06 | 2017/07 | 08
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31 - - - - -
MENU

NEW ARRIVAL

PROFILE

船越幹央

Author:船越幹央
博物館で学芸員をしています。また、京都市内の大学で非常勤講師を務めています。
生れ育った京都の魅力を歴史・文化財・史跡を中心にお伝えします!
やっぱり、京都は奥深い。知れば知るほど、味わい深い。このブログを読んで、京都を歩いてみてください!

[主な取材等]
テレビ:NHK「ブラタモリ~京都~」、BS-TBS「高島礼子・日本の古都」、BS日テレ「片岡愛之助の解明!歴史捜査」ほか
新聞・雑誌:小学館「サライ」、朝日新聞、日本経済新聞ほか
見学会:「まいまい京都」ほか

ARCHIVE

研究成果が俯瞰できる“最前線”シリーズ - 『秀吉研究の最前線』 -

京都本




  『秀吉研究の最前線』  『秀吉研究の最前線』(洋泉社)


 戦国ものも多い洋泉社の歴史新書y

 京都の街を歩き、史跡をめぐっていると、さまざまな歴史事象に出会います。
 当然、自分が全く知らない事柄も多く、そのたびに新しい知識を身に着けるように努めています。

 インターネット時代ですが、やはり単行本や論文は情報の豊かさ、正確さで秀でています。
 また、新書は未知のジャンルへの入門書として、たいへん重宝するものです。

 今回紹介するのは、洋泉社・歴史新書y の新刊、日本史史料研究会編『秀吉研究の最前線』。副題は、“ここまでわかった「天下人」の実像”。

 洋泉社の歴史新書には、ただの歴史新書と歴史新書y があって、どう違うのかいまひとつ把握していません。知っているのは、y はカバーが薄緑色だということくらいです(笑)
 書店では、あまり置かれていないのか、見付けるのに苦労するし、既刊本でも棚にないものが多いのです。まあ、インターネットで注文してね、ということでしょうか。

 この新書は、戦国時代が中心のようです。『長篠の戦い』『桶狭間の戦い』『本能寺の変』『戦国武将と男色』『伊達政宗の戦闘部隊』……
 シリーズの過半が戦国ものです。

 日本史では、古代史、戦国時代、幕末維新が人気の時代なので、こういうテーマ選びも喜ぶ方が多いでしょう。


 要領よくまとめられた“最前線”シリーズ
 
 私は、戦国時代には余り感心がなかったのです。
 ところが、京都を歩いていると、必ず豊臣秀吉の事績にぶつかるし、本能寺の変も大きな話題なので、織田信長、明智光秀が登場してきます。
 特に、現在の京都の町の基盤は、秀吉の都市改造によって作られたとも言えるので、秀吉はとても重要な人物です。以前、テレビの収録で高島礼子さんとご一緒したとき、高島さんが、どこへ行っても秀吉が出て来る、と驚いておられました。そのくらい、京都と秀吉の関係は深いのです。

 そのため、『秀吉研究の最前線』(2015年8月刊)は、とても有益な書物といえるでしょう。
 本書は、若手研究者らによる“最前線”シリーズの2冊目。第1冊は、『信長研究の最前線』でした(2014年10月刊)。

 『秀吉研究の最前線』は、次の5部から構成されています。

  第1部 政治権力者としての実像とは
  第2部 誰もが知っている秀吉が命じた政策
  第3部 秀吉の宗教・文化政策の実像
  第4部 秀吉の人生で気になる三つのポイント

 
 この4部に、16の項目が配されています。

  方広寺石垣 方広寺石垣

 本書は、京都と秀吉をテーマにしたものではないので、直接京都に関する事項(例えば御土居、天正の地割など)は、余り取り上げられていません。また、文献史学による成果が中心なので、近年、考古学的な成果が目覚ましい聚楽第や伏見城も登場しません。
 京都関係の主なものは、方広寺の大仏と北野大茶会くらいでしょうか(「秀吉は、なぜ京都東山に大仏を造立したのか」、「秀吉の人生にとって「茶の湯」とは何だったのか」)。

 もちろん、京都々々と言うのはないものねだりというもの。
 「刀狩」「太閤検地」「五大老・五奉行」「朝鮮出兵」といった誰でも聞いたことがある事項について、現在の研究成果がコンパクトに分かるのは、たいへん有り難いですね。
 『信長研究の最前線』とあわせて、ぜひ一読してみたい新書です。




 書 名 『秀吉研究の最前線 ここまでわかった「天下人」の実像』
 編 者 日本史史料研究会
 出版社 洋泉社(歴史新書y 55)
 刊行年 2015年8月



スポンサーサイト

コメント

非公開コメント