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船越幹央

Author:船越幹央
博物館で学芸員をしています。また、京都市内の大学で非常勤講師を務めています。
生れ育った京都の魅力を歴史・文化財・史跡を中心にお伝えします!
やっぱり、京都は奥深い。知れば知るほど、味わい深い。このブログを読んで、京都を歩いてみてください!

[主な取材等]
テレビ:NHK「ブラタモリ~京都~」、BS-TBS「高島礼子・日本の古都」、BS日テレ「片岡愛之助の解明!歴史捜査」ほか
新聞・雑誌:小学館「サライ」、朝日新聞、日本経済新聞ほか
見学会:「まいまい京都」ほか

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53年の歴史を閉じるーーさようなら、京都府立総合資料館





京都府立総合資料館


 半世紀にわたる歴史

 数年前から分かっていたけれど、なんとなく目をそらしていた日がついに来たーーそんな気持ちです。

 京都府立総合資料館は、地下鉄「北山」駅の真上にあります。
 昔の感覚では、ここは前萩町(まえはぎちょう)と言って、今でも京都バスのバス停は「前萩町」ですね。
 でも、総合資料館は前萩町にあるのではなく、植物園や府立大学とともに半木町(なからぎちょう)にあります。前萩町の西向いが半木町なのです。
 以前は、総合資料館と府立大学の間には、府大の広い農場があって、のどかな雰囲気も漂っていました。

 京都府立総合資料館
  全景(東側から望む)

 総合資料館が開館したのは、昭和38年(1963)11月15日です。
 オープン当初は、図書館、文書館、博物館の機能を担いました。いまでこそ、京都文化博物館も出来たし、府立図書館も改築されましたが、それは随分のちのこと。私が学生の頃でさえ、府立図書館はあの小さな古い建物だけで、文博もまだなくて、平安博物館が旧日銀の煉瓦造の建物に入っていました。
 総合資料館は、府立図書館の蔵書の大部分を引き継いで開館したのだそうです。

 展示施設という面でも、私の学生時代には、北側から入った階段の上の部屋で展示を行っていました。
 おそらく文博が出来るまで開催されていたのではないでしょうか。時折見に行った気もします。

 そういった経緯については、50周年の時に館内見学会が開かれ、説明されました。私も参加してレポートを書きましたので、そちらをご参照ください。

 記事は、こちら! ⇒ <京都府立総合資料館は、2013年11月、開館50周年を迎えた>

 京都府立総合資料館
  京都コンサートホール側(南)から望む


 総合資料館の思い出は……

 いま改めて資料館のことを思い出してみると、なぜか、これといった思い出が湧いて来ません。
 取り立てて強く記憶に残っていることもないし、うれしかったこと、いやだったこと、そんなことも何もない。ただ、淡々と日常的に使っていたーーそんな気がします。

 もちろん、資料を調べていて、これはっ! と思ったことは幾度となくあるはずですが、それも平常のことなので、何も覚えていないのです。

 50周年の見学会の記事で、私はこう書きました。

 今回はバックヤードを含む館内を見学、説明いただく機会を得て、これまで総合資料館のことを全然知らなかったことを知りました。30年間、まったく無意識に使っていた自分が恥ずかしい。でも、無意識に使わせてくれていたところが、すばらしい。

 何もかも「無意識に使っていた」。
 これが私にとっての総合資料館。
 資料館があるのも当たり前、そこで調べるのも当たり前。受験浪人そして大学生の頃から、30数年間使ってきた。
 その当たり前が、終わるのです。

 京都府立総合資料館
  北山通から入ったところ(北東側)


 懐かしいカードボックス

 そんな日常の中で、私が覚えているのは、資料の情報がデータベース化される前、図書カードによって資料を探していたことです。
 資料館のカードボックスは、閲覧室入口のホールにあり、確かグレーのスチール製だったのではないでしょうか。
 それがスペースの両側に並んでいたのです。

 京都府立総合資料館
  旧目録室 

 『資料館の建物探訪』(大塚活美氏執筆)によると、この場所は目録室と呼ばれていたそうです。
 カード式目録が置かれている部屋であり、閲覧室に接続されていました。
 私にとっては、ノート片手に、ここでカードを繰って本を探すのが、いつもの仕事でした。

 総合資料館に限らず、どの図書館でも思い出深いのはカードボックスです。
 現在の検索とはまた違った、意外な資料との出会いがあったカードの世界。
 とりわけ、分類番号によって、そのジャンルに属する本をしらみつぶしにチェックしていったことが懐かしいです。キーワード検索よりも、おそらく優れていると私には思われる分類による検索が、学生時代の日常でした。

 総合資料館では、平成13年(2001)年から、蔵書検索端末OPAC による検索に移行したそうです。

 京都府立総合資料館
  正面玄関


 学習室と休憩室

 私が最初に資料館を利用したのは、受験浪人時代の学習室(自習室)利用だったと思います。つまり、18歳の頃ですね。
 通っていた予備校と自宅のほぼ中間に資料館があり、友人らと利用したのでした。

 以前も書いたのですが、私は自習室で勉強するのが好きではなく(笑)、ここの自習室でも余り集中できなかったのかも知れません。

 京都府立総合資料館
  学習室 1階北側にある

 でも、その脇にあった休憩室は、カップ式のコーヒー自販機があって、よく飲んだ記憶があります。
 あと、無料の水飲み機も長らくあったと思います。
 このスペースは、開館当初は「スナック国際」という食堂だったそうです。へんな名前ですが、京都国際ホテルが営業していたからだそうです。昭和50年(1975)に閉店しているので、私は知りません。

 京都府立総合資料館
  休憩室  昔は食堂だった


 玄関ホールと階段

 書いていると、だんだん昔のことを思い出します(笑)
 こちらが玄関です。

 京都府立総合資料館
  玄関

 玄関は東向きです。いまは見えませんが、たぶん開館当時は真正面に比叡山が望めたことでしょう。
 前の通りは下鴨中通です。2車線の狭い道路ですが、当時、北側の北山通は拡張整備中だったそうで、こちらがメインの通りでした。

 玄関を入ると、職員さんが座っていて、そこで入館票をもらったのだと思います。
 カバンは持ち込めない(昔の図書館はどこでもそうでした)ので、左側(南側)のロッカー室に預けました。
 『資料館の建物探訪』によると、BDSシステム(図書持ち出し防止装置)が閲覧室入口に設置されたのは、昭和63年(1988)とのことです。記憶では、もっと最近までロッカー方式だった気もするのですが、ずいぶん前でしたね。

 それと入口ですが、『建物探訪』にも書いてあるのですが、ずっと中央ではなく左側のガラスドア(上の写真には写っていません)から入っていました。その方が、左側にあるロッカーが近く、勝手に? 階段を上がって入館されるのを防げるからでしょうか。

 京都府立総合資料館
  階段

 建築的な見どころのひとつは、この階段でしょう。正面玄関を入った真正面にあります。
 上って行くと、左右に振り分けます。昔は、どっちを上るか迷いました(笑)が、いまはいつも右から上ります。
 以前の見学会で聞いた話では、左右の段数が1段違うということです。

 階段の左右に、ブロンズ像の女性がたたずんでいます。
 これは、しげしげと見たことは一度もなく、あることだけ知っています(閲覧目的で来ているので、気が早っている)。
 向かって右の像は「花」。杉村尚(京都教育大名誉教授)作。確かに、花を持ってる。
 左は「潮騒」。山崎正義(同)作。裸婦像です。

 階段の向こうには中庭があって、これは自然に目に入るのですが、天橋立をモチーフにした庭で、関口鍈太郎(京大名誉教授)の作です。この関口教授が知人のおじいさんということで、いつも親しげに眺めます。


 というふうに、思い出すままにいろいろ書いてきましたが、だんだん書くことも尽きてきました。
 ほんとうに閉館するのでしょうか。まだ信じ難いものがあります。

 新しい施設は、資料館の南、コンサートホールを隔てたところに開館します。建物も、3年がかりで竣工しました。
 「これまでの資料館機能に、「京都学」研究支援機能を加え、京都の歴史、文化等に関する新たな学習、交流の場」となるそうです(「資料館だより」188号)。

 名称は「京都学・歴彩館」。
 2016年12月に、京都学に関する施設を一部オープンし、資料の閲覧室は2017年度の早期に開室すると発表されています。

 職員のみなさんは、閉館後もお忙しいと思いますが、引き続きよろしくお願いしたいと思います。

 総合資料館、開館から53年。
 私の年齢と近いのでよく分かりますが(笑)、だんだん疲れが出てくる年頃ですよね。そろそろ休むのも、いいかも知れない。

 とりあえず「おつかれさま」の言葉を掛けたいと思います。

 京都府立総合資料館




 京都府立総合資料館

 所在  京都市左京区下鴨半木町
 利用  2016年9月13日まで供用(9月14日から閉館)
 交通  地下鉄「北山」下車、すぐ



 【参考文献】
 『資料館の建物探訪』京都府立総合資料館、2013年
 「総合資料館だより」188号、189号、2016年7月、9月
 

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