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PROFILE

船越幹央

Author:船越幹央
博物館で学芸員をしています。また、京都市内の大学で非常勤講師を務めています。
生れ育った京都の魅力を歴史・文化財・史跡を中心にお伝えします!
やっぱり、京都は奥深い。知れば知るほど、味わい深い。このブログを読んで、京都を歩いてみてください!

[主な取材等]
テレビ:NHK「ブラタモリ~京都~」、BS-TBS「高島礼子・日本の古都」、BS日テレ「片岡愛之助の解明!歴史捜査」ほか
新聞・雑誌:小学館「サライ」、朝日新聞、日本経済新聞ほか
見学会:「まいまい京都」ほか

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繁華街にある袋小路は、なぜか魅力的な趣き





東洞院の路地


 街中にある袋小路

 いきなり問題なのですが、この写真の場所は、どこにあるでしょうか?

 東洞院の路地

 お店の看板がたくさん見えるので、街なかだとは分かりますね。
 奥の方には高いビルも建っています。
 さほど広くもない道に路上駐車もあって、少々狭苦しい雰囲気。さらに、突き当りで行き止まりの袋小路になっています。
 写っていませんが、写真の右側はコンビニになっています。

 実は、この場所、京都の方なら一度や二度は通られたことがあるところだと思います。

 このビルの近くにあります。

 大丸四条店

 四条通に面した大丸京都店。
 大丸は、南北の通りで言うと、高倉通(東側)と東洞院通(西側)に挟まれています。

 先ほどの袋小路は、東洞院通から西に延びている小道で、大丸の西向いにあります。
 
 東洞院の路地

 奥から東(大丸の方向)を振り返った写真。
 大丸の増築部が見えています。


 都市の狭い街路

 この袋小路、道幅は4m弱だそうで、「路地」と呼ぶかどうか迷います。
 行政では、建築基準法に基づいて、幅4m未満の道路を「細街路」とか「狭隘(きょうあい)道路」と称しています。同法の42条2項にかかわる道路であるために「2項道路」と言われるものです。
 建築基準法では、建物は幅4m以上の道路に接している必要があります。しかし、昔からの路地に面して接しているような建物は、この基準を満たしていません。そのため、建て替えが出来なくなるのですが、特例として、道路の中心線から2m後退したら建てられる、ということが認められています。
 これに該当する4m未満の道が、2項道路なのです。

 京都や大阪といった大都市には、この道がいっぱいあります。
 京都市指定道路図提供システムで調べてみると、2項道路が水色で浮かび上がってきます(京都市の呼び名は「狭あい道路」だと思いますが)。
 この袋小路も、どうやらこれに該当するようです。
 また、例えば先斗町や裏寺町の通りはこれに当たるようですし、このブログでも紹介した撞木辻子(しゅもくずし)もこれです。

 一方、赤色で示された道は「非道路」です。
 先斗町の「抜けられます」の路地は、ほとんどが非道路になっています。


 モダン建築のビリヤード店

 この袋小路、長さは約60mで、阪東屋町という町にあります。
 入って行くと、焼肉屋さんやラーメン屋さんがある至って庶民的なところ。

 東洞院の路地

 袋小路の突き当りは塀です。しかし、扉が付いており、頻繁に人の出入りがあります。どうやら裏側のビルの通用口らしい。この裏は、烏丸通に面した三井住友銀行のビルがあるのです。

 奥の北側にはラーメン屋さんがあり、その脇に路地が北へ伸びています(写真では見えませんね。すみません)。
 路地は短いT字形をしており、住宅が建っています。京都市の分類では、非道路です。
 
 奥の南側は、玉突き屋さん。
 住宅地図によると、ビリヤード喜楽というらしい。

 玉突屋

 昭和初期から終戦後にかけて書き足された京都市明細図(京都府立総合資料館蔵)には、この店も記載されています。
 モダン建築ですが、外壁をモルタルワークで仕上げた簡易的な相貌ですね。

 玉突屋 窓まわりの装飾が見どころ


 古い住宅や仕舞屋も

 ところが、お店だけでなく住宅も建っているのですね。

 東洞院の路地

 道路北側には、2階建の住宅。

 東洞院の路地

 道路南側、玉突店の手前には仕舞屋風の住宅。

 京都市明細図を詳しく見ると、この袋小路は昭和初期にはなかったらしく、おそらく終戦直後に新たに開かれた道と考えられます。
 実は、この東向いが証券取引所だったため、商売が成り立つ場所として開発されたのではないでしょうか。

 商店と住宅は、その頃から混在しています。
 小路の南側には、入口から2軒、証券会社があり、食堂があって、さらに住宅2軒があり、一番奥が玉突き。この住宅2軒が、のちに仕舞屋になったと思われます。
 北側は、入口(今のコンビニ)に大きな京都信用組合の建物があり、住宅4軒が続いていますが(これが現在残っている)、うち1軒は弁護士事務所です。その奥がパン屋で、現在はラーメン屋さんになっています。パン屋の脇にT字路地が北に伸びており、3軒ほどの家があります。最奥には、住宅1軒と印刷屋が建っています。

 ほんとうに、いろいろ交じりあっています。
 ビリヤードとかパンとか、モダンな印象ですが、証券マンの御用達だったのでしょうか?

 ふだん前を通りなが見逃していた阪東屋町の小路。
 歴史を探ってみると、なかなかおもしろいものです。




 阪東屋町の袋小路

 所在  京都市中京区四条通東洞院上る阪東屋町
 見学  自由
 交通  地下鉄「四条」下車、徒歩約3分



 【参考文献】
 「京都市明細図」京都府立総合資料館蔵
 「京都市指定道路図」京都市
 上田篤・田畑修編『路地研究』鹿島出版会、2013年


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