09 | 2017/10 | 11
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -
MENU

NEW ARRIVAL

PROFILE

船越幹央

Author:船越幹央
博物館で学芸員をしています。また、京都市内の大学で非常勤講師を務めています。
生れ育った京都の魅力を歴史・文化財・史跡を中心にお伝えします!
やっぱり、京都は奥深い。知れば知るほど、味わい深い。このブログを読んで、京都を歩いてみてください!

[主な取材等]
テレビ:NHK「ブラタモリ~京都~」、BS-TBS「高島礼子・日本の古都」、BS日テレ「片岡愛之助の解明!歴史捜査」ほか
新聞・雑誌:小学館「サライ」、朝日新聞、日本経済新聞ほか
見学会:「まいまい京都」ほか

ARCHIVE

昔も今も、6月末に食べる水無月は美味しい

その他




水無月


 和菓子「水無月」

 どんな和菓子が好きかは、ひとそれぞれ。
 羊羹(ようかん)をお好みの方も多いと思いますが、私は「ういろう」が好きなのです。

 そんな、私に嬉しいのが、6月。

 この月の末の頃ともなると、京都の和菓子店の店先には、「水無月」の紙が貼られます。

 水無月(みなづき)は、6月の別称です。
 しかし京都の人は、水無月と言えば、“あの三角形のお菓子”だと思うのです。


 夏越しの祓

 百人一首に、

  風そよぐならの小川の夕暮れは みそぎぞ夏のしるしなりける 

 があります。
 定家と並び称された歌人・藤原家隆(従二位家隆)の歌。

  藤原家隆歌碑
  従二位家隆「風そよぐ…」歌碑(上賀茂神社)

 ならの小川(楢の小川)は、上賀茂神社を流れる御手洗川(みたらしがわ)のこととされます。
 私にとっては、とても懐かしい小川なのですけれど、10年ほど前に家隆の歌碑も建てられたようです。知りませんでした。

 歌は、そこで人々が「禊ぎ(みそぎ)」を行っている様子を詠んでいます。
 「みそぎぞ夏のしるしなりける」となっていて、これが夏の行事だと分かりますね。

  楢の小川 楢の小川(上賀茂神社)

 旧暦の夏は、4月、5月、6月。
 ここに登場する禊ぎは、夏越し(なごし)の祓(はらえ)というもので、6月晦日(末日)に行われます。いまで言えば、7月も末頃にあたる時期に、罪や穢れを払って、無事に夏を越せるようにという行事ですね。
 
 家隆の歌の禊ぎでも、川に入って足をつけるのでしょう。
 現在でも下鴨神社では、御手洗池に足をつけて穢れを払う神事(御手洗祭)が行われます(7月下旬)。これと同様のことですが、夏の終わり、つまり6月30日に行われるわけです。

 一般の私たちには、茅の輪くぐりと水無月を食べるというのがお決まりとなっています。

  茅の輪くぐり
  茅の輪くぐり(上賀茂神社)


 とらやの水無月

 といっても、茅の輪くぐりには、なかなか行き難いので、花より団子(?)で水無月を食べることにしました。

 水無月というと、いつもはスーパーに売っているものを食べるのですが、今回は四条に行くついでがあったので、「とらや」の水無月を求めてみました(ただし百貨店で。すみません)。

  水無月

 丁寧な箱に入っていて、のし紙は涼やかな水色に金魚の絵柄。
 ちょっと上品すぎたかな、自分には……

 水無月

 こちらは3個入り。
 スーパーで買うやつは、透明の入れ物にギッチリ入っているのですが、品がいい入れ方です、とらやは。

 水無月1個、白水無月2個入り、と書いてあるので、黒っぽい方(中央)が「水無月」のようです。
 スーパーの感覚(しつこい!)では、白の方がノーマルな水無月という感じなのですけれど。

 水無月

 ほんとうに上品で、小ぶりなんです。
 長辺は、7.5㎝くらいで、一般のものより随分小さめだと思います。そのかわり高さが3cmほどあって、分厚い印象です。

 今回知ったのですが、とらやの水無月は、京都と東京とでは大きさが違うらしい!
 同社ウェブサイトによると、京都では50gなのですが、東京は40gなのです。おそらく東京のものは、相当上品だと推察されます。もちろん、値段も違います(京都の方が高くて1個292円、東京は238円)。

 水無月
  とらやの水無月

 水無月
  とらやの白水無月

 箱に入っている由緒書には、こう記されています。

 6月30日は、「夏越の祓(なごしのはらえ)」または「水無月祓(みなづきばらえ)」とよばれる神事が各地の神社で行なわれます。小豆の赤い色が邪気を祓うとされ、京都を中心に、「夏越の祓」にあわせて食べる習慣があります。

 そうか、もしかして、京都以外では余り水無月を食べないんだろうか?
 みなさんの地域では、いかがですか?


 上品な甘さ

 水無月は、ういろうのベースに、小豆がのっている和菓子です。

 とらやの水無月は、しっかりとしていて、少し固めの食感。
 噛むほどに、ほんのりと甘さがにじみ出してくる印象です。
 
  水無月

 正直なところ、私はもう少しやわらかい方が好みです。というより、一般にはこちらの品よりやわらかめに作られると思います。

 水無月といえば、三角形。
 独特の形。
 そのため、京都では、ういろうの一種というよりも、「水無月」という独自のポジションを築いていて、6月末に食べるものとして親しまれています。

 ちなみに、この三角形、氷室の氷の形を模したものとも言われています。昔から愛されてきた夏の涼菓です。

 最後に余談。
 なぜか水無月ずいてきて、翌日、三条に行った折に、寛永堂で水無月を買ってしまいました!
 4個入り702円。こちらも小ぶりで、とらやと同じく7.5㎝クラスです(笑)

 寛永堂の水無月
  寛永堂の水無月

 上にのせた小豆を寒天で寄せているタイプで、ちょっとオシャレ系? とらやのとは、写真を見ても違いが分かるでしょう。

 ひと口に水無月と言っても、お店によっていろいろなのでした。


  とらや




 とらや

 所在 京都市上京区烏丸通一条角(一条店)
     他に直営店、百貨店などで取扱い
 交通 地下鉄「今出川」下車、徒歩約5分



 【参考文献】
 黒川光博『虎屋 和菓子と歩んだ五百年』新潮新書、2005年


スポンサーサイト

コメント

No title

こんにちは、はじめまして。北陸の地に住む主婦です。先生のことは、高島礼子さんの「日本の古都 鞍馬寺」の番組を見て知りました。たまたま、放送されてから、鞍馬寺に行くチャンスがあり、何となく先生の説明を思い出しながら鞍馬寺に参詣しました。何とケーブルカーが修復中でした。仕方なく、歩いて、先生が「九十九折」の話をされてたな~と思いながら、老体にむちうちながら登りました。勿論、帰宅してから、先生の番組を再生して、鞍馬寺と牛若丸の伝説を復習しました。ネットでブログを見つけ、テンションあがりました。興味深い記事ばかりで面白い!すっかりファンになりました。さてさて、みんな大好き?水無月のお菓子ですが、京都に訪れるまで知りませんでした。こちらでは食べる習慣はありません。越中のお隣の加賀では、徳川に献上した氷室を模した氷室まんじゅうを食べるそうですが。今日は、胎内くぐりと呼ばれている、夏越の祓いで、神社に参詣して茅の輪をくぐってきます。これからもいろんな記事を楽しみにしています。
追伸 文鎮シリーズ好きです!

Re: No title

 いつもご愛読ありがとうございます。

 また、高島礼子さんの番組もご覧いただき、御礼申し上げます。
 鞍馬寺は、あの番組のロケをしたすぐあとから、ケーブルカーの工事を行っていて、しばらく乗れないということです。
 つづれ折りも、しんどい坂道ですが、いにしえの人たちの歩みに思いを馳せて上れば、また一興ですね。

 そちらでは、水無月は食べない由。やはり京都を中心とした習慣なのでしょうか。
 確かに、茅の輪くぐりは全国的ですが、お菓子まで食べるとは、京都らしいのかも知れません。

 これからも、ご愛読くださいますよう、お願い申し上げます。

     船越幹央
非公開コメント