿は違うようです。

 御本尊は、行円上人が賀茂社の霊木を彫って造られたと伝えられています。
 史料には、像高は8尺(約240cm)などとされています。前に見える手は、合掌されている手と、宝珠を持っておられる手があります。脇から出ている数多くの手は持物を持っておられますが、その腕にはびっしりと小さな掌が張り付いています。珍しい姿です。
 造立時期は、康永4年(1345)の火災後の再興と考えられており、14世紀頃のものと考えられるということです(前掲書)。

 実際に拝すると、立像なので少し見上げる形になります。
 全身黒っぽく見え、たぶん古くは蝋燭や護摩の煤に触れていたのではないかと感じられました。光背や台座は鮮やかに彩色されており、仏さまとは異なった印象です。

 こちらの特別拝観は、アットホームな雰囲気というか、参拝者同士が話をしたり、受付係の方に話し掛けたりと、なごやかでした。私も、腕に張り付いた掌のことを先にお詣りしていたご婦人に教えていただきました(笑)
 
 例年は、1月17日、18日に開扉されるそうですが、通常通り外陣からの参拝になりますので、御本尊のお姿は拝せないと思います。御開帳は33年に1度ということです。
 今回は、たいへんありがたい機会でした。

 つづいて、六角堂に参拝してみようと思います。

(この項、つづく)




 行願寺(革堂)

 所在  京都市中京区寺町通竹屋町上ル
 拝観  自由(御本尊は秘仏)
 交通  京阪電車「丸太町」下車、徒歩約5分



 【参考文献】
 佐和隆研『西国巡礼 三十三所観音めぐり』現代教養文庫、1970年
 浅野清編『西国三十三所霊場寺院の総合的研究』中央公論美術出版、1990年
 

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