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船越幹央

Author:船越幹央
博物館で学芸員をしています。また、京都市内の大学で非常勤講師を務めています。
生れ育った京都の魅力を歴史・文化財・史跡を中心にお伝えします!
やっぱり、京都は奥深い。知れば知るほど、味わい深い。このブログを読んで、京都を歩いてみてください!

[主な取材等]
テレビ:NHK「ブラタモリ~京都~」、BS-TBS「高島礼子・日本の古都」、BS日テレ「片岡愛之助の解明!歴史捜査」ほか
新聞・雑誌:小学館「サライ」、朝日新聞、日本経済新聞ほか
見学会:「まいまい京都」ほか

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都の鬼門にある赤山禅院を描いた名所図会には、意外なものが !?





赤山禅院


 都の鬼門に位置する赤山禅院

 赤山禅院(せきざんぜんいん)は、京都市街の北東にあります。
 この方角は鬼門(表鬼門=東北)にあたることから、古くから方除けの信仰を集めてきました。

 京阪電車の出町柳駅から、叡山電鉄に乗り換え、修学院駅で下車。
 駅の西方には、三千院で知られる大原に通じる道(大原街道)が走っています。その街道を東に分岐すると、赤山禅院へ至る道となります。

  赤山道道標 「東 赤山道」の道標

 明治17年(1884)に建立された道標。ここから、赤山禅院まで「六丁」(約650m)と記されています(実際には、もう少しありそうです)。

 白川通を越えて、音羽川に沿って北東に進みます。案内板もあるので道には迷わないでしょう。
 駅から、およそ20分。
 石鳥居が見えてきます。

 赤山禅院

 背後の山は、比叡山です。とても近くに見えます。
 このロケーションには意味があるのです。

 もともと赤山明神は、中国の泰山府君にあたります。
 円仁(慈覚大師)が入唐した際、帰国の途次、船が登州に着いてしまい、しばらく赤山法華院というところにいたそうです。円仁は、本願を遂げれば帰国後禅院を建てて祀る、と誓いました。しかし、それが叶う前に没してしまい、のちに弟子らが仁和4年(888)に祀ったと伝えられています。

 先日、比叡山の横川を訪ねましたが、そちらにも赤山明神が祀られていました。叡山と関係の深い神さまなのです。
 比叡山の東麓の守護神が日吉大社、西麓の守護が赤山大明神というわけです。


 江戸時代の絵図には… 

 赤山禅院

 鳥居をくぐって進むと、高麗門。
 「天台宗修験道 総本山管領所」「赤山禅院」の木札が掛かっています。

 赤山禅院

 さらに歩を進めて、僅かな石段を登ると拝殿が目に入ります。

 赤山禅院
   拝殿

 拝殿の前に立っても、本殿は全くうかがえません。少々距離があるのです。

 本殿は、大きな三間社流造。屋根の勾配が、とても急ですね。

 赤山禅院
   本殿

 赤山禅院 象鼻

 赤山禅院 手挟

 細部を見ると、木鼻はゾウの形をした象鼻です。手挟(たばさみ)も、菊の籠彫りになっています。
 雰囲気からして、江戸後期から明治時代の造営でしょうか。

 この赤山禅院、本殿の背後や奥にも境内が広がっていて、摂末社も数多くあり、なかなか結構です。
 その様子を江戸時代の絵画で振り返っておきましょう。

 「都名所図会」より「赤山社」
  「都名所図会」より「赤山社」

 「都名所図会」(1780年)に描かれた赤山明神。
 昔は、この絵のタイトルのように赤山社とか、石灯籠に刻まれているように赤山大明神などと呼ばれていたのでしょう。
 
 石鳥居を入って、参道は緩やかにカーブしています。この頃は、高麗門はないようです。

 「都名所図会」より「赤山社」

 拝殿は、舞殿風のもの。
 やや離れて、玉垣に囲まれた流造の本殿があります。 
 右方には絵馬所が、左方にも本地堂が描かれています。


 拝殿上の猿

 ところで、鬼門除けといえば、猿(さる)でしょう。
 猿は、方位の申(さる=西南西)に通じ、鬼門(北東)の逆方向であることから、鬼門除けになると考えられています。
 この猿が、拝殿の上に鎮座しているのです。

 赤山禅院

 御幣と鈴を持つ猿。
 絵馬にも登場します。

 赤山禅院
  絵馬 赤山明神と猿

 御所の猿ケ辻にも猿像はあるし、ここまでなら、余り驚かないわけですが。

 「都林泉名勝図会」より「赤山社」
  「都林泉名勝図会」より「赤山社」  左端が本殿

 「都林泉名勝図会」(1799年)に描かれた赤山明神。
 左方に拝殿と本殿があり、上方には池があり、少々庭園風になっています。

 参詣者が大勢いますが、右端あたりに注目してみてください。
 なにか、いませんか?

 実は……

 「都林泉名勝図会」より「赤山社」

 なんと、オリの中に2匹のサルが!

 参詣者がエサをやっています。

 なんということでしょう。リアルなサルを飼っていたとは !!
 たしかに、像よりは本物の方が効き目はあるかも?

 赤山禅院、なかなかおもしろい。
 もう1回、つづきます。

 (この項、続く)



 赤山禅院

 所在 京都市左京区修学院開根坊町
 拝観 自由
 交通 叡山電車「修学院」下車、徒歩約20分



 【参考文献】
 「都名所図会」1780年
 「都林泉名勝図会」1799年
 『望月仏教大辞典』


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