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船越幹央

Author:船越幹央
博物館で学芸員をしています。また、京都市内の大学で非常勤講師を務めています。
生れ育った京都の魅力を歴史・文化財・史跡を中心にお伝えします!
やっぱり、京都は奥深い。知れば知るほど、味わい深い。このブログを読んで、京都を歩いてみてください!

[主な取材等]
テレビ:NHK「ブラタモリ~京都~」、BS-TBS「高島礼子・日本の古都」、BS日テレ「片岡愛之助の解明!歴史捜査」ほか
新聞・雑誌:小学館「サライ」、朝日新聞、日本経済新聞ほか
見学会:「まいまい京都」ほか

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90周年を迎える叡山電鉄は、出町柳の駅舎も見逃せないスポット





出町柳駅


 叡電の平坦線も、開業90周年

 前回、比叡山に登る叡山ケーブル、ロープウェイが、今年(2015年)90周年を迎えることを紹介しました。
 ケーブルにつながる鉄道路線(いわゆる「平坦線」)も、もちろん90年の節目となります。

 叡電90周年ヘッドマーク 記念ヘッドマーク

 平坦線は、京都北郊への入口・出町柳駅と、比叡山麓・八瀬の間、5.6kmを結びました。大正14年(1915)9月27日のことです。
 ケーブルは、それに約3か月遅れで(12月20日)、ロープウェイは昭和になってから(昭和3年10月21日)、開業しています。
 当時の運営者は、京都電灯株式会社。昭和17年(1942)に、京福電気鉄道が設立され、戦後ずっと経営してきました。現在の叡山電鉄(叡電=えいでん)は、昭和60年(1985)の設立です(翌61年営業開始)。


 隠された駅舎

 叡電・出町柳駅です。

 出町柳駅
  叡山電鉄 出町柳駅

 よくある普通の駅舎ですね。
 構内に入ってみましょう。

 出町柳駅

 ホームを先(北)に進んで振り返ると、まったく違った様相を呈します。

 出町柳駅

 なにやら、お寺の屋根のようなものが!

 出町柳駅

 入母屋造(妻入り)の簡素な屋根。
 しかし、破風には飾りの懸魚(げぎょ)も取り付けられています。

 出町柳駅

 下にぶら下がっているのが懸魚ですね。かぶら懸魚ふうな姿です。
 上に飛び出しているのは鬼瓦というわけですが、和風ではなく、西洋のアンテフィクス(植物文様の屋根飾り)をイメージしているのでしょう。
 つまり、和様折衷で、近代の鉄道駅舎らしい感覚です。

 この駅は、開業当時、比叡山延暦寺へのアクセスポイントだったわけですから、寺院風のデザインにしたのでしょう。
 全国の鉄道駅舎を見ると、神社仏閣に近い駅の多くで、このような意匠が取り入れられていること分かります。


 堂々たる鉄骨造

 この屋根の下に入ってみます。

 出町柳駅

 堂々たる鉄骨造ですね。
 屋根がトラスによって支えられていることが分かります。構造は、洋式だったわけです。
 できるだけ柱を少なくして、広い空間を確保するように努めています。

 出町柳駅

 開業当初は、この入母屋造の部分だけで営業していたようです。古い写真は、『京福電鉄50年の歩み』などにも掲載されていますが、かなり格好いいです。
 現在では、北側にホームを覆う屋根を増設しています。

 出町柳駅
  ホームに設置されている屋根 手前が古い駅舎部分

 90年の重みですね。
 前回紹介した八瀬比叡山口駅(旧・八瀬駅)も、古いたたずまいが残っています。

 八瀬比叡山口駅
  八瀬比叡山口駅

 これらの駅舎は、特段、文化財に指定・登録はされていないようですが、誇るべき近代化遺産、鉄道文化財です。
 平成元年(1989)に京阪電鉄鴨東線が出町柳まで延伸され、叡電出町柳駅も4年後(1993年)にビル化されました。
 しかし、その内側に古い駅舎が残されたのです。

 駅の外(南側)に出て、見えないかなぁと下がっていくと……

 出町柳駅

 見えました!
 
 ちょっと懸魚が傷んでいるみたいだけれど、うれしい姿です。 

 私の妄想は、今度駅ビルを建て替えるときは、この旧駅舎を露出させて、古式ゆかしい駅に戻すこと。
 そうしたら、きっと延暦寺や鞍馬寺、貴船神社にアプローチするにふさわしい、京都らしい駅になるのではないでしょうか?


  叡電90周年ポスター 90周年ポスター




 叡山電鉄 出町柳駅

 所在 京都市左京区田中上柳町
 乗車 鞍馬・貴船口、八瀬比叡山口方面へ
 交通 京阪電鉄「出町柳」下車、すぐ



 【参考文献】
 『京福電気鉄道50年の歩み』京福電鉄、1993年


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