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PROFILE

船越幹央

Author:船越幹央
博物館で学芸員をしています。また、京都市内の大学で非常勤講師を務めています。
生れ育った京都の魅力を歴史・文化財・史跡を中心にお伝えします!
やっぱり、京都は奥深い。知れば知るほど、味わい深い。このブログを読んで、京都を歩いてみてください!

[主な取材等]
テレビ:NHK「ブラタモリ~京都~」、BS-TBS「高島礼子・日本の古都」、BS日テレ「片岡愛之助の解明!歴史捜査」ほか
新聞・雑誌:小学館「サライ」、朝日新聞、日本経済新聞ほか
見学会:「まいまい京都」ほか

ARCHIVE

新緑のゴールデンウイークにおすすめの京都名所(2)

宇治




萬福寺三門


 3.新緑の宇治・三室戸寺、萬福寺

 ゴールデンウィークにオススメの京都名所。
 それも、あまり混雑していないところを、という欲張りな案内の第2回。
 
 どうしても中心部は混み合っているということで、今回は周辺部を紹介してみましょう。

 まずは、宇治!

 宇治と言えば、平等院鳳凰堂だと思うのですが、あえて違うところで。

 三室戸寺
  三室戸寺

 三室戸寺(みむろとじ)です。
 西国三十三所の第十番札所。

 観光寺院というわけではないのですが、札所だけあってふだんから参拝者は訪れています。
 京阪電車「三室戸」駅から、徒歩で約15分。ほどよい散歩道です。クルマの方も、駐車場完備。

 私は、江戸後期の本堂が好きで、いつも奉納された額などを眺めて時間を過ごすのですね。

 三室戸寺の奉納額

 ゴールデンウィーク中にオススメなのは、ツツジの花。
 平戸ツツジが、ちょうど満開の時期なのだそうです。

 三室戸寺を参拝したあとは、北にある萬福寺(まんぷくじ)へ。
 電車の駅に戻るのはかえって面倒なので、昔の巡礼道を20~30分歩いて行くことをお薦めします(約2km)。

 萬福寺総門
  萬福寺 総門

 中国風の総門を開く萬福寺。
 中国・黄檗山の高僧であった隠元禅師が、江戸前期に来日して開いた黄檗宗の寺院です。

 萬福寺扁額 扁額は隠元の揮毫

 「山門を出ずれば日本ぞ 茶摘み唄」という句も詠まれたくらい、山内は中国風です。そんな異国情緒をぜひ味わってください。

 萬福寺開山堂
  開山堂

 反りのある屋根。
 達筆な文字が書かれた聯(れん)と額がかかります。

 卍崩し

 卍崩しの勾欄(こうらん)。

 桃の開き戸

 桃の絵があしらわれた桃戸。
 
 萬福寺伽藍

 アーチ状になった蛇腹天井。

 萬福寺三門礎盤

 柱の下部には、太鼓のような石の礎盤。

 いずれも中国風のものです。
 そして、とても有名な……

 魚梆

 魚の形をした、時を告げる板・魚梆(ぎょほう)。開梆(かいぱん)などとも言います。
 眠らないとされる魚をモチーフにしていて、謹厳な禅寺らしい意匠ですね。


 <プラスアルファで…>

 萬福寺の北隣りにある塔頭・宝蔵院。
 鉄眼禅師が心血そそいで開板された一切経(重文)の板木6万枚が保管されています。
 板木(はんぎ)は、いわば印刷のための原版ですね。板に木彫したものです。
 桜の板で出来た板木は、現在でも刷ることができます。経文の書体は、中国・明(ミン)からもたらされた明朝体。

 足を延ばして拝観させていただきましょう。

 
 4.御室の仁和寺を訪ねて

 京都市内の西の方と言えば、金閣寺から龍安寺にかけて参拝客が多く、西端の嵐山も観光客でごった返しますね。
 でも、その中間地帯は、意外に穴場です。

 臨済宗の禅寺・妙心寺、弥勒菩薩で著名な太秦の広隆寺、そして桜の名所として知られる御室の仁和寺。
 いずれもオススメですが、ここでは仁和寺をピックアップ。

 仁和寺(にんなじ)は、平安時代の仁和4年(888)に宇多天皇のときに創建されました。仁和寺と称するゆえんです。
 
 仁和寺山門
  仁和寺 二王門(山門、重文)

 この二王門は、通りに面していた目立ちますよね。でも、いつも門前にタクシーが停まっていて写真を撮るのに難渋します……
 江戸前期のものだけれど、迫力十分です。

 仁和寺は、御所の紫宸殿を移築した金堂が国宝、五重塔や観音堂、経蔵、中門など多数の重要文化財を擁し、建築の宝庫です。

 仁和寺金堂
  金堂(国宝)

 仁和寺五重塔 五重塔(重文)

 私がオススメなのは、勅使門です。
 近代のものですが、亀岡末吉という建築家が設計した作品です。

 仁和寺勅使門
  勅使門

 亀岡末吉は、明治末から大正期に京都で活躍した府の技師です。
 再建や増築される寺院などの建築を手がけました。寺社建築ですが、復古的な、あるいは近代的なデザイン感覚を生かして設計しました。

 仁和寺勅使門の蟇股等

 この門も、細部は絢爛です。
 太瓶束の左右に鳳凰を彫刻するなど、過剰なまでの彫り物ぶり。

 透彫り

 切り紙のような扉の透し彫り。
 この美しさには、息を飲みます。

 二王門を入って、左手の本坊エリアに開かれた門です。
 見落とさずに、ご覧くださいね。

<プラスアルファで…>

 やはり、妙心寺を訪ねたいですね。
 仁和寺からは意外に近く、妙心寺の北門までは徒歩10分ほど(約700m)。
 市内の禅寺としては珍しく、ふだんから法堂や浴室(明智風呂)の内部が拝観できます。


 5.先斗町歌舞練場で「鴨川をどり」

 最後は、ちょっと混むかも知れないけれど、5月らしいところで。

 先斗町

 京都で、花街の季節の踊りと言えば、祇園甲部の「都をどり」が最も有名でしょうか。
 それが終わり5月の声を聞くと、先斗町で「鴨川をどり」が始まります。

 今年は、第179回。5月1日から24日まで、1日3回公演です。
 明治5年(1872)から開催されてきた由緒ある花街の踊り。

 ちょっとお手軽な2階席から、のぞき込むようにして見る鴨川をどりが、私は好きです。

 好きと言えば、この歌舞練場の建物が好きなのです。

 先斗町歌舞練場
  先斗町歌舞練場(鴨川側から望む)

 劇場建築の名手と言われる大林組の木村得三郎の設計。昭和2年(1927)の竣工ですが、古びた感じは全然しません。
 木村は、祇園甲部の弥栄(やさか)会館や、大阪の松竹座などを手掛けています。屋根のデザインや、タイル、テラコッタ(陶板)の使い方がうまいですね。

 先斗町歌舞練場は、とりわけ、さまざまな種類のタイルやテラコッタが見ものです。

 先斗町歌舞練場のタイル

 こじんまりとした劇場内空間とあわせて、楽しんでみたいですね。
 
 <プラスアルファで…>

 先斗町歌舞練場から歩いて5分ほど。
 高瀬川沿いの木屋町蛸薬師下ルに元・立誠(りっせい)小学校があります。
 小学校としては20年以上前に閉校したのですが、現在は「立誠シネマ」などとして映画上映等で活用されています。

 建物は、先斗町歌舞練場とほぼ同じ昭和3年(1928)竣工。
 映画を見ながら、モダン空間を体験してみては?




 三室戸寺

 所在  京都府宇治市兎道滋賀谷
 拝観  大人500円ほか
 交通  京阪「三室戸」下車、徒歩約15分

 萬福寺

 所在  京都府宇治市五ケ庄三番割
 拝観  大人500円ほか
 交通  JR、京阪「黄檗」下車、徒歩約5分

 仁和寺

 所在  京都市右京区御室大内
 拝観  境内自由(御殿などは有料)
 交通  嵐電「御室仁和寺」下車、徒歩約2分

 先斗町歌舞練場

 所在  京都市中京区先斗町通三条下ル
 見学  外観自由
     鴨川をどりは、普通席2,300円ほか
 交通  京阪「三条」下車、徒歩約5分


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コメント

鞍馬と宇治

船越さま

大好きな京都ですが、何処に行っても混雑しており、なかなかゆっくり楽しむことができないのが悩ましいところでした。
この度ご紹介下さった鞍馬と宇治は、山里の新鮮な空気と新緑も楽しめそうで、とても心惹かれます。
萬福寺で魚梆の文鎮をお土産に買いたいです。境内の至る所の意匠も興味深いですね。
あ~、日帰りでも京都に行きたくなりました。船越マジックにかかったようです。

連休中は混雑

いつもありがとうございます。

連休中は、やはり人出が多いですね。
京都駅を通りましたが、ものすごい人混みで歩くのに難渋しました。この時期は、海外の方に加えて、国内旅行の方も増えているみたいですね。クルマのナンバープレートを見ても、遠方の県のものが多く見られます。

ご紹介したところ以外でも、醍醐寺や法界寺などは、郊外ですので空いていそうですね。法界寺は、確か非公開文化財の公開もしていたと思います。

宇治は歴史の缶詰

三室戸寺へは昨年の5月5日に行き、当日は天気にも恵まれ、境内は賑わっていました。

ツツジが綺麗でしたが、シャクナゲは調子が悪く、三室戸寺の標高では未だ暑過ぎることが判りました。

本堂付近の標高は80m弱で境内の最も高い所で100m程ですが、昔は海の底だったことも判りました。

其処から更に高い所は、ジュラ紀~白亜紀の地層なので、今度はその辺りへ探索に行きたいと思っています。

宇治市は枚方市から近いので何度も行き、平等院へは鳳凰堂が改築される前に行き、メジャーで無い所では五ヶ庄の許波多神社や神明宮西の神明皇大神宮などへも参拝しましたが、歴史がある土地なので、定住しない限りは総てを見ることは無理なようです。

新緑の宇治

いつもご愛読ありがとうございます。

宇治は、いいですね。
宇治川の畔は、すっきり開けていますし、萬福寺や三室戸寺のあたりは山を背負って、いい雰囲気です。
小さな神社やお寺、そして道標なども、とても味わいがあります。
旧街道筋を歩くと、とても楽しいですね。

そういえば、茶舗の資料館などを拝見した記憶がありますが、そんなものも宇治らしくて楽しいです。

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