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船越幹央

Author:船越幹央
博物館で学芸員をしています。また、京都市内の大学で非常勤講師を務めています。
生れ育った京都の魅力を歴史・文化財・史跡を中心にお伝えします!
やっぱり、京都は奥深い。知れば知るほど、味わい深い。このブログを読んで、京都を歩いてみてください!

[主な取材等]
テレビ:NHK「ブラタモリ~京都~」、BS-TBS「高島礼子・日本の古都」、BS日テレ「片岡愛之助の解明!歴史捜査」ほか
新聞・雑誌:小学館「サライ」、朝日新聞、日本経済新聞ほか
見学会:「まいまい京都」ほか

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地域のブランド力とは? - 滋賀県の“県名変更”に考える -

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金閣寺


 「滋賀」の県名を変更 !?

 京都新聞は、京都府とともに滋賀県を販売エリアにしています。そのため、滋賀のニュースも掲載されます。
 
 今日、みんなが驚いたニュースといえば、“「滋賀」県名変更しては?”というものでしょう(2015年2月26日付)。
 
 2015年2月25日の滋賀県議会で、滋賀のブランド力が低いので「県名を変更しては」という提案があったといいます。
 記事によると、同じような提案は2009年にもあって、その背景には、「滋賀」より「近江」の方が知名度がある(つまり「近江県」に変えてはどうか?)ということのようです。

 第一印象は、滋賀県の議員さんは自らの県名に愛着がないんだろうか? という素朴な疑問。
 次に思ったのは、背に腹は代えられぬ、名(県名)より実(経済)を取るということなのか、という感想。
 そして最後に考えたのは、これも最近自治体で流行っている“自虐キャンペーン”の一種なのかな?、という深読み。

 議会を傍聴していないので、どういう雰囲気で言われたのか分かりませんが、県名変更とは穏やかではありません。


 地域ブランド力の調査

 滋賀県のブランド力が低いという論拠ですが、日経リサーチという調査会社が隔年で発表している「地域ブランド戦略サーベイ」の2013年版に拠っているようです。
 
 この調査によると、「滋賀」の認知度は全国37位でしたが、「近江」は29位(旧国名88のうち)だったそうです。近江の方が少し有名だということですね。

 一方、京都では、府名を変えようという議論は、これまでおそらく出たことはないでしょう。
 この調査でも、京都は都道府県ブランド力ランキングで、2位となっています(前回も2位)。
 ちなみに、1位は北海道、3位・沖縄、4位・東京、5位・大阪です。6位以下は、神奈川、鹿児島、福岡、兵庫、奈良の各県になっています。
 ちなみに、香川県は前回調査24位から14位へ急上昇。これは、例の「うどん県」への“改名”が功を奏したらしいのです。

 それを裏付けるかのように、名産品ブランド力ランキングでも、

 1 讃岐うどん
 2 博多辛子明太子
 3 白い恋人
 4 夕張メロン
 5 京都八ツ橋

 となっています。

 それにしても、夕張市は財政破綻したのに、「夕張メロン」だけは有名とは、なんという皮肉でしょうか。


 国名を付けた都道府県はない

 そういえば、近年の市町村合併で、京都の「京丹後市」「京丹波町」をはじめ、「丹波市」「伊賀市」「阿波市」「伊予市」「出雲市」「南さつま市」「さつま町」「伊豆市」「伊豆の国市」「甲斐市」などなど、数々の旧国名を付けた地方自治体が誕生しました。
 おそらく、いずれの市町も、旧国名の知名度の高さを生かしたかったのでしょう。

 しかし、旧国名を付けた都道府県は、ひとつもないのです。
 これは、国と都道府県が別次元の存在だからです。

 黒田日出男氏の説明によると(平凡社『大百科事典』の「国」)、「1871年7月の廃藩置県で藩が県にかえられ、11月には県が合併整理されたが(改置府県)、県は統治機構の名であって支配の及ぶ範囲ではなく、したがって地方行政の対象としての国は残った」 「宮武外骨の《府藩県制史》によれば、国を廃止する告示は出されないので、国名が廃止されたことはないのである」と説明されています。

 つまり、国は「地方行政単位」であり、県は「統治機構」で、まったく別の概念なのです。
 都道府県は、藩を引き継ぐものですから、そこに旧国名を付けるのは概念の混同といえなくもありません。

 たまたま今日、雨降る中、滋賀県の近江八幡市を訪れたのです。
 図書館で町の歴史を瞥見し、八幡宮に参拝してから、古い町並みや掘割、ヴォーリズの近代建築を眺め、NPOの人たちとおしゃべりして、つくづく歴史のある良い町だなと思いました。
 こういった美しく、麗しい地域が、滋賀県にはたくさんあります。

 そういえば、最近、京都でもアメリカ旅行雑誌のランキングで1位になったことが喧伝されています。
 ランキングをPRに使うのも広報戦略なのだと思いますが、余り上品とは思えません。数字にとらわれずに、大人の議論をしたいものです。



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 3月3日(火)、関西テレビ「スーパーニュースアンカー」(16:48~19:00)の17時台の特集「ニュースの熱点」に出演します。
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