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PROFILE

船越幹央

Author:船越幹央
博物館で学芸員をしています。また、京都市内の大学で非常勤講師を務めています。
生れ育った京都の魅力を歴史・文化財・史跡を中心にお伝えします!
やっぱり、京都は奥深い。知れば知るほど、味わい深い。このブログを読んで、京都を歩いてみてください!

[主な取材等]
テレビ:NHK「ブラタモリ~京都~」、BS-TBS「高島礼子・日本の古都」、BS日テレ「片岡愛之助の解明!歴史捜査」ほか
新聞・雑誌:小学館「サライ」、朝日新聞、日本経済新聞ほか
見学会:「まいまい京都」ほか

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東寺の見どころ、国宝・重文建築をたどってみると……





東寺慶賀門


 東寺ツアーのコースを紹介

 先日、ある団体に依頼されて、東寺の見学会に行ってきました。
 “国宝建築を見る” というコンセプトなので、国宝・重要文化財の建造物を順々に見ていったのです。
 なんといっても、東寺は国宝・重文建築の宝庫! みなさんのご見学の参考に、当日のコースを紹介してみましょう。

 集合は、京都駅。
 そこから東寺へは、徒歩15分くらいです。

 途中、伏見稲荷大社御旅所や綜芸種智院跡碑のある西福寺などを見ながら歩きます

 そして、入口は慶賀門(けいがもん)。

 慶賀門
  慶賀門(重文)

 東寺の門は、多くが重要文化財で、蓮花門が国宝です。移築された南大門を除くと、北=北大門、東北=慶賀門、東南=東大門(不開門)、西=蓮花門は、いずれも鎌倉時代の建造です。プロポーションを見ると、背が低く、ぺたっとしているのが特徴です。

 北大門
  平たい東寺の門(北大門)
 
 八脚門なのですが、屋根の勾配がゆるく、平たいですよね。美しいです。

 さらに見ておきたいのが、側面に付いている懸魚(げぎょ)です。

 慶賀門の懸魚

 屋根から同じパーツが4つぶらさがっているのが見えますね(右端の1つは隠れています)。
 これが懸魚です。

 ふつうは、一番上、△の交点(拝み)に付いているものを懸魚と呼び、下のものは桁隠し(けたかくし)などと呼ばれます。
 水平材である桁(けた)の小口を保護するパーツです。
 
 実用に加え、さまざまなデザインの懸魚が生まれ、目を楽しませてくれます。
 東寺の懸魚は、この形のものが多く用いられています。本物の魚のようにも見える形で、とても珍しく他寺では見られません。


 平安時代の校倉も

 東寺で一番古い建物が、宝蔵です。校倉造(あぜくらづくり)になっています。

 校倉
  宝蔵(重文)

 もとは南北2棟あったのですが、長宝2年(1000)の火災で焼け、その後に再建されました。
 約1000年前の建物ということになり、京都市内の建造物のなかでも古い部類に属します。
 これは西側から見た写真。扉は南側に付いています。

 このあと、北に向かって、北大門を見ます。

 北大門
  北大門(重文)

 ここは人通りも少ないので、じっくり見学できます。
 門の構造などを見るのに好適です。

 例えば、扉。

 北大門の唐居敷

 門や倉庫の扉は、基本的に内開きです。
 扉は、上部は長押などに取り付けますが、下部は写真のような部分に取り付けます。
 これを唐居敷(からいしき)と言います。こちらのように石製が多いでしょうか。

 建物も、このような部分を細かく見ていくと、おもしろいですね。


 池傍の弁天堂も

 北大門のずっと北には、北総門があります。今回は遠いので(笑)、遠望で済ませました。

 北大門の北には堀があり、そこを渡ると子院の観智院があります。

 観智院客殿
  観智院客殿(国宝)

 ふだんは非公開。この日も塀越しに見ました……

 この客殿が国宝です。17世紀初めの書院造で、書院造の成り立ちを勉強するには好適な建物です。寝殿造の名残りとも言える中門廊もあります。

 少し前まで屋根は銅板葺でしたが、杮葺(こけらぶき)に替えられたようですね。
 どうやら昨年(2015年)まで修理工事していたようです。

 観智院の南側には、太元堂があり、橋を南に渡ると、弁天堂が建っています。

 弁天堂
  弁天堂

 小さなお堂ですが、江戸後期の天保年間に造られたそうです。ただ、向拝などは明治以降の増築という雰囲気もあり、彫刻なども幕末・明治っぽい印象です。
 あ、ここはもちろん、国宝でも重文でもありません(笑)

 弁天堂彫刻

 玉眼が入った獅子の彫刻。
 時代の好みを感じさせますね。

 池の畔には弁天さんがつきものですが、東寺でも私が好きなゾーンです。


 有料ゾーンは金堂、講堂、五重塔

 今回の見学会は、柵に囲まれた有料ゾーンにも入りました。
 建物見学だけストイックに行うなら、オール無料で十分です。でも、仏像が見たい方はお金を払わないといけません。

 金堂
  金堂(国宝)

 講堂
  講堂(重文)

 金堂(南)と講堂(北)の間に立って、両建築を見比べてもらいます。

 どちらが古いと思いますか?

 意外に、こういうことは分からないですよね。
 金堂は、豊臣秀頼が大檀那になって造営しました。一方、講堂は室町時代の建立です。
 つまり、朱塗りの講堂の方が古いわけですね。

 金堂は、大仏様(だいぶつよう)という建築様式をベースに、和様(わよう)を加味して建築されています。

  金堂の挿肘木 挿肘木

 大仏様の特徴のひとつに、上の写真、挿肘木(さしひじき)があります。柱に直接肘木を差し込んでいるやり方ですね。
 組物を見ていっても、和様とは随分違いがあります。もちろん、堂内に入ると、天井が高くて迫力ですね。

 ただ下層(1階に見えるところ)は、長押(なげし)を使っていたりして、和様ふうなんです。このミックスぶりもおもしろいです(窓の上下にあるヨコの部材が長押)。

 金堂初層

 あと、五重塔は、さらっとですね(笑)
 特別公開では、初層の中に入れます。

  五重塔 五重塔(国宝)


 弘法大師をしのぶ御影堂

 有料ゾーンを出ると、目の前にこんな建物があります。

 食堂
  食堂

 いつ建てられたんでしょうか? などと聞いてみます。

 こちらも和様ですけれど、実は新しく……
 昭和8年(1933)なんですね。現代の再建です。そう思って見ると、柱の木とか、かなり細くて力強さに欠けますよね。

 そのあと、こちらの門を見てください。

 小子坊勅使門
 小子坊 勅使門

 小子坊(こしぼう)の勅使門です。
 こちらも近代のものなのですが(大正か昭和初期)、全体のフォルムもディテールも、とても繊細で美しい門です。
 京都府技師の安間立雄の設計だそうですが、明治時代から大正時代にかけての京都府技師のセンスとレベルをいかんなく発揮しています。
 指定されていない優品です。

 さてラストに近付きました。
 西院のエリアにある御影堂です。

 御影堂後堂
  御影堂(後堂) (国宝)

 南北朝時代(1380-90)に造られました。
 もともとこちらには弘法大師の住房があったところで、のちにそのスタイルを引き継いで再建したのが、いまの御影堂です。
 組物もなく、開口部も蔀戸(しとみど)になっていたりして、住宅風です。

  御影堂中門

 これは堂の西北に付けられた中門なんですけれど、寝殿造などに見られるもので、古式ゆかしいですね。

 ここまで見て、西の境外に出ます。
 歩道をまっすぐ南下すると、国宝の蓮花門があります。

 蓮花門
  蓮花門(国宝)

 鎌倉時代です。

 そしてさらに、南へ回り込んで南大門。

 南大門
  南大門(重文)

 これは豊臣時代のもので、もとは方広寺の西門でした。三十三間堂の西門といってもよいかも知れませんが、現在の京都国立博物館と三十三間堂の間にあったものです。
 そのため、三十三間堂の南大門(重文)の兄弟になります。
 明治28年(1895)に現在地に移築されました。

 ということで、以上で見学終了です。
 先日は2時間ほどで回ったのですが、ちょっと無理でした(笑)

 みなさんが、このコースで見られる場合、3時間は覚悟? しておいた方がよいでしょう。
 仏像大好きの方は、プラスアルファが必要かも。
 逆に、仏像抜き=有料ゾーンに入らないのであれば、2時間で見られそうですね。

 東寺はJR京都駅にも近く、国宝・重要文化財が目白押しのうえ、宝物館もあります。
 平安京の時代以来の古いお寺。京都を訪れたら、ぜひ行ってみたいお寺ですね。




 東寺(教王護国寺)

 所在  京都市南区九条町
 拝観  境内自由(金堂・講堂内などは有料)
 交通  近鉄「東寺」下車、徒歩約10分



 【参考文献】
 『東寺の建造物』東寺宝物館、1995年


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