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PROFILE

船越幹央

Author:船越幹央
博物館で学芸員をしています。また、京都市内の大学で非常勤講師を務めています。
生れ育った京都の魅力を歴史・文化財・史跡を中心にお伝えします!
やっぱり、京都は奥深い。知れば知るほど、味わい深い。このブログを読んで、京都を歩いてみてください!

[主な取材等]
テレビ:NHK「ブラタモリ~京都~」、BS-TBS「高島礼子・日本の古都」、BS日テレ「片岡愛之助の解明!歴史捜査」ほか
新聞・雑誌:小学館「サライ」、朝日新聞、日本経済新聞ほか
見学会:「まいまい京都」ほか

ARCHIVE

【新聞から】初詣の参詣者数調査がなくなった !? 

その他




八坂神社


 初詣人出調査 歴史に幕
 中日 2015年12月30日付



 あけましておめでとうございます。
 今年も 「京都発! ふらっとトラベル研究所」 をよろしくお願い申し上げます。


 初詣の参詣者数発表は、いつから?

 お正月は、初詣にいらっしゃいましたか?
 私の初詣写真は、こちら!

 北野天満宮 北野天満宮

 あ、晴れ着の女性ですね ―― じゃなくて。
 夜ですね、まったく……

 実際は、午後6時すぎに撮影しました。
 毎年お詣りしている北野天満宮ですが、こうしてみるとライトアップされて少し幻想的ですね。

 ところで、初詣といえば、毎年「○○神社は参拝者○○万人」というニュースが流れます。
 私も、某原稿を書く必要から、この人数を調べたことがあるのですが、内心は「信仰の度合いは数字では測れない」とも思うのです。でも、いつからかこの数字が報道され、ランキングまで発表されています。

 このように言いながら数字を書くのも憚られるのですが、明治神宮(東京)、川崎大師(神奈川)、成田山新勝寺(千葉)の3つは毎年三が日に300万人台の参拝者があるといいます。
 それに続くのが、京都の伏見稲荷大社や、鎌倉の鶴岡八幡宮、浅草の浅草寺、大阪の住吉大社、名古屋の熱田神宮などで、200万人台の参詣者があるそうです。
 これが近年の上位ですが、川崎大師と成田山は寺院なのですね(川崎大師は通称で、正しくは平間寺=へいけんじ)。

 伏見稲荷大社 伏見稲荷大社
 
 そんな中、昨年末の中日新聞に、興味深い記事が出ました。それは、初詣の参詣者数の調査が取り止めになる、というものです。
 記事によると、「全国の約八万社を束ねる神社本庁(東京)が、半世紀続けてきた初詣の参拝者数の調査を、2016年分から取りやめることが分かった」とあります。

 この記事は、調査の歴史的な経緯も紹介しています。
 それによると、「敗戦で神道への興味を失った国民」もおり、戦後の神社は苦しい状況に立たされます。しかし、徐々に参拝者数は回復。「そこで初詣を切り口に傾向を把握して信仰拡大につなげよう」という目的で、昭和34年(1959)から主要50社の調査を行い、神職向けに伝え始めたというのです。

 まとめると、

 (1)調査は、戦後、昭和34年(1959)から始まり、半世紀余りの歴史がある。
 (2)信仰拡大につなげるためのデータ収集として始まった。
 (3)神職用の情報で、一般向けではなかった。

 ということですね。

 今回、中止になったのは、「数字が本来の目的ではない観光振興などの物差しに使われることも増え」た上、「『当初の目的は果たした』と判断」されたからということです。
 冒頭に書いた「ランキング」などに利用されることが、神社本庁としてはいろんな意味で宜しくないと考えられたのでしょうか。


 参拝者数は、どう数えている?

 初詣の宗教学的研究は多くはないようですが、石井研士國學院大学教授の諸論考があります。そこから戦後の初詣の推移と調査のありようについて、まとめておきましょう。
 
 中日新聞の記事では、神社本庁の初詣調査は昭和37年(1962)から始まったと書かれています。これはおそらく同庁への取材によっているのでしょう。石井氏は、そのデータが神社本庁の月刊誌「若木」に、「全国著名神社初詣者数調査」として掲載されていると記しています。つまり、その雑誌を見れば、毎年のデータが分かるわけです。
 この数字は、神社本庁が各神社に問い合わせて掲載しているということですから、カウントは各神社が行っているということになります。

 一方、いわゆる “警察発表” をよく見掛けますが、これは昭和45年(1970)から始まったものです。都道府県警がまとめた三が日の参拝者数を警察庁が発表していました。これが新聞などに載っていたのです。
 過去形なのは、この発表はすでに平成21年(2009)を最後に取り止められているからです。
 警察が初詣の参拝者数を把握するのは、雑踏警備の必要性からで、そのデータをマスコミに提供するためにカウントしているわけではありませんでした。おそらく、たびたび尋ねられるから発表した、という話でしょう。

 いずれの数字も、一人ひとりをカウントする実数調査はごく少なく、多くは概数(例えば、単位面積×目視した人数)だろうと考えられます。
 また、各神社や各県警のカウント法も同様ではないので、比較などには注意が必要なようです。

 北野天満宮 北野天満宮の初詣


 現在の傾向は1980年代から

 石井氏の研究によると、昭和50年代後半までは、初詣参拝者数のランキングは年ごとに激しく変化していました(以下、数字は警察庁発表に基づき石井氏がまとめたもの)。

 昭和45年(1970)をみると、

 1位 鶴岡八幡宮(神奈川) 186万人
 2位 熱田神宮(愛知)   175万人
 3位 明治神宮(東京)   171万人
 4位 伏見稲荷大社(京都) 148万人
 5位 八坂神社(京都)   112万人

 となっています。以下、住吉大社、豊川稲荷、伊勢神宮、川崎大師、成田山新勝寺がベストテンです。
 鎌倉の鶴岡八幡宮がトップとは、関西人からすると少々意外です。
 ところが、昭和48年(1973)になると、川崎大師がトップに躍り出ます。人数も増えて、386万人。

 昭和50年(1975)のランキングです。

 1位 川崎大師(神奈川)  389万人
 2位 鶴岡八幡宮(神奈川) 262万人
 3位 住吉大社(大阪)   231万人
 4位 伏見稲荷大社(京都) 223万人
 5位 明治神宮(東京)   208万人

 近年トップの明治神宮が初めて首位になったのは、昭和53年(1978)のことでした。その年は、明治神宮、住吉大社、川崎大師が上位です。
 昭和50年代になると、成田山新勝寺(千葉)がベスト5に入ってきます。

 そして、昭和60年(1985)。

 1位 明治神宮(東京)   381万人
 2位 川崎大師(神奈川)  329万人
 3位 成田山新勝寺(千葉) 313万人
 4位 住吉大社(大阪)   286万人
 5位 伏見稲荷大社(京都) 278万人

 人数、寺社とも、今日の原型が出来ていることが分かります。ベスト3が、明治・川崎・成田になるのは昭和58年(1983)からです。
 
 ちなみに、警察庁発表の最後となった平成21年(2009)の順位は、

 1位 明治神宮(東京)   319万人
 2位 成田山新勝寺(千葉) 298万人
 3位 川崎大師(神奈川)  296万人
 4位 伏見稲荷大社(京都) 277万人
 5位 鶴岡八幡宮(神奈川) 251万人

 となり、以下、浅草寺(239万人)、住吉大社(235万人)、熱田神宮(同上)、大宮氷川神社(205万人)、太宰府天満宮(204万人)、生田神社(155万人)、宮地嶽神社(108万人)、豊川稲荷(107万人)、八坂神社(105万人)と続きます。


 京都の神社は?

 京都の社寺では、昔も今も多いのは伏見稲荷大社です。ここは、200万人クラスですね。
 ついで八坂神社で、こちらは100万人くらい。

 宗教学の研究では、近年では各地域で “一極集中” となっていて、東京なら明治神宮、愛知なら熱田神宮、大阪なら住吉大社など、各県1つの寺社に集中する傾向があるそうです。
 ところが、京都は伏見稲荷に加え、八坂神社も多数の参詣者を集めています。
 さらに、北野天満宮も50万人ほどの参拝者ですし、最近は少ないようですが平安神宮も1970~80年代には150万人もの人出があったのです。
 このように、京都は他県とは少し事情が違って、多極化の傾向が残っているのかも知れません。
 由緒のある著名な神社が多いせいでしょうか。

 八坂神社 八坂神社

 そんなわけで、2016年は警察庁の発表も神社本庁の発表もない三が日となりました。
 改めて1月4日付の主要各紙を見てみると、確かに初詣の参拝者数は掲載されていません。

 4日付の夕刊には、伏見稲荷大社の賽銭開きがニュースになっています。
 日経新聞は、例年より外国人の姿が目立ったという神社のコメントを載せた上で、次のように締めくくっています。

[賽銭の]総額や三が日の参拝者数は公表しないという。(日本経済新聞 2016年1月4日付夕刊)




 【参考文献】
 石井研士「初詣の実態研究序論」(「明治聖徳記念学会紀要」復刊第1号、1988年)
 同「東京の初詣の実体研究」(「神道宗教」148号、1992年)


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コメント

初詣

新年あけましておめでとうございます。

本年も一層のご活躍をお祈り申し上げます。

扨、私は大晦日の夕刻に拙サイトにも載せている自作の絵馬を掃除して、北野天満宮へおけら詣を見がてら参拝しました。

しかし、雨模様で肌寒く、北野よりは少しは暖かいだろうと思い、八坂神社に着いたら大変な行列で、新年を迎えた後から雨が降り出し、散々な初詣でした。

それにしても、初詣を待つ行列に大勢の外国人がいて、「まさか参拝するわけが無いだろう」と思って、拝殿前での様子を観察したかったのですが、生憎の雨で観察する余裕もありませんでした。

因みに、拙作絵馬は元日NHKの午前中の番組で静止画のみが紹介されました。

大阪は毎年住吉大社がトップですが、摂津国一宮であることに加え、ご利益が多種多様なのも初詣客を集める要因かとも思います。

地元の産土神には5日に初詣しましたが、常駐神職不在の兼務社なので社務所も無く、参拝者は私一人でした。

とか言っている内に、明日は京都ゑびす神社の十日ゑびす祭が始まり、明後日には各地で十日戎祭が始まります。

本年もよろしくお願いします

あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願い申し上げます。

まさに年があらたまる頃の気温は、さぞかし低いのでしょうね。私はいつも午後からのお詣りですが、それでも寒いですので。
越年を日本でされる外国の方も多いのでしょうか。この傾向は、しばらくつづきそうですね。ますます人気の高い有名神社の参拝者数が増えそうです。

今年もご愛読お願い申し上げます。

     船越
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