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PROFILE

船越幹央

Author:船越幹央
博物館で学芸員をしています。また、京都市内の大学で非常勤講師を務めています。
生れ育った京都の魅力を歴史・文化財・史跡を中心にお伝えします!
やっぱり、京都は奥深い。知れば知るほど、味わい深い。このブログを読んで、京都を歩いてみてください!

[主な取材等]
テレビ:NHK「ブラタモリ~京都~」、BS-TBS「高島礼子・日本の古都」、BS日テレ「片岡愛之助の解明!歴史捜査」ほか
新聞・雑誌:小学館「サライ」、朝日新聞、日本経済新聞ほか
見学会:「まいまい京都」ほか

ARCHIVE

年末に、ちょっと振り返る 2015年の京都 - 極私的な感想など -

その他




梨木神社


 2015年 京都の諸々

 1週間ほど前、京都新聞を見ていたら、今年の京都10大ニュースが掲載されていました。
 それを見た瞬間、思ったのは「たいしたニュースなかった」という率直な感想。1年、平穏無事だった証しです。
 詳しくは、京都新聞のウェブサイトをご覧いただくとして、第1位は「悲願34年、京都縦貫道全通」でした。他県の方からすると、とてもローカルな印象でしょうか? まあ、ローカルな十大ニュースを選んでいるので、当然なのですが……
 逆に、ちょっとおもしろいのは、同紙の<HPアクセスランキングTOP10>で、1位が「佐野氏デザインまた「酷似」 京都の老舗、ブログから削除」というもの。
 確かに、こっちは関心高かったですよね、ひと頃。

 今回は、暮れも押し詰まって、極私的に今年の京都を振り返ってみるという企画。
 といっても、いつも行っている新聞を見ながら考えるというものです。


 1.激増する中国人観光客と文化理解

 読売新聞の「編集委員が読む」に、「京都 中国の人 多いですね」という解説が出ました(2015年12月27日付、森恭彦編集委員)。
 この記事の指摘で興味深かったのは、「中国では「唐宋時代を見たければ日本へ行け」という言い方をする」という話。

 「北方民族が支配した元や清の時代に失われた文化が、それを懸命に輸入した日本に残っているから」ということです。中国で、京都のことを「小長安」と呼んでいるという話も、びっくりぽん! ですね。
 森氏は、敷衍して、中国人観光客が舞妓の着物に魅力を感じるのも、和服が中国から入ってきたという由来をどこかで感じ取っているのかも、と言っています。
 唐(618-907)や宋(960-1279)は漢民族の国だけれど、中国では北方民族の圧力が強いので、支配者が交代すると以前の文化も破壊されてしまうため、こういう言い方になるのでしょう。

 中国の過去が日本の現在に保存されている、ということは前から言われているけれど、来日観光客(インバウンド)と関連づけて考えるとおもしろいですね。

 清水寺
  清水寺

 「爆買い」に代表される中国人観光客の激増は止まるところを知りませんが、森編集委員が言う「隣国に毎年毎年、数百万人ずつ日本理解者が増えていく」という見方はポジティブです。もちろん、時間はかかるし、いろんな仕掛けも必要でしょうけれど。


 2.消える鎮守の森と苦悩する神社

 日本経済新聞は「かれんとスコープ」欄に、「都会の神社 存続へ奇手」を出しました(2015年12月27日付、福山絵里子記者)。
 神社の境内にマンションを建設し、収益を上げるケースが全国で相次いでいるという記事で、「社会に波紋を広げている」

 私も東京の話は知らなかったのですが、すでに2010年に新宿区の赤城神社で、社殿の横にカフェを併設するマンションが造られたそうです。設計は、新国立競技場で話題の隈研吾氏。その後、同区・成子天神社でも27階建のタワーマンションが建設されたのだそうです。
 京都では、今年、鳥居と社殿の間の境内地にマンションを建てた梨木神社が話題になりました。

 梨木神社
  梨木神社

 そして、下鴨神社のマンション建設計画も問題視されました。式年遷宮にあたり、約30億円必要だったが、10億円ほどの寄付しか集まらず、やむを得ない選択だったという話ですね。

 梨木神社も下鴨神社も、50年程度の定期借地権契約を結んで、収入を得る仕組み。下鴨神社の場合、年間8千万円の土地収入が見込まれるといいます。
 記事は、「生き残る神社と、消えていく神社」があると指摘。
 確かに、梨木神社は萩の名所として知られるのですが、ご祭神も三条実萬・実美公で明治時代に創建された神社。著名なご利益も宣伝されていないので、観光客も余り来てなさそうに見受けられます。
 中国人観光客も、さすがに梨木神社には行かないだろうし、下鴨神社もそうですかね。お守りを売っても、たいして儲かりません。

 記事中にある「宗教法人の公益性が理解されるためにも、何らかの形で [収支計算書が] 公開された方がいい」(石井研士國學院大学教授)という意見に私も賛成です。
 宗教法人って、もうかっているイメージがありますよね。でも、それは一部の話。行政的には「宗教」の扱いは難しいけれど、文化財という側面に限ってみれば、社会の共通理解を得て守っていく必要があります。そのためには、理解をしてもらうための透明性=情報公開も必要になってくるでしょう。
 今回、下鴨神社の問題は大きな反響を呼んだので、社会的な議論を始める種をまいたのではないでしょうか。いい意味で、「社会的な波紋」を広げてもらいたいものです。


 3.歩道拡幅と歩くまち

 そして、今秋完成した四条通の歩道拡幅。
 広い箇所では、歩道の幅が約6mになりました。そのかわり、車道は片側1車線ですね。

 四条通
  四条通

 とにかく、この施策には反対意見が多いですね。
 私は、基本的には賛成なのですが、先日もクルマで寺町通から四条通に右折するとき、余りにクルマがあふれていて大変だったので、つい「歩道を広げるから……」と思ってしまいました(笑)
 なんだか、昔、市電が走っていた時代の混雑ぶりを彷彿させます。

 歩行者としての感想は、“そんなに便利でもないか”(笑) という印象でしょうか。
 広くなった分、歩行者が歩道一杯に無秩序に広がって歩くものですから、対向の人を避けるのが難儀ですね。

 じゃあ、これをやめたらいいかというと、そうとも言えません。繁華街や観光地には、クルマを乗り入れないように変えていくことが必要。徐々にでも。クルマに乗って観光したり遊んだりするのは、おもしろくないでしょう? やっぱり、歩いた方がダンゼン愉しいです、少なくとも私には。
 もちろん、営業・ビジネスの関係や交通ルートの関係で、簡単に規制できないのは分かります。けれども、長いスパンで考えると、この方向は間違っていないと思われます。行政の方でも、うまい形で市民の理解を取り付けられればいいですね。平安神宮前の歩行者天国化は好評なようですから。

 着物in寺町通


 4.変わりゆく祇園祭と温故知新

 このほかでは、祇園祭の動向に注目ですね。
 昨年(2014年)、後祭(あとのまつり、あとまつり)が復活し、今年はもう定着しましたね。
 今後は、巡行の当事者サイドが言われているように、昔の巡行ルートの復活が課題ですね。例えば、後祭でいえば、三条通や寺町通を通るということです。
 これもすぐ気付くように、アーケードをどうするの? という話になってきます。しかし、長い時間をかけて議論していけば不可能なことではありません。観光化した祭りで失われた信仰的側面を思い出すためには、巡行ルートを戻すのがとてもいい案だと思います。

 吉田孝次郎氏(前祇園祭山鉾連合会理事長)が「月刊京都」7月号に寄せられた稿には、

 「いずれは三条通の巡行も復活できればと思っていますが、それに呼応するように寺町まちづくり委員会では電線撤去の声が上がりつつあり、美しい都心部の再現という意味でも、その兆しが見え始めています。そして今、つくづく感じますのは、“古きを訪ねるほどに大事なことに気づかされる” ということ。古きは古びることとは違うのです」
 
 とあります。
 地域の方々の努力には敬意を表します。

 祇園祭山鉾巡行
  祇園祭山鉾巡行 (後祭)


 古いけれど新しい、ローカルだけれどインターナショナル
 
 こんな感じで、4項目あげてみた年末雑感。
 変わっていないようで、少しずつ変わっていますね、京都も。

 よく言われるように、「伝統」は単に古いものを守っているだけでは駄目で、常に新しいことに挑戦していく気概が求められます。京都は、そういう町ですね。
 年末のニュースでも、フランスの有名ブランド(おそらくジバンシィ)が京都の金箔や友禅染の技術に注目しているという報道がありました。

 古いけれど新しいのが京都。
 同時に、東京や大阪のようなメガシティとは異なった、ちょっとローカルだけれど尽きない奥深さがある都市が、京都。そこに国際性もあります。

 京都の価値がますます認識されて、多くの人たちへ楽しみや発見を提供していければ喜ばしいことです。

 来年の京都は、どのような1年になるのでしょうか。


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コメント

梨木神社のマンションには、私も仰天しました。

年の瀬も押し迫り、取り敢えず部屋を片付けていますが、ダラダラと一向に捗りません。

最初に私事で恐縮ですが、明日の大晦日は豊中市へ墓参に行き、塩で身体を清めてから近くの神社に奉掲してある大絵馬の拭き掃除をして、夜は北野天満宮のおけら詣にでも行こうかと考えています。

大絵馬は私が板を作り、絵も文字も書いたもので、年末の神社は猛烈に忙しくて、僅かのことの事にも手が回らないので、大晦日には鳥の糞を拭き取りに行っています。

特に、来年は元旦にNHKが取材に来て、大絵馬が全国放送の画面に出るので、念入りに拭き掃除をするつもりです。

京都へ行くと、長期滞在している中国人の中には、日本の祭礼などに関心があるらしき人も見掛けますが、一般観光客は欧米の観光客に比べ、日本文化への関心度が薄いように感じられます。

中国人も、先ずは自国の歴史や文化に関心を持つ人が増えてくれば、日本文化に関心を持つ人も増えて来るだろうと思っています。

中国人は仏教に就いては或る程度予備知識もあるでしょうが、神社神道に就いては「何だろう?」と思っているだけでしょう。

冒頭に、年末の神社は猛烈に忙しいと書きましたが、忙しいのは年中のことで、神社ほど外から見て暇そうで、内では働き詰めという業種も少ないと思われます。

そう言う次第で、どの神社も日々の仕事に精一杯で、国内に対してさえ神社神道を広めようという余裕は無く、況してや外国語で神社神道のことを発信する余裕など全く無いのです。

従って、神社神道に詳しい外部の人が、日本文化発信の一環として、神社の祭礼やその意味を国外に発信するしか無いのです。

じつは、私も先頃梨木神社に参拝し、参道を塞いでいるマンションを見て仰天しました。

そもそも、参道は参拝者のみならず、神霊の通路でもあるので、私は絶対に参道の真ん中すなわち正中を歩くことはしません。

また、神社は神の住居では無く、神霊を迎えて祭礼を行う場所であり、古代は祭礼の度毎に自然の樹木や岩に神霊を迎えて祀っていたのです。

従って、自分が宮司であれば、目標の寄付が集まらなければ、社殿の修復は諦め、予算に見合った規模の社殿を作るか、或いは古代に立ち返って磐座を構築し、本来の神社は斯くあったことを世に広めるだろうと思います。

以前のコメントにも書いたように、私が古代祭祀遺跡の探査を続けているのも、古代に遡る神社の本来の姿を世に広めたいと願っているからです。

神社は遡源不能な程に古く、謎に満ち溢れているので、私は神職達に「神社は謎だらけだということを世間に広めれば、ミステリーに魅せられて、神社に来る人が増える」と説くのですが、日々の仕事に追われている神職には、神社神道を研究しようという余裕も無く、学校で神職免許を取得して神社に奉務した後は全く勉強しないので、「神社の何が謎なのか?」ということにも気が付かないのです。

少子高齢化が進む程、慶事に係わる神社は衰退し、弔事に係わる寺院は栄えて行くのに、「神道を知らない」神職だらけの神社には為す術が無く、日本文化の保全と発展を願う外部の人間が神社をサポートするしか無いのです。

長レスになり恐縮ですが、下鴨神社や梨木神社の問題は、当該の神社や神社界のみならず、日本文化の根幹に係わる問題なので、斯く申し上げた次第です。

それでは、良いお年を迎えられますことを、心よりお祈り申し上げます。

良いお年をお迎えください

いつもありがとうございます。

神社さんは、どこもたいへんですね。
どの業種も同じですが、外からでは分からない内情というものがあるのでしょう。

京都でも、新しいおみくじやお守りを考案されたりした神社は、大勢の若者が参拝に来ています。そういうアイデアを出してくれる方も必要なのかも知れませんね。

来年も、ご愛読お願い申し上げます。
良いお年をお迎えください。

     船越幹央

閲覧をさせて頂いてます~♪

 初めましてv-430 commentを初めて入れさせて頂きます。
サラ~と閲覧していますが、知らない事ばかりです。
京都在住ですけれども、京都生まれでないので他所事のような?

しかし、余裕の時間があれば路地探索は良いのかもしれません。
今は、船越さんのブログで楽しませて頂きます。
 
今後も楽しみに閲覧し、拍手を入れます。
                  御免下さいませ<m(__)m>      

ありがとうございます

「京都発! ふらっとトラベル研究所」ご覧いただき、ありがとうございます。

 このブログは、京都の歴史、史跡、文化財などについて、気の向くまま綴っているものです。
 一般の京都ガイド本のように、網羅的でもなければ教科書的でもありませんが、私が気になったポイントについて自由に書いています。その分、ちょっとマニアック? かも知れません。
 記事は、区別でもご覧いただけますので、気になったエリアの記事を読んでいただくのもいいかも知れませんね。

 今後とも、ご愛読いただければ幸いです。
 よろしくお願い申し上げます。

     船越幹央



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