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船越幹央

Author:船越幹央
博物館で学芸員をしています。また、京都市内の大学で非常勤講師を務めています。
生れ育った京都の魅力を歴史・文化財・史跡を中心にお伝えします!
やっぱり、京都は奥深い。知れば知るほど、味わい深い。このブログを読んで、京都を歩いてみてください!

[主な取材等]
テレビ:NHK「ブラタモリ~京都~」、BS-TBS「高島礼子・日本の古都」、BS日テレ「片岡愛之助の解明!歴史捜査」ほか
新聞・雑誌:小学館「サライ」、朝日新聞、日本経済新聞ほか
見学会:「まいまい京都」ほか

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きょうの散歩 - 国立文楽劇場・吉田玉男襲名披露公演に行く - 2015.4.6 -

その他




文楽4月公演


 大阪・国立文楽劇場の4月公演は、二代目吉田玉男の襲名披露です。
 吉田玉男といえば、あの細身のおじいさんの玉男さんしか思い浮かばないわけですが、このたび、玉女(たまめ)さんが二代目を襲名されるということで、誠に目出度い限りです。
 そして改めて、初代の玉男さんの偉大さが忍ばれます。

 文楽4月公演 二代目 吉田玉男
 
 4月6日、公演3日目。あいにくの空模様でしたが、国立文楽劇場の前には、まだ桜が残っていました。
 1階の展示室では、二人の玉男に関する展示を行っていて、亡き初代を懐かしみました。初めて見る初代の「演出ノート」の文字は端正で美しく、あの人柄をそのまま表しているようで、さらに懐旧の情がわいてきました。
 また、今回上演される「絵本太功記」の劇中、光秀が書いた辞世も展示されていました。「順逆無二門 大道徹心源 五十五年夢 覚来帰一元」という五言絶句ですが、これを衝立に揮毫する場面が「妙心寺の段」にあります。その舞台上で書かれた文字が、2点並べられていました。
 光秀の人形が書いたーーということは、初代玉男さんの筆ですが、その見事な書きぶりにお客さんも感嘆されていました。

 午後4時から始まった第2部の演目は、「絵本太功記」「天網島時雨炬燵」「伊達娘恋緋鹿子」。
 私のお目当ては、本能寺の変で主・信長を討った明智光秀とその家族の悲劇を描いた「絵本太功記(えほんたいこうき)」です。
 今日は、十段目(「夕顔棚の段」「尼ケ崎の段」)が上演されました。

  “夕顔棚のこなたより、現れ出でたる武智光秀”という一節で、つとに有名です。

 ご承知のように、江戸時代では実名をはばかって、明智光秀は「武智光秀」、織田信長は「尾田春永」、羽柴(豊臣)秀吉は「真柴久吉」です。まぁ、まるわかりですが……

 十段目の舞台は、光秀の母・さつきが閑居する尼ケ崎の田舎家です。
 そこへ、旅の僧に身をやつした久吉(秀吉)が一夜の宿を求めてやって来ます。あとから追って来た光秀は、藪の竹を伐って槍(やり)にして、抜き足さし足で座敷に上がります。そして、障子の向こうにいる久吉を一突き! ーー したはずが、突いた相手は母のさつきでした……

 驚く光秀。
 しかしこれも、主君を討った光秀を諌める母心なのでした。なんとも言葉を失う場面です。
 
 この「絵本太功記」、他の演目とは異なって13段もあり、そこに発端と大詰が付く長い構成になっています。
 本能寺の変は、史実では天正10年(1582)6月2日に起きたわけですが、「絵本太功記」では、前日の6月1日から、光秀が小栗栖で没する6月13日までを1日ずつ全13段で描きます。
 現在では上演されない段も多いわけですが、13段目「小栗栖の段」もそのひとつ。ここで光秀は、郷民の竹槍で突かれ、絶命します。

 おそらく、10段目で、久吉(実は母・さつき)を竹槍で突く場面は、この小栗栖の場面につながっているのでしょう。
 久吉を討とうとして突いた竹槍が、3日後には自分に返ってくる……。歴史の逆説というべきか、そのときの光秀の心情や如何に。

 私がイメージする明智光秀は、実務に秀でた官僚タイプで、性格は誠実。地味な人物という印象です。ところが、文楽の“武智”光秀は、ずいぶん勇ましく、派手な感じのする武将でした。
 こんな描き方もあるのかなと、少々意外でもあります。

 いつも光秀に同情的な私は、母・さつきが光秀を「逆賊非道」の「不孝者」、「悪人」と、こき下ろしているのが、少し悲しく思われます。まぁ、忠孝を重んずる江戸時代に書かれた脚本なので、それも仕方ないというべきでしょうか。

 文楽4月公演

 玉男さんが紙屋治兵衛を操る「天網島時雨炬燵」も、見所たっぷり。
 八百屋お七をモチーフにした「伊達娘恋緋鹿子」は、雪降る夜の美しい演出。
 3本とも楽しめる出し物で、これは見逃せませんね。

 二代目吉田玉男の襲名披露、文楽4月公演は、大阪・日本橋の国立文楽劇場で、4月26日まで開催中です。


  文楽4月公演




 国立文楽劇場

 所在 大阪市中央区日本橋
 交通 地下鉄「日本橋」下車、徒歩すぐ


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