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船越幹央

Author:船越幹央
博物館で学芸員をしています。また、京都市内の大学で非常勤講師を務めています。
生れ育った京都の魅力を歴史・文化財・史跡を中心にお伝えします!
やっぱり、京都は奥深い。知れば知るほど、味わい深い。このブログを読んで、京都を歩いてみてください!

[主な取材等]
テレビ:NHK「ブラタモリ~京都~」、BS朝日「京都ぶらり歴史探訪」、BS-TBS「高島礼子・日本の古都」、BS日テレ「片岡愛之助の解明!歴史捜査」ほか
新聞・雑誌:小学館「サライ」、朝日新聞、日本経済新聞ほか
見学会:「まいまい京都」ほか

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三十三間堂の謎の石 - 長大な本堂の四隅に石が…

寺院





三十三間堂


 見どころが多い三十三間堂

 東山七条にある三十三間堂(蓮華王院)は、ツーリストに人気のお寺で、その長い本堂(約120m)と千体千手観音立像で有名です。
 私も好きでよく訪ねるのですが、その度毎に新しい発見があり、とても愉しいお寺です。拝観料は600円ですが、毎回その値打ちはあるなぁと実感しています。

 その見どころは、大きく分けて、

  (1)長大な本堂
  (2)観音菩薩と二十八部衆の仏像
  (3)通し矢の逸話
  (4)後白河法皇による造営と豊臣氏による改変とその後

 といったところでしょうか。
 今回は、本堂にまつわる謎を1つ探ってみましょう。


 何のための石?

 この写真は三十三間堂の南側面(妻側)です。

三十三間堂

 ちょっと赤ペンで囲ってみましたが、基壇の部分の四隅にこんな石があります。

三十三間堂

 他の石より根深い大石で、上部に少し細工がしてあります。

三十三間堂

 ぽちっと“おへそ”加工です。

 さて、これは何のための石なのだろう?


 昔の写真で…

 京都や奈良のお寺によく行かれる方なら、こんな石をご覧になったことがあるでしょう。
 そう、礎石ですね。柱の下に置かれる石です。

礎石

 これは、京都帝大の天沼俊一先生の著書『日本建築細部変遷小図録』に掲載された山城国分寺の礎石です。同じように、中央に突起部が見られます。

 では、三十三間堂の礎石は何のために置かれたのでしょうか?

三十三間堂

 ヒントは、この部分。少し反った軒。あの礎石の真上にあります。

 答えは、次の写真でわかります。
 大正8年(1919)に刊行された『日本古建築菁華』上冊に掲載された、大正時代前半の三十三間堂の写真です(北の妻側を撮っています)。

大正時代の三十三間堂

 そうなのです。礎石から軒に向かって立つ柱。この柱を支えていた名残が、この礎石だったのです。

 日本の寺院建築の多くは、屋根が本瓦葺きになっています。三十三間堂は、最も長大な屋根を持っていますから瓦の枚数も尋常ではありません。室町時代の永享年間(1429~41)に修理が行われたのですが、そのときの瓦へのへら書きによると、葺かれていた総枚数は16万枚! だったといいます。
 そういうウェイトのこともあり、軒は垂れ下がってくる傾向にあります。そのため、支柱を立てるなどの方法で重さを支える必要がありました。この支柱はおそらく江戸時代に立てられたと思われ、明治以降も残されていました。
 はずされたのは、昭和5年(1930)から始まる大修理の際です。

 三十三間堂の名誉のために付け加えれば、このような支柱による軒の補強は当寺だけの特例ではありません。たとえば、次の写真をご覧ください。

大正時代の三十三間堂

 東大寺の南大門です。これも『日本古建築菁華』上冊に掲載された写真です。三十三間堂以上に補強されています。昭和4年(1929)の解体修理でこの支柱群もはずされますが、それ以前は倒壊しそうな危うさだったそうです。
 寺院の堂宇は、数百年、場合によっては千年以上もつものですが、ところによっては江戸時代頃にはかなり荒廃していた建物もありました。明治以降、文化財保護行政が進むなかで根本的かつ近代的な修理が実施され、現在私達が見るような美しい姿になったのです。
 



 蓮華王院本堂(三十三間堂) (国宝)

 *所在:京都市東山区三十三間堂廻り町
 *拝観:一般600円、高校・中学生400円、小学生300円
 *交通:京阪七条駅より徒歩約5分



 【参考文献】
 天沼俊一『日本建築細部変遷小図録』星野書店、1944年
 岩井武俊『日本古建築菁華 上冊』 便利堂コロタイプ印刷所、1919年
 村上訒一「日本の美術 525 文化財建造物の保存と修理の歩み」2010年



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三十三間堂

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