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PROFILE

船越幹央

Author:船越幹央
博物館で学芸員をしています。また、京都市内の大学で非常勤講師を務めています。
生れ育った京都の魅力を歴史・文化財・史跡を中心にお伝えします!
やっぱり、京都は奥深い。知れば知るほど、味わい深い。このブログを読んで、京都を歩いてみてください!

[主な取材等]
テレビ:NHK「ブラタモリ~京都~」、BS朝日「京都ぶらり歴史探訪」、BS-TBS「高島礼子・日本の古都」、BS日テレ「片岡愛之助の解明!歴史捜査」ほか
新聞・雑誌:小学館「サライ」、朝日新聞、日本経済新聞ほか
見学会:「まいまい京都」ほか

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【大学の窓】退職記念に論文を

大学の窓




論文


 投稿の依頼

 お盆休みも最終日。通勤時間帯は、電車も道路も空いていますね。
 私は、今日も出勤です。

 今ひとつ頭を悩ませていることがあります。

 先日、母校の先生(たぶん准教授)になっている人から丁重な手紙が届きました。封を切って文面を読むと、私の恩師が来年3月に定年退職になるので、大学の雑誌に論文を投稿してほしいという依頼なのです。
 実は、この話、少し前に当の恩師から軽く聞いてはいたのです。
 ところが、少々戸惑ったのは、その締切りが4か月後ということでした。

 自分の予定として、今年は職場の研究紀要に簡単な論考を書くことにしていました。
 その締切りが、10月末。

 その1か月後が期限……
 ふたつ並行して書くのか?

 このお盆、私の頭を最も悩ませているのが、このことでした。


 何について書く?

 依頼の手紙をもらってから、あっという間に2週間が過ぎ、「何を書こう?」という5文字が頭の中をグルグル回り始めました。
 研究者の中には、論文のテーマなんて一杯ある、という人も多いようです。常日頃からテーマをたくさん温めていて、機会があれば書くわけです。

 ところが、私はそういうタイプでもありません。
 どちらかというと、テーマ探しに手間がかかるタイプ。ちょっと構えてしまうタチなのかも知れません。

 それでも、考えていくと、1つ2つのテーマはありそうな気もします。
 しかし、今すぐに「見通し」が付かないのです。

 見通しとは、これからそのテーマをさらに調べて行って、“ゴール”までたどり着けるかということ。
 もし途中で道を失ったら、あと4か月しかないのですから、たぶんアウトでしょう。

 そのことが、妙な緊張感をもたらします。


 このテーマで書ける、かも…

 ということで、ここまで書いてから、小一時間が経過しました(笑)

 何を書くか、考えていた!

 これまでのメモを見直してみると、確かに1、2、これならどうかなぁ、というテーマがあったのです。
 例えば、こういうものを使って。

 「花洛名勝図会」より大文字送り火
  「花洛名勝図会」より「大文字送火」

 いつも登場する名所図会の類。
 
 名所図会というと、どうしても俯瞰図で描かれた景観に注目しがちです。
 ところが、そこには大勢の庶民が描かれていますね。

 「花洛名勝図会」より大文字送り火

 大文字の夜、鴨川の川辺にしゃがんでいる人たち。
 いったい何をやっているのか?
 
 よく見ると、火を燃やしています。
 そして、たぶん蓮の葉だと思うのですが、その上に火を灯して流しているのが分かるでしょう(画面右下)。
 灯籠流しのような感じです。
 
 大文字は、今では、五山に火を灯してそれを眺める行事のようになっています。
 ところが、江戸時代の人々は、お盆の終わりに河原で火を焚いて、また流して、あの世へ帰って行く先祖を送っていたのです。まさに「送り火」ですね。

 こんなふうに、改めて名所図会の絵を見詰めていくと、これまで見落としていた庶民の姿と心が浮かび上ってくるのではないだろうか? そう思えてきたのです。

 これはもう、論文のテーマというより、絵を読み解きながら往時の人々の心に寄り添っていく試みなのかも知れません。

 うまくいくかどうか、しばらくやってみることにしましょう。


  船形



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