きょうの散歩 - 鹿ケ谷・安楽寺かぼちゃ供養 - 2015.7.25 -
|洛東|

鹿ケ谷にある浄土宗の寺・安楽寺
真如堂の虫払い会に行った帰り、近くということで、鹿ケ谷の安楽寺に立ち寄りました。
鹿ケ谷は、「ししがたに」と読みます。
銀閣寺の南の方、東山の山麓です。歴史の教科書では、僧・俊寛らが平氏を倒そうとして密議を行った場所として紹介され、事件は「鹿ケ谷の陰謀」と呼ばれています。人形浄瑠璃や歌舞伎の「俊寛」(平家女護島)で有名ですね。
いまでも、疏水沿いに哲学の道があって、木立の中に法然院などの寺院が見え隠れするようなところ。静かなよい場所です。
法然院の南に、安楽寺はあります。


門前の石標には、「住蓮山安楽寺」という山号とともに、「円光大師霊場」と大書され、また「浄土礼讃根元地」とも記されています。
このしるべ石に、寺の歴史がコンパクトにまとめられているのです。
鹿ケ谷の陰謀から30年ほど後のこと。鎌倉時代の初めです。
法然上人は、南都北嶺から批判されながらも、念仏を広める活動を行っていました。その弟子に、安楽坊と住蓮坊というものがおりました。とても美声で念仏を唱えるので、今で言えばアイドルのように人気を集め、多くの人たちが彼らのもとに馳せ参じました。
その中に、宮中に仕える松虫と鈴虫という女房がおり、彼女らは安楽坊たちのもとに入信を希望します。二人は後鳥羽上皇に寵愛される身、僧たちも躊躇しましたが、結局彼女らを剃髪します。さらに、上皇が熊野へ御幸して不在の折、御所に僧らを泊めたとも言われています。
熊野から戻ってこのことを知った上皇は激怒。関係者を厳しく処罰します。
師の法然は四国へ、親鸞も越後へ配流されます。そして、住蓮坊と安楽坊は死罪という重い罰。世にいう、建永の法難です。
石標にある山号「住蓮山」は住蓮坊を、寺名「安楽寺」は安楽坊の名に由来しています。
また、「円光大師」というのは、師・法然の大師号です。そして「浄土礼讃根元地」とは、住蓮坊らが六時礼讃を唱えた場であることを示しています。

山内には、二人の眠る五輪塔もあります。松虫と鈴虫の石塔もあるそうですが、この日は参拝できませんでした。
かぼちゃ供養は鹿ケ谷かぼちゃで
この日、安楽寺では、かぼちゃ供養が行われました。

門前には、農家の方でしょうか、野菜の販売も行われています。


石段を上って、ひなびた山門をくぐり、江戸時代らしい単層裳階(もこし)付きの本堂にお詣りします。
昼前でしたが、本堂脇の廊にはすでに行列が出来ていました。
待つこと30分。ようやく席にたどりつきました。

庭の方を向いて座り、かぼちゃが出来るのを待っている善男善女。
かぼちゃを炊くのに時間が掛かりますが、この寺の子供さんなのか小学生が手伝っていたりして、ほほえましい限りです。
そして、ようやく来たかぼちゃ。

お茶も付けていただいて、ありがたくいただきます。

ほのかな甘みがあって、おいしいかぼちゃでした。
この鹿ケ谷かぼちゃは、一般的なカボチャと異なって、独特の形をした京野菜です。

鹿ケ谷かぼちゃ
この瓢箪形がトレードマークですね。
かぼちゃというと、冬至にふるまわれるケースも多いと思いますが、こちらは土用。ウナギみたいです。
やはり中風除けなんでしょうね。
おいしくいただいて、安楽寺を後にしました。
安楽寺
所在 京都市左京区鹿ケ谷御所ノ段町
拝観 かぼちゃ供養は毎年7月25日(有料)
交通 市バス「真如堂前」下車、徒歩約10分
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