07 | 2017/08 | 09
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -
MENU

NEW ARRIVAL

PROFILE

船越幹央

Author:船越幹央
博物館で学芸員をしています。また、京都市内の大学で非常勤講師を務めています。
生れ育った京都の魅力を歴史・文化財・史跡を中心にお伝えします!
やっぱり、京都は奥深い。知れば知るほど、味わい深い。このブログを読んで、京都を歩いてみてください!

[主な取材等]
テレビ:NHK「ブラタモリ~京都~」、BS-TBS「高島礼子・日本の古都」、BS日テレ「片岡愛之助の解明!歴史捜査」ほか
新聞・雑誌:小学館「サライ」、朝日新聞、日本経済新聞ほか
見学会:「まいまい京都」ほか

ARCHIVE

【大学の窓】1年間の授業が終わって考えたこと

大学の窓




キャンパス風景


 目標の高い学生たち

 出講している大学の担当授業は1月中に終了し、先日、成績判定の会議も済んで、今年度はすべて終わりました。

 判定会議で、学生たちが授業に関して書いたアンケートを読むのですが、毎年深く考えさせられます。
 質問項目に、いま自分に不足している力は何か? という項目があります。
 今年目立った答えは、忍耐、根気が不足している、というもの。これは例年あまり見かけない回答です。
 一見、勉強不足のような答えに見えるけれど、裏を返せば、自己の目標が高く、それに至らない自分に不満を感じている、ということです。つまり、それだけ真面目、熱心な証しと言えるでしょう。
 
 それと関連するのか、自分には知識が足りない、という答えも数多く見られました。
 1年間、歴史に関するテーマを設定して調査を行い、その「答え」を見付けていく。そんな作業をしてもらっているのですが、未知の史料や事実に対峙して、知識不足からお手上げ状態になることが多かった、ということのようです。
 この感想も、勉学意欲の高さを物語っています。


 学力の背景にあるもの

 そんな声を聞くなかで、少し衝撃的なニュースに接しました。
 お茶の水女子大学の研究チームが文部科学省から委嘱を受けてまとめた「平成25年度全国学力・学習状況調査(きめ細かい調査)の結果を活用した学力に影響を与える要因分析に関する調査研究」です。
 長いタイトルなのですが、要は、子供たちの「学力」の高低は、家庭環境や経済力に比例する、という報告です(乱暴にまとめてすみません)。

 報告書は、約250ページ! もあって、さすがにすべて読めませんが、概要版によると、次のようなことが指摘されています。

・家庭の社会経済的背景(SESという)と学力の関係
 SES が高い児童生徒の方が、各教科の平均正答率が高い傾向がある。
・不利な環境を克服している児童・生徒の特徴
 SESが低いからといって、すべての子供の学力が低いわけではない。学習時間は、不利な環境を克服する手段になる。
 また、生活習慣や読書の習慣が学力に影響を及ぼしている。
・保護者の意識と学力の関係
 子供への接し方として、生活習慣についての働きかけや、読書、学習、文化・芸術・自然体験などへの働きかけが多い。
 また、高い学歴への期待感や、学校活動への積極的な参加があり、教育投資額も高い。

 家庭の社会経済的背景(SES)は、一般には、保護者の「職業」「学歴」「所得」という3要素から構成されるそうです。今回の調査では、このうち学歴と所得に絞って調査しています。

 この調査でも、家庭の収入が高い方が子供の学力は高くなる、ということが明瞭になった--のですが、衝撃的なのは、格差を克服する手段である学習時間について、最もSESが低い層で毎日3時間も勉強している子供より、全然勉強していない最もSESが高い層の子供の方が成績がよい!--ということなのです。
 これじゃ報われない、ということが衝撃なのですね。

 もちろん、この研究自体はそんな点だけを強調するものではありませんが、経済資本が教育に及ぼす影響の大きさを垣間見る思いです。

  キャンパス風景


 学力と教養

 そう考えてみると、大学だって、ほとんど学力によって入学者を選抜しているわけですから、SESの影響を免れないわけです。
 今回の研究で、目がとまったのは、学力が高い子供の保護者は、子供と一緒に「博物館や科学館」「図書館」「美術館や劇場」に行っている、という点でした。
 私のイメージの中では、博物館施設や図書館、劇場などは、学力というより「教養」の領域に属するものだと思っていました。ところが、親と一緒にそういう施設に行く子供は、学力も高いということなのですね。
 ということは、教養を身につけるにも、まず学力から、ということでしょうか。

 大学では、昔は「教養課程」というものがあったくらい、教養が重視されていたように思います。ところが最近では、教養という漠然としたものよりも、社会的課題を解決する能力(問題解決力)が重視されるようになっている気がします。

 それが駄目だというつもりはないけれど、やはり教養のある学生を育てたいなぁと、思ったりもするのでした。



スポンサーサイト

コメント

非公開コメント