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船越幹央

Author:船越幹央
博物館で学芸員をしています。また、京都市内の大学で非常勤講師を務めています。
生れ育った京都の魅力を歴史・文化財・史跡を中心にお伝えします!
やっぱり、京都は奥深い。知れば知るほど、味わい深い。このブログを読んで、京都を歩いてみてください!

[主な取材等]
テレビ:NHK「ブラタモリ~京都~」、BS-TBS「高島礼子・日本の古都」、BS日テレ「片岡愛之助の解明!歴史捜査」ほか
新聞・雑誌:小学館「サライ」、朝日新聞、日本経済新聞ほか
見学会:「まいまい京都」ほか

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京都の「剣鉾」を総合的に紹介した案内書 - 『剣鉾のまつり』 -

京都本




  『剣鉾のまつり』  京都市文化財ブックス 『剣鉾のまつり』


 剣鉾との遭遇

 昨秋、このブログで次のような記事を書いたことがあります。

 記事は、こちら! ⇒ <江戸時代の京都ガイド本「京城勝覧」に沿って、三条大橋から嵯峨・嵐山へと歩いてみた - 前編 -> 

 三条大橋から松尾大社まで歩いていく途中、花園・妙心寺の近くで、こんなものに遭遇したのでした。

  花園今宮神社の剣鉾 

 剣鉾(けんほこ、けんぼこ)。

 武器である鉾(ほこ)が、祭器になったものです。
 祭礼の際、この剣鉾を差し歩く(応援団の大旗のようにして持って歩く)、あるいは台車に載せて練り歩く、ということが行われます。

 京都で「鉾」と言えば、祇園祭の鉾をイメージしますが、市内各所の祭礼でこの剣鉾が登場するのです。
 ただ、これまで剣鉾について手軽に読める参考文献がありませんでした。

 そんな中、京都市文化財ブックスの1冊として、『剣鉾のまつり』が刊行されました。市内の剣鉾について通覧できるビジュアルな好著です。
 京都市役所・情報公開コーナーや京都駅の総合観光案内所などで、1,500円で販売されています(私は、いつも京都市考古資料館で買っています)。


 市内に広範に残る剣鉾

 山路興造氏の序文によると、剣鉾のまつりとは次のように説明されています。

 平安時代、京都の支配者であった朝廷や公卿たちは、この疫病を平安京遷都の政争で敗れた者たちの霊が祟ると考え、「御霊」を祀る法会や祭礼をあちこちで執行した。
(中略)
 疫病の流行は、都に住む人々の階層を問わず、死をもたらしたが、その原因を「御霊」の祟りとは考えず、疫神の蔓延によると考えて、それを集めて追い払うことに専念する行事も行われた。それが「剣鉾のまつり」である。
(中略)
 鉾は当初から、悪霊を追い払う武具的要素と、神を迎える神座(かむくら)としての要素を兼ね備えていたのである。(2ページ)


 剣鉾は神が降りて来る依代であり、人々は鉾を持ち歩いて疫神を集めて回り、それを除去したというのです。

  花園今宮神社の剣鉾 花園今宮神社の神幸祭(右京区)

 24~27ページには、京都市内の剣鉾が出る祭礼の一覧と地図が掲載されています。
 市内52か所で確認されており、地域もまんべんなく分布していて、意外な多さに驚かされます。
 年に一度、春か秋に行われるのが通例で、春は主に5月、秋は9月から10月に執行されているようです。

 出される剣鉾の本数は、都合300ほどにも上ります。
 最も多くの剣鉾が出るのは、粟田(あわた)神社の粟田祭で、18本。ついで、岩倉の石座(いわくら)神社の火祭りが10本、紫野・今宮神社の今宮祭りが9本などとなっています。

 なかでも、次の4つは京都市の無形民俗文化財です。

 ・一乗寺八大神社の剣鉾差し
 ・西院春日神社の剣鉾差し
 ・嵯峨祭の剣鉾差し
 ・梅ケ畑平岡八幡宮の剣鉾差し

 住吉大伴神社の剣鉾
  住吉大伴神社の秋祭り(右京区)

 剣鉾は、神社の所有物ではなく、地元の鉾町や鉾仲間が守っておられるのだそうです。
 これは祇園祭などと同様ですが、地域の結び付きを強める役割を果たしているのですね。

 お祭りの季節になったら、本書をガイドとして見て回りたいと今から愉しみです。





 書 名  『剣鉾のまつり』(京都市文化財ブックス第29集)
 執 筆  福持昌之(京都市文化財保護課)
 発 行  京都市文化市民局 文化芸術都市推進室 文化財保護課
 刊行年  2015年3月


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