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船越幹央

Author:船越幹央
博物館で学芸員をしています。また、京都市内の大学で非常勤講師を務めています。
生れ育った京都の魅力を歴史・文化財・史跡を中心にお伝えします!
やっぱり、京都は奥深い。知れば知るほど、味わい深い。このブログを読んで、京都を歩いてみてください!

[主な取材等]
テレビ:NHK「ブラタモリ~京都~」、BS-TBS「高島礼子・日本の古都」、BS日テレ「片岡愛之助の解明!歴史捜査」ほか
新聞・雑誌:小学館「サライ」、朝日新聞、日本経済新聞ほか
見学会:「まいまい京都」ほか

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昭和9年の地図を片手に、寺町・新京極の老舗をさぐる - その4・花遊小路 -





ワンダス写真館


 横丁に入れば花遊小路

 昭和9年(1934)に発行された地図「京極と其附近案内」を見ながら、新京極を歩く企画の最終回。今回は、ちょっと横丁に入って、古いお店を探してみましょう。

 錦天満宮の南の通りを東に折れると、そこは明治末に開かれた「第二京極」です。
 先年まで映画館「八千代館」だった WEGO を見て、その角を南に曲がります。左手に、これまた映画館だったビル(現在は忍者迷宮殿など)を見ながら突き当り、さらに少し東へ行くと、こんな細道が……

  花遊小路

 花遊小路(かゆうこうじ)。
 ここはかつて、四条道場とも呼ばれた金蓮寺があったところで、その一角に花遊軒という精進料理を出す料亭があったといいます。
 大正元年(1912)頃、花遊軒の場所を再開発して、この花遊小路を作り、たくさんの店を出させたのです。

 花遊小路
  花遊小路界隈

 地図の右にタテの通りがあり、「花遊小路」と記載されています。
 そこから、左方に分岐する道も、花遊小路です。
 つまり、T字が横倒しになった形の商店街なのです。

 北側から入ると、左にビルがあり、「ハレの日 花遊小路」とネーミングされています。
 その1階に、うなぎの老舗・江戸川があります。

 江戸川
  江戸川

 明治37年(1904)創業だそうです。日露戦争の頃ですね。
 花遊小路の開発より早い時期ですから、最初は別の場所で商いをされていたのでしょうか。
 昭和9年の地図には、「江戸川まむし」と書いてあります。


 有名な“あぶらとり紙”店も

 その先。

  花遊小路

 細い路地です。
 写真手前の左側には刃物屋さんがあり、右には理髪店など。その向こうは靴店です。
 光の向こうに出てみると、そこはもう四条通。

  花遊小路 四条通側

 四条通の歩道上から見た花遊小路。
 えっ、と思われるかも知れませんが、靴屋さんの中央の通路が小路なのです。ちょっとした「名物」ですよね。

 また小路の中に戻ってみましょう。
 T字の交点から西を見ます。

  花遊小路 西を望む

 一番向こうは新京極商店街です。
 つまり、花遊小路に北側から入ると、まっすぐ行けば四条通、右に折れれば新京極に出られることになります。

 この両側にも老舗が。

 よーじや

 よーじや よーじや

 いまや誰もが知っている店、よーじや。
 あぶらとり紙で有名で、四条花見小路のお店(祇園の一力の向い側)は大賑わいです。
 創業は明治37年(1904)、当時は國枝商店といって六角御幸町あたりにあり、のち花遊小路に移ってきました。屋号は、歯ブラシを意味する楊枝(ようじ)に由来するそうです。

 あぶらとり紙は、新京極の左り馬でも登場しましたが、役者さんや芸妓さんの愛用品なので、この場所で商うにはぴったりの商品でしょう。


 老舗写真館も!

 ワンダス写真館
  ワンダス写真館

 昔ながらの写真館です。
 大正2年(1913)から営業されているそうですが、ウェブサイトを見てみると、「京都最古の写真」という記事が!
 5代前のご先祖・淡海槐堂が、安政6年(1859)に写真を撮影していた、というものです。
 本当の老舗ですね。

 私の疑問は、「ワンダス」という屋号なのですが、どういう由来なのでしょうか?

 三文字屋

 三文字屋 三文字屋

 こちらは三文字屋。
 時計屋さんのようです。
 
 マークは……

  三文字屋

 「文」の字が3つで、三文字屋、ですね。
 こちらも屋号の由来が知りたくて仕方ありませんが、? です。

 昭和9年の地図を見ると、この一画に「花遊軒料理店」という、この場所の起源となった料亭が未だ残っています。
 けれど、それ以上に気になるのは、ワンダス写真館と三文字屋の間にあった「チェリー喫茶」店。さぞかしオシャレなお店だったのでは、と想像をふくらませます。

 4回にわたって、新京極、寺町京極、そして花遊小路と、京都随一の繁華街で“老舗”を探ってきました。
 私が調べた範囲の対象店は、地図上で300店余りありました。
 それから80年。
 現在まで続く老舗は、30店から40店くらいと約1割にすぎません。

 京都は老舗が多いというイメージですが、やはり一級の繁華街で長寿を保つのは至難の業のようです。


  よーじや




 花遊小路

 所在 京都市中京区新京極通四条上ル中之町
 交通 阪急電車「河原町」下車、徒歩約3分



 【参考文献】
 「京極と其の附近案内」市民風景社、1934年
 田中緑紅『新京極今昔話 その三』(緑紅叢書4-6-42)京を語る会、1963年


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