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船越幹央

Author:船越幹央
博物館で学芸員をしています。また、京都市内の大学で非常勤講師を務めています。
生れ育った京都の魅力を歴史・文化財・史跡を中心にお伝えします!
やっぱり、京都は奥深い。知れば知るほど、味わい深い。このブログを読んで、京都を歩いてみてください!

[主な取材等]
テレビ:NHK「ブラタモリ~京都~」、BS-TBS「高島礼子・日本の古都」、BS日テレ「片岡愛之助の解明!歴史捜査」ほか
新聞・雑誌:小学館「サライ」、朝日新聞、日本経済新聞ほか
見学会:「まいまい京都」ほか

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祇園祭は、山鉾だけでなく、バリエーション豊かな会所にも注目するとおもしろい





船鉾の会所


 祇園祭と会所

 祇園祭も鉾建てが始まる時期になりました。
 これから、宵山に行くと、鉾などが建っている家の中で、ご神体や見送りなどの懸装品を見せてくれますよね。
 この家の多くが、町会所(ちょうかいしょ。略して会所)というものです。

 町会所といえば、町(ちょう)の人たちが寄り合う場所。私の実家は“洛外”、つまり田んぼの中のようなところですが、子供の頃は、古くて大きい木造の町会所がありました。こういうものも、町を中心に自治が行われてきた京都らしい存在です。

 祇園祭の場合、町会所で見せる飾り付けを「会所飾り」と言ったりします。
 今回は、宵山、巡行に先だって、この会所に注目してみたいと思います!


 いろんなパターンがある会所

 南観音山の会所
  南観音山と会所(百足屋町)

 祇園祭には、鉾と山が出ます。
 山には、綱で引っ張る曳山(ひきやま)と、おみこしのようにかつぐ舁山(かきやま)があります。
 「舁く(かく)」という言葉は、京都では、かつぐ、持ち上げる、といった意味。辞書を見ると、肩にかつぐ、という意味なんですが、経験的には持ち上げることを指す感じ。例えば、「机をかく」と言ったら、何人かで机を持ち上げて運ぶ意味です。

  占出山
  舁山(占出山=うらでやま)

 会所も、鉾、曳山、舁山によって、建物のスタイルが違うそうなのです。これは、余り意識しませんね。

 まず、鉾や曳山(北観音山や南観音山)は、こういう感じです。

 船鉾の会所
  船鉾と会所(船鉾町)

 左の建物が、会所。宵山では、2階から鉾に上がれるようになります。

 放下鉾の会所
  放下鉾の会所(小結棚町)

 ふだんは、この写真のように、ふつうの町家です。
 ところが、祇園祭になると、1階の表の間や2階にご神体を祀ったり、山鉾の懸装品を飾ったりして、それを見物客に見せています。

 『まち祇園祭すまい』では、こういったタイプを「表棟型町会所」と呼んでいます。
 長刀鉾、月鉾、船鉾、放下鉾や、北観音山、南観音山の会所がこれに当たります。


 舁山の表棟型町会所

 一方、舁山(かきやま)の会所には、1階や2階の通りに面した座敷を開放して、そこに飾り付けをするところがあります。

 山伏山の会所 山伏山の会所(山伏山町) 

 山伏山の会所  2階

 これは山伏山の会所ですが、2階を開け放って、注連縄(しめなわ)を張って山伏像を祀っています。
 見物は、下からこれを見上げるわけです。

 橋弁慶山の会所  2階

 橋弁慶山の会所  1階
  橋弁慶山の会所(橋弁慶町)

 橋弁慶山の会所は、ふだんは全く別用途になっていますが、祇園祭の折にはこのように変貌。
 牛若丸と弁慶の対決の舞台となった五条橋を1階に据え、2階には牛若丸と弁慶が並び立ちます。
 夜見ると、本当に美しい光景に!

 橋弁慶山の会所

 このタイプも表棟型町会所で、舁山では、山伏山、橋弁慶山、保昌山、郭巨山が当てはまります。


 路地の奥にある会所
 
 これらとは全く違ったスタイルの会所もあります。
 奥棟型町会所とも呼ばれるもので、舁山の過半がこのタイプになります。

 ひとことで言うと、路地の奥に会所飾りが置かれる形です。

 霰天神山の会所
  霰天神山の会所(天神山町)

 霰天神山(あられてんじんやま)の会所です。
 提灯や幕があるので、少し違うなと分かりますが、一見するとふつうの町家ですよね。
 よく見ると、提灯と提灯の間が通路になっており、女性が入って行きます。

 霰天神山の会所

 ようやく人が擦れ違えるくらいの狭い路地。「路地」は、京都風の言い方だと「ろおじ」になります。
 この路地の奥に、会所の棟が建っていて、そこで会所飾りが行われています。

 霰天神山の会所
  霰天神山の会所飾り(天神山町)

 鳥居があって「天神」の額が掛かっています。天神さんを祀っているのですね。
 浴衣を着た女の子らが座ってお守りなどを売っています。この売り子さんが、かわいい小学生のこともあり、独特の一本調子の歌を唄いながら販売するのも御愛嬌です。

 さらに、奥には……

 霰天神山の会所

 土蔵です。
 ここの中には、唐破風を付けた天神祠があるそうです。
 また、蔵の左にある小さな祠は、大日如来を祀る大日堂です。

 これが舁山特有の奥棟型の会所です。
 役行者山、八幡山、鯉山、霰天神山、孟宗山、鈴鹿山、占出山がこれになります。

 鯉山の会所
  鯉山の会所(鯉山町)

 鯉山の会所飾りです。
 昨年(2014年)は、NHKで中継されていましたね。
 左甚五郎作と伝えられる鯉の彫刻が迫力です。


 ビルになった会所も

 会所の中には、ビルになったものもあります。函谷鉾、鶏鉾、菊水鉾、白楽天山、黒主山などがそうです。

 黒主山の会所
  黒主山の会所(烏帽子屋町)

 マンションだけれど、瓦屋根や格子もあって、意匠に工夫をこらしています。

 黒主山の会所 黒主山

 このように、ひとくちに鉾町の会所といっても、バリエーションがあるわけです。
 こんなところも見ながら宵山に行ってみると、なお一層愉しいでしょう。




 霰天神山(天神山町)会所 (京都市指定文化財)

 所在 京都市中京区錦小路通室町西入ル天神山町
 見学 祇園祭宵山の際に可能
 交通 地下鉄「四条」下車、徒歩約5分



 【参考文献】
 谷直樹ほか編『まち祇園祭すまい』思文閣出版、1994年
 『京都市の文化財』第一集、京都市文化観光局、1983年


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コメント

長刀鉾の

長刀鉾の(おそらく?)会所になってる建物。
20年程前迄はとても美味しい蕎麦屋さんだった筈なのですが、今は閉業されて跡形も無いですね。
昔、ここの御近所にあったトンカツの大江戸と同じく週に必ず一回は行く蕎麦屋さんだったので残念です。

ありがとうございます

 記事お読みいただき、ありがとうございます。

 鉾町の会所も、ずいぶんビルになったところが増えましたね。
 おいしいお蕎麦屋さんがなくなったとは、残念です。四条あたりも、老舗が少なくなってきて寂しく思います。伝統を守る店々が続いてくれることを願うばかりです。

 今後とも、ご愛読お願い申し上げます。

    船越幹央

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