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PROFILE

船越幹央

Author:船越幹央
博物館で学芸員をしています。また、京都市内の大学で非常勤講師を務めています。
生れ育った京都の魅力を歴史・文化財・史跡を中心にお伝えします!
やっぱり、京都は奥深い。知れば知るほど、味わい深い。このブログを読んで、京都を歩いてみてください!

[主な取材等]
テレビ:NHK「ブラタモリ~京都~」、BS-TBS「高島礼子・日本の古都」、BS日テレ「片岡愛之助の解明!歴史捜査」ほか
新聞・雑誌:小学館「サライ」、朝日新聞、日本経済新聞ほか
見学会:「まいまい京都」ほか

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300年前の道しるべは、京大構内を通っていた志賀越えの記憶

洛東




吉田本町道標


 京大脇にある道しるべ

 少し調べたいことがあり、早朝、左京区・吉田神社を訪ねました。

 節分で有名な吉田神社は、京都大学の東側、神楽岡にあります。
 百万遍(ひゃくまんべん)から南に向かい、東大路の東一条、つまり京大本部の横に来ました。

 京都大学
  京都大学

 ここに、ひとつの道標があるのです。

 吉田本町道標
  吉田本町道標

 町名にちなんで、吉田本町道標と名付けられています。京都市の史跡です。
 見ての通り、ヒビが入って壊れたものを鉄枠を付けて保護しています。京都帝大で教鞭を執られた歴史学者・中村直勝博士が、道路工事で破壊されものを復元されたのだそうです(『京都市の文化財』)。これは、ずいぶん古い話かも知れません。


 道標の文字

 この道標、あとから触れるように、南西から伸びてきた道の分岐点に建っています。

 吉田本町道標 吉田本町道標

 写真左の面には、「左 百まんへん」と書いてあります。
 よく見ると、まだ下に続いているようで(埋まっています)、『京都市の文化財』によると、「左 百まんへん乃道」となっているそうです。

 写真右の面には、「右 さかもと/からさき 白川」とあります。
 こちらも埋まっていて、「右 さかもと/からさき 白川乃道」となっているといいます。

 この場所、道標にあるように、左方(北)へ行けば百万遍です。
 そして、昔、右斜めに伸びていた道を進むと、志賀越え道で比叡山を越し、滋賀県の坂本や唐崎へ行けるのです。


 京都から滋賀へ通じる志賀越え

 京都の町なか、いわゆる洛中から外に出る場所を「京の七口」などと言っています。
 特に、7つに限定というわけでもないのですが、そう呼びならわしているのです。

 そのひとつに、荒神口(こうじんぐち)があります。
 地点でいうと、鴨川と丸太町通が交わる北側。
 清荒神護浄院(きよしこうじん ごじょういん)があったため、その名があります。

 京都の清荒神については、こちら! ⇒ <荒神橋・荒神口の由来は、「火の用心」の神さまにあり>

 洛中から、荒神橋で鴨川を渡ると、斜めの道が続いています。
 この道が、志賀越えと呼ばれる街道です。

 旧志賀越道
  京大付近の志賀越え

 実は、かつては現在の京都大学構内を志賀越え道が斜めに横切っていたのです。江戸時代、この地に尾張藩の下屋敷が造られる際、道が分断されたのでした。

 しかし、京大キャンパスを抜けると、その道は復活して続き、北白川から比叡山中に入って行きます。
 志賀越えとも言いますし、山中越えもよく使う呼び名です。「都名所図会」(1790年)などには、志賀山越(しがのやまごえ)とも書いてあります。白川という川のそばを通ることから、白川道などとも言うようです。


 300年前に建てられた

 他の2面を見ておきましょう。

  吉田本町道標

 こちらには、「沢村道□」と1字埋もれていますが、「範」の字だということで、沢村道範という人名です。
 この人は、江戸時代、京都の各所に道標を建てた人物だそうです。同じ京都市登録文化財で、御陵中内町(五条別れ)道標も、彼が願主になっています。

  吉田本町道標

 最も見えづらい面に、建立年月が刻まれています。
 「宝永六年/己丑十一月日」、つまり1709年のものと分かります。

 今から300年も前のもの!
 古風で貴重な道しるべです。

 京都市には、文化財になっている道標が5つあります。
 志賀越えでも、この先の地点に1つあります。北白川西町道標というのですが、写真がないので、またの機会に。
 他の道標については、こちらをご覧ください! ⇒ <京都市内の現存最古の道しるべは、三条通・白川橋のたもとにある>

 吉田本町の道しるべは、京都市内の道標の中では3番目に古いものです。
 ヒビが痛々しいけれど、こうして残れば立派な文化財になります。

 道しるべを見た私は、吉田神社へ向かったのですが、その話は次回以降にご紹介しましょう。




 吉田本町道標 (京都市史跡)

 所在 京都市左京区吉田本町
 見学 自由(歩道上にあります)
 交通 市バス「京大正門前」下車、すぐ



 【参考文献】
 『京都市の文化財 [記念物]』京都市文化観光局、1992年


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