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船越幹央

Author:船越幹央
博物館で学芸員をしています。また、京都市内の大学で非常勤講師を務めています。
生れ育った京都の魅力を歴史・文化財・史跡を中心にお伝えします!
やっぱり、京都は奥深い。知れば知るほど、味わい深い。このブログを読んで、京都を歩いてみてください!

[主な取材等]
テレビ:NHK「ブラタモリ~京都~」、BS朝日「京都ぶらり歴史探訪」、BS-TBS「高島礼子・日本の古都」、BS日テレ「片岡愛之助の解明!歴史捜査」ほか
新聞・雑誌:小学館「サライ」、朝日新聞、日本経済新聞ほか
見学会:「まいまい京都」ほか

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今年、週1冊の割合で読んでいる本は、例えば……

京都本




書籍


 今年は週1冊、本を読むことにしたが……

 昔から本が好きで、いまも文系の研究をなりわいとしているからには、本を読むのも仕事のひとつと言えます。

 個人的な事情を言えば、通勤電車に乗っている時間が長いので、そこを読書の時間に充てています。
 特に今年は、できれば週1冊くらい本を読みたいな、という目標を立てて、濫読を試みています。
 もちろん、電車中なので文庫・新書中心で選ぶことになります。

 今回は、ここ3か月の間に読んだ本の一部を紹介してみましょう。


□吉見俊哉『「文系学部廃止」の衝撃』(集英社新書)
  同   『大学とは何か』(岩波新書)


 吉見俊哉氏の大学論2冊。
 『「文系学部…』は、ひろく大学人にショックを与えた “文系学部は不要だ” という騒動を過去の経緯も含めて事実関係を検証し、さらに学問が「役に立つ」とはどういう意味か、という根本的議論へ展開しています。
 『大学とは…』は、西洋と日本の大学の歴史をたどり直し、大学ってなにか? という問いを考えていきます。

 大学で非常勤講師をしている私ですが、特に後者を読んで、大学について全く不勉強だったと反省した次第です。
 余りにも基本的なことのようですが、大学における研究と教育の両立(フンボルト型大学)という理念は、今に至っても大きな課題だと思わざるを得ません。

 教育の焦点を、すでに知っていることを教えるのではなく、いかに知るかを教えることに転換すること、つまり「内容」としての知から「方法」としての知に転換すること--それには従来の講義中心からゼミナールや実験室中心へとカリキュラムの再編成が必要となる。(88ページ)

 本当に、そうですよね。高校までの授業が知識を覚え込むことに終始してる関係で、大学において「方法」を教授することは大変むずかしくなっています。私も演習を担当しているので、この問題は重いですね。


 社会に横たわる諸問題

□今野晴貴『ブラックバイト』(岩波新書)

 労働や雇用の問題について研究しているわけではないのですが、ずっと以前から「働く」ということについて関心を抱いてきました。
 鎌田慧『自動車絶望工場』にはじまって、川人博『過労自殺』、あるいは黒井千次『働くということ』といった、労働の意味や諸問題をルポ、考察する本を、折に触れて読んできました。
 この『ブラックバイト』も、そんな一冊で、現在深刻な問題となっている学生アルバイトが抱える問題を報告した新書です。
 「雇う側(企業)の論理」と「働く側(学生)の意識」を分析しながら、なぜブラックバイトは発生するのか、なぜ学生はそこから逃れられないのか、という疑問に答えていきます。

 常にあることなのですが、強いる側にもそうせざるを得ない構造的な問題が背後にあり、一方で強いられる側にも労働者の権利に対する無知や団結の欠如があります。
 労働の “初心者”であり、仲間への思いやりを大切にする現代の大学生が被害に遭うという、不合理な事実がレポートされています。


□宮崎学『ヤクザと日本』(ちくま新書)

 最近また過激化している山口組の抗争。
 ヤクザ、暴力団については、猪野健治氏の著書(『やくざと日本人』など)が基本文献だとも思いますが、とりあえず『突破者』などアウトローもので知られる宮崎学氏の本を読んでみました。
 
 近代のヤクザが、港湾や水運の労働者の手配から成長したというのは、興味深いことです。そのため、北九州や神戸、横浜といったところで近代ヤクザが発生します。山口組も、元々は神戸の沖仲士=港湾荷役の組でした。

 のちには、芸能の興行にも展開していきます。『ヤクザと日本』によると、山口組も田岡組長の時代、浪曲に手を出していったということです。


□兵頭裕己『<声>の国民国家』(講談社学術文庫)

 一番最近に読んだ本。文庫化されたのは2009年でしたが、ずっと積ん読でした。
 この本は、副題に「浪花節が創る日本近代」とあるように、浪花節(浪曲)をテーマとしています。

 浪花節が、チョボクレ、浮れ節から発展するさまが詳しく説明されています。また、明治後期に浪花節界のスターとなる桃中軒雲右衛門の特徴もよく理解できます。
 全体的に概念的なきらいもあるのですが、社会の底辺から現れて大衆を魅了した浪花節について、大いに考えさせられます。

 こう見て来ると、なんかブラックな本? ばかり読んでいる印象ですか ? ?

 そうそう、『<声>の…』の前に読んだ新書は、春日太一『市川崑と『犬神家の一族』』(新潮新書)でした。
 時代劇論の第一人者が著した映画論ですが、撮影の技法と思想に迫って出色。主演の石坂浩二のインタビューもあって、おもしろく読みました。
 まぁ『犬神家の一族』も、ブラックというか、かなり暗いですか?

 いずれにせよ、なんだか歴史屋っぽい本が多いなぁと再認識する次第でした。



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