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船越幹央

Author:船越幹央
博物館で学芸員をしています。また、京都市内の大学で非常勤講師を務めています。
生れ育った京都の魅力を歴史・文化財・史跡を中心にお伝えします!
やっぱり、京都は奥深い。知れば知るほど、味わい深い。このブログを読んで、京都を歩いてみてください!

[主な取材等]
テレビ:NHK「ブラタモリ~京都~」、BS-TBS「高島礼子・日本の古都」、BS日テレ「片岡愛之助の解明!歴史捜査」ほか
新聞・雑誌:小学館「サライ」、朝日新聞、日本経済新聞ほか
見学会:「まいまい京都」ほか

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小説家が近代建築を語ると…… - 万城目学・門井慶喜『ぼくらの近代建築デラックス!』

京都本




ぼくらの近代建築デラックス


 京都で学んだ2作家が、近代建築をぶらっと探訪

 このブログでは、まだ近代建築は取り上げていないのですが、私自身は好きで、長いあいだ見てきました。いつ書こうかと思っていた矢先、大学の同門である小説家・門井慶喜氏が、万城目学氏との共著『ぼくらの近代建築デラックス!』を上梓されたので、まずそれを紹介してみることにしました。

 もとは雑誌「オール読物」に2010年4月号から断続的に掲載されていたものです。
 私も初回から拝読し、応援していました。

ぼくらの近代建築デラックス 「オール読物」2010年8月号

 ミステリ作家の門井氏も、「鴨川ホルモー」「プリンセス・トヨトミ」の万城目氏も、ともに京都の大学出身。初回の大阪編につづき、2回目は京都編になりました。

 「京都散歩」の章では、こんな建物が取り上げられています。

  進々堂
  京都大学時計台
  同志社女子大学ジェームズ館
  さらさ西陣(旧藤ノ森湯)
  龍谷大学本館
  梅小路蒸気機関車館
  九条山浄水場ポンプ室
  1928ビル
  日本生命京都三条ビル
  京都文化博物館別館

 バリエーションに富んだ10棟です。特に、梅小路の蒸気機関車庫なんて、渋いですね。
 万城目氏は京都大学、門井氏は同志社大学出身なので、京大と同女大と、京大の北にある喫茶店・進々堂も入っています。進々堂は外壁のタイルも素敵だし、やっぱり室内の雰囲気がいいですね。


 万城目  僕の第一印象は、シンガポールのラッフルズホテルみたいだな、と。本館を挟む南北の棟の二階に据えられたバルコニーが、回廊のように続いていくのが、いかにもラッフルズホテル風。(龍谷大学本館、52ページ)

 門 井  僕、実際ここに来て建物を見るまでは、銭湯って完全な和風の木造建築だし、この近代建築対談で紹介していいのか、少々疑問を抱いていたんです。でもこうして美味しいコーヒーをいただいているうちに、ひょっとしたら京都の近代建築を真に代表しているのはこれかもしれない、と考えが逆転した。(さらさ西陣=旧藤ノ森湯、50ページ)


 ふたりは近代建築の専門家ではないので、話は自由に飛んでいき、自らの思い出とイメージを語っていきます。


 1928ビル ?

 実は、この本を手に取るまで、三条通にあるあのビルが「1928ビル」という名前であるのをよく知りませんでした。
 元の毎日新聞京都支局の建物です。戦前風にいうと、大阪毎日新聞=「大毎」の支局です。

旧毎日新聞京都支局

 ずいぶん以前に、建築家の若林広幸氏が改装されて、レストランなどが入るビルになりました。毎日の支局は、河原町丸太町上るに移転しました。門井さんと万城目さんはお若いので、支局時代をご存知ないようですが、私の学生の頃はもちろん支局でした(笑) 外壁の色も、もっと地味な目立たない建物でしたね。
 この建物のことは、いつか詳しく書きたいのですが、昭和3年、つまり1928年に竣工しました(設計・武田五一)。この年の秋に、京都では昭和天皇の即位礼が行われました。おそらく、このビルはそれに合わせて新築されたのだと思います。当時の支局長は、私が興味を持っている岩井武俊。
 御大典、御大典と盛り上がっている京都の街に、こんな建物をデザインする武田五一もすごいのですが、失われゆく京都の景観を憂いていた岩井は、このビルをどう眺めたことでしょうか。興味が尽きません。

 本書でも指摘されている「大毎」のマークは、いまも残されています。星が「大」をかたどり、丸の中が「毎」になっているんですね。

旧毎日新聞京都支局

 帯に「マキメのボケ VS カドイの薀蓄」となっていて、なるほど、そういう中身で(笑)、楽しめます。
 登場する建築家の中では、綿業会館などを設計した渡辺節が高く評価されていて、ちょっと目を引きます。シブいです。
 京阪神と東京、横浜の私的建築案内、といった書物。ぜひ一読を!




 書 名:『ぼくらの近代建築デラックス!』
 著 者:万城目学、門井慶喜
 出版社:文藝春秋
 刊行年:2012年11月



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コメント

No title

素敵な本でした。大好きな作家さんおふたりの
軽妙なやりとりが薀蓄にあふれていて、たいへん楽しめました。
トラックバックさせていただきました。
トラックバックお待ちしていますね。

『ぼくらの近代建築デラックス!』

記事ご覧いただき、ありがとうございます。

著者のひとり、門井さんが知人なので、刊行された折に紹介させていただきました。
万城目さんともども、ますますご活躍でうれしく思っております。

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「ぼくらの近代建築デラックス!」万城目学、門井慶喜

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