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船越幹央

Author:船越幹央
博物館で学芸員をしています。また、京都市内の大学で非常勤講師を務めています。
生れ育った京都の魅力を歴史・文化財・史跡を中心にお伝えします!
やっぱり、京都は奥深い。知れば知るほど、味わい深い。このブログを読んで、京都を歩いてみてください!

[主な取材等]
テレビ:NHK「ブラタモリ~京都~」、BS-TBS「高島礼子・日本の古都」、BS日テレ「片岡愛之助の解明!歴史捜査」ほか
新聞・雑誌:小学館「サライ」、朝日新聞、日本経済新聞ほか
見学会:「まいまい京都」ほか

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【新聞から】シンクロナイズドスイミングの活躍を支えた京都の水泳界と踏水会

洛東




旧夷川船溜り



 シンクロチーム「銅」 「お家芸」京滋が支える
 京都 2016年8月21日付 


 リオ五輪も、大きな盛り上がりをみせてフィナーレとなりましたね。
 日本選手の活躍も目覚ましく、テレビに釘付けになっていた方も多いことでしょう。

 中継を見ていると、選手の出身地での応援風景がよく映し出されます。
 おそらく、地方新聞でも地元選手の活躍を報じているのでしょう。

 京都新聞は、京都と滋賀が配達エリアなので、両府県の出身選手を大きく報道します。
 銀メダルを獲得した陸上 4×100mリレーで、3走を務めた桐生祥秀選手(東洋大)は、滋賀県彦根市出身、京都・洛南高校卒なので、8月21日付の1面には「桐生、魂の疾走」の大見出しと、桐生選手を中心にした写真を掲載しています。
 また、私の中学校の後輩(といっても20歳くらい下)の上田藍選手がトライアスロンに出場しました。残念ながら満足いく結果は出せませんでしたが、捲土重来、東京五輪を目指すと言います。

 一方、シンクロナイズドスイミングでは、滋賀県近江八幡市出身の乾友紀子選手がクローズアップされていました。

 8月21日付の社会面では、<シンクロチーム「銅」 「お家芸」京滋が支える> の特集を組んでいます。
 見出し通り、シンクロナイズドスイミングの発展に京都のシンクロ界が大きな貢献をしてきたことに触れ、特に京都踏水会(とうすいかい、左京区)の存在が大きいと指摘しています。

 踏水会とは風変りな名称ですが、伝統ある団体です。明治29年(1896)に大日本武徳会の遊泳部として発足しました。
 当時、京都にも水泳教育が必要だと考えた財界人・高木文平らは、前年できた大日本武徳会に水泳部門を設けたのでした。その場所は、琵琶湖疏水の流末のひとつ、夷川船溜り(夷川ダム)だったのです。
 この場所は、平安神宮と鴨川の間に当たります。

 夷川ダム
  旧夷川船溜り (夷川ダム。東方を望む)

 大日本武徳会は、平安神宮の西隣にありました。現在の京都市武道センターのところで、明治32年(1899)築の旧武徳殿は重要文化財に指定されています。
 そこから、夷川船溜りまで、西に僅か300mほど。ごく近く、広い水面で、最適の場所ですね。
 戦前生まれの私の父なども、かつてここで泳いだことがあるそうです。この屋外水泳場は、昭和45年(1970)まで使われていました。

 大日本武徳会の遊泳部は、終戦後、武徳会の解散により、社団法人の踏水会となりました。京都で「トウスイカイ」というと、かなりメジャーな存在です。

 武徳殿
  旧武徳殿

 京都新聞の記事によると、踏水会は、バルセロナ五輪(1992年)ソロ、デュエットで銅メダルの奥野史子さん以来、9人の五輪代表を輩出していると言います。その秘訣として「クロールなど近代泳法のみを教える一般的な水泳教室とは違い、立ち泳ぎなど日本古式泳法の習得」も課すところが大きく、体操やダンスの指導者もおられます。
 現代表監督の井村雅代氏との関係も深く、踏水会から井村シンクロクラブへ進む選手も多いそうです。

 どの種目でも同じですが、よい練習環境と優れた指導者、そして経済基盤の充実は、競技の振興に不可欠です。
 先日、女子ホッケー決勝(オランダ-イギリス)を見ていると、世界有数のホッケー大国オランダには、国内に人工芝コートが約1,300面あると言っていました。日本とは、文字通りケタ違いの充実ぶりで、幼少時よりスティックを握り、トップを目指します。

 今回の五輪を見ると、日本でも徐々に競技環境が整ってきていることが理解できますが、手弁当、道半ばの種目も多いようです。東京五輪に向けて、その向上を願わないではいられません。




 旧夷川船溜り(夷川ダム)

 所在 京都市左京区聖護院蓮華蔵町
 見学 自由
 交通 京阪「神宮丸太町」下車、徒歩約5分
 


 【参考文献】
 岡田昌彰ほか「夷川船溜りにおける水泳場としての空間再利用の変遷に関する研究」(「ランドスケープ研究」77-5、2014年)


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