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船越幹央

Author:船越幹央
博物館で学芸員をしています。また、京都市内の大学で非常勤講師を務めています。
生れ育った京都の魅力を歴史・文化財・史跡を中心にお伝えします!
やっぱり、京都は奥深い。知れば知るほど、味わい深い。このブログを読んで、京都を歩いてみてください!

[主な取材等]
テレビ:NHK「ブラタモリ~京都~」、BS-TBS「高島礼子・日本の古都」、BS日テレ「片岡愛之助の解明!歴史捜査」ほか
新聞・雑誌:小学館「サライ」、朝日新聞、日本経済新聞ほか
見学会:「まいまい京都」ほか

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京町家と行事からみた祇園祭の姿とは? - 谷直樹ほか『まち祇園祭すまい』 -

京都本




  まち祇園祭すまい 『まち祇園祭すまい』(思文閣出版)


 宵山に訪ねたい鉾町の町会所

 7月になり、祇園祭の本を紹介するシリーズになっていますが…… 意外に祇園祭の細かなところは知られていないようなので、もう1冊紹介してみましょう。

 谷直樹・増井正哉編『まち祇園祭すまい』(思文閣出版)です。
 副題に「都市祭礼の現代」とあり、山や鉾を出す町内の現在について、調査をもとにまとめています。

 巻頭に、60ページにわたるグラビアページがあります。

  都市祭礼・祇園祭
  町なみの演出
  京町家と屏風祭
  町会所と会所飾り


 そのあとに続く本文の目次は、次の通り。

  第1章 都市祭礼としての祇園祭
  第2章 町会所と会所飾り
  第3章 山鉾町の町家とそのなりたち
  第4章 屏風祭の変遷
  第5章 宵山飾りの民俗空間
  第6章 都市祭礼における空間利用と演出
  第7章 まち祭すまい 


 本書でとても勉強になるのは、宵山などで私たちが訪れる町会所(ちょうかいしょ、会所)について、詳しく紹介されているところです。

 町会所の建築は、大きく2つに分かれると言います。
 ひとつめのタイプは、建物が通りに面しているもの。そのため、宵山の際には、1・2階の建具や窓を開放して、人形などの飾り物を見えるようにしています。本書では「表棟型町会所」と呼んでいます。

 山伏山会所 表棟型町会所の例(山伏山町会所)

 もうひとつのタイプは、通りに面した部分は普通の町家風ですが、脇に路地があるもの。路地を奥に入って行くと、そこに町内の人たちがおり、飾り物があったりお守りを頒けていたりします。「奥棟型町会所」と呼ばれています。

 霰天神山会所 奥棟型町会所の路地(霰天神山町会所)

 この2つのタイプの会所が鉾町に混在しており、最近ではビルに改築された会所も増えてきています。

 宵山に行くと、各町会所のご神体やさまざまな飾り物に目を奪われるのですが、建物のスタイルに注目してみるのも面白いかも知れません。
 

 かつての屏風祭

 宵山に特徴的な屏風祭についても調査しています。
 屏風祭は、すでに江戸中期には盛んに行われていたようで、明治時代になると行う地域は減少傾向にあったものの続行されていきました。
 本書の記載で興味深いのは、明治後半ともなると、新聞に「御屏風拝見」などといった記事が掲載され、各戸が “展示” する屏風を具体的に紹介することです。
 例えば、明治35年(1902)には次のような屏風が出されています(一例です)。

 伊禰太 応挙筆「松鶴屏風」、光琳筆「竹四曲金屏風」など
 千總  友松筆「琴棋書画屏風」、南蘋筆「群鹿屏風」など
 市田  呉春筆「漁夫」
 鳩居堂 大雅堂「山水屏風」
 伊藤  栖鳳「烏図金屏風」など 

 
 円山応挙、呉春などの四条派を中心とする近世絵画がほとんどで、同時代(明治時代)の画家は竹内栖鳳や岸竹堂など僅かだと言います。
 上記は一例ですが、こういったものが新聞記事になって関心を持たれていたところが、なんだか京都らしいというか、おもしろい現象だと思います。

 宵山風景


 京町家を味わう祇園祭

 こういうふうに見て来ると、祇園祭の宵山は京町家を味わうよい機会ですね。
 ふだんなかなか入ることが出来ない京町家に入らせていただけるーーこういう有り難みを感じて宵山を楽しんでみてはいかがでしょうか。


 鯉山会所
  鯉山町会所




 書 名  『まち祇園祭すまい 都市祭礼の現代』
 編 者  谷直樹・増井正哉
 刊行者  思文閣出版
 刊行年  1994年


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