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船越幹央

Author:船越幹央
博物館で学芸員をしています。また、京都市内の大学で非常勤講師を務めています。
生れ育った京都の魅力を歴史・文化財・史跡を中心にお伝えします!
やっぱり、京都は奥深い。知れば知るほど、味わい深い。このブログを読んで、京都を歩いてみてください!

[主な取材等]
テレビ:NHK「ブラタモリ~京都~」、BS-TBS「高島礼子・日本の古都」、BS日テレ「片岡愛之助の解明!歴史捜査」ほか
新聞・雑誌:小学館「サライ」、朝日新聞、日本経済新聞ほか
見学会:「まいまい京都」ほか

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昭和9年の地図を片手に、寺町・新京極の老舗をさぐる - その3 -





キムラ


 錦小路から南の老舗

 新京極、寺町京極の“老舗”を探る企画。今回は、いよいよ錦小路通から四条通までを取り上げます。

 まずは寺町京極商店街から。

 寺町通
  寺町京極商店街(錦小路通付近)

 昭和9年(1934)の地図に出てくる「三木茶商」は、この蓬莱堂茶舗です。

 蓬莱堂茶舗
  蓬莱堂茶舗

 三木蓬莱堂などとも呼ばれ、創業は享和3年(1803)。200年以上の歴史を持ち、著名人にも愛された老舗です。アーケードに埋もれるような古い店構えが目を引きます。

 その南には、地図に「寺村半カチ」とある寺村牡丹堂。

 寺村牡丹堂
  寺村牡丹堂

 いまはビル(寺村スクエア)となり、その1階がお店です。
 当時、ハンカチ店と書かれているだけあって、現在でもタオルを中心に、エプロン、パジャマなどを扱っておられるそうです。
 創業は、江戸中期の元文2年(1737)。ということは、もともとはハンカチ店でもタオル店でもないわけで、何を商っておられたのでしょうか。

 その隣は、すき焼きのキムラ。
 目立つ店構えで有名です。

 キムラ
  キムラ

 昭和初期から営業され、地図には「木村精肉店」とあります。
 キムラといえば、昔も今も下足番のおじさんがおられますね。 

キムラ

 私の学生の頃は、おじいさんがやっておられましたが、いまは少し若い方(といっても私よりは年上)です。

 寺町で、すき焼きといえば、キムラと三嶋亭。
 ちょっと敷居が高そうな三嶋亭に比べ、キムラはリーズナブルで、のれんや電飾看板などもキッチュな感じ。

キムラ

 マークは、「キ」が6つに「ラ」で、キ・ム・ラ。いいですねぇ。レトロです。

 四条通に出るまで、さらに、はせがわ。

 はせがわ
  バッグ はせがわ

 昭和9年当時は糸店とありますが、いまは鞄店です。三条通や寺町通は、昔から鞄店が多い印象があります。
 
 なお、地図には、「ゑり清」という店があり、現在そのあたりにある「ゑり正」(安永4年=1775年創業)と関係があるかと思い調べてみると、ゑり正は昔、錦天満宮前にあったそうで、ゑり清は地図の出た翌年(昭和10年=1935)頃に廃業されたそうです。寺町と新京極の四条通近くに2店舗を構えていました。
 このことは、田中緑紅『新京極今昔話 その三』に書いてありました。


 新京極も名店ぞろい!

 昭和9年当時、新京極の錦小路通を少し下がったところには、「スターバー」がありました。これは、現在のレストランスターです。

 スターレストラン

 スターレストラン
  レストランスター京極

 巨大オムライスの看板が度肝を抜きます。
 スター食堂は、私も子供の頃から来ています。昔は、西陣にもなかったでしょうか?(千本中立売のあたりに)。そちらにも、よく行っていたような。
 これこそ老舗の洋食店で、楽しいですよね。先日も、訪れた折にメロンソーダを飲みました(笑)
 創業は大正14年(1925)ですから、めざせ百年! ですね。

 この南には、第二京極へ入る道路があって、その先に三満寿があります。

 三満寿
  三満寿

 読み方は、「みます」。うなぎの名店です。

 三満寿

 三満寿

 店頭のサンプルを見ると、なかなか高級なんですね、うなぎですから。
 ところで、私もつい最近まで知らなかったのですが、この三満寿、映画館の「美松(みまつ)」を経営されていたんだそうです。「みます」と「みまつ」で読みも通じるし、昔行った美松映劇なども、この裏手(東側)に当たるのですね。
 
 美松映劇跡
  美松劇場・映劇跡

 いまは、忍者ショーが見られるレストランと古着店になってしまいましたが、ここがかつての美松劇場と美松映劇。
 このあたりの映画館としては新しく、昭和30年(1955)からの営業だそうです(平成16年閉館)。

美松映劇跡

 その向いは、「ミマツワールド」と銘打った雑居ビルです。うなぎ屋さんが、これらのオーナーなんですね。
 ここの映画館も、昔行ったことがあるので懐かしいです。


 履物から蒸し寿司まで

 ここから四条通寄りは、さまざまな老舗が軒を連ねます。

 大沢袋物店 大沢袋物店

 大沢袋物店。お土産屋さんのような感じに変貌しています。

 お婦久履物老舗 お婦久履物老舗
  お婦久履物老舗

 こちらは、お婦久(ふく)履物老舗。
 ショーウィンドーを見ると、下駄を中心とした品揃えのようです。写真は、外国人ツーリストが店に入って行く模様。

 通りの反対側には、これこそ有名なスタンド。

 スタンド

 スタンド 京極スタンド

 看板にある通り、「酒処 軽食」の店。昭和2年(1927)に十銭均一店としてスタートしたそうです。

 隣りは、そばの田毎(たごと)。

 田毎 田毎

 のぼりには、京都らしく「にしんそば」と書かれています。明治時代の創業だそうです。

 この付近は、老舗が目白押しでした。


 最後の一店は……

 いよいよ四条通に近付いてきました。

 ライトオン
  ライトオン

 ジーンズ、カジュアルファッションの店、ライトオン。
 老舗のはずもありませんが、実はこのビルが……

 ライトオン
  京都松竹第三ビル

 そう、松竹のマーク。以前は、SY松竹京映という映画館だったのです。
 歴史をたどれば、ここはもともと金蓮寺(こんれんじ、四条道場)という時宗の寺があった場所。のち、四条道場芝居が出来、さらに坂井座から歌舞伎座になりました。昭和9年の地図には「歌舞伎座」と記されていて、昭和11年(1936)まで。
 さらに京極映画劇場となり、戦後はSY京映からSY松竹京映となりました。平成13年(2001)に閉館しています。

 私も、四条から上がってすぐのところに、この映画館があったのはよく覚えていて、洋画の封切館だったような記憶があります。

 その横に、寿司の乙羽。

 乙羽寿司 乙羽

 外国人旅行者が、ものすごく品定めしていて、なかなか動かないんですね。写真が撮れない……

 乙羽寿司

 乙羽寿司

 冬には、アナゴの蒸し寿司を供されるそうです。これは丼に入っており、錦糸玉子でとじているようですね。
 せいろで蒸していて雰囲気満点ですが、この貼り紙の文句が謎めいていて面白いです。

 乙羽寿司

 もちろん、他にもいろんなお寿司があって、私の好きな箱寿司(はもの押しずし)とか、鯖寿司とか、各種あります。
 このあたりは、古くは劇場街だったわけですから、見物しながら食べられるお寿司は相性がいいんでしょうね。

 乙羽寿司

 のれんの紋は、「乙」を意匠化したもののよう。明治中期から続くお店です。

 ということで、この区間も老舗が多く、10軒余りの店が80年以上営業されていました。
 やはり四条通に近くて人通りが多いため、繁盛するのでしょうか。

 3回にわたってお届けしてきた新京極と寺町京極の老舗めぐり。三条通から四条通まで、ひと通りカバーしたわけですが、実は、まだちょっと隠されたエリアがあるのです。次回、もう1回だけお付き合いください。




 新京極商店街、寺町京極商店街

 所在 京都市中京区新京極通四条上ル中之町ほか
 交通 阪急電車「河原町」下車、徒歩約5分



 【参考文献】
 「京極と其の附近案内」市民風景社、1934年
 「京都市劇場史略図」(『近代歌舞伎年表 京都篇 別巻』所収)
 田中緑紅『新京極今昔話 その三』(緑紅叢書4-6-42)京を語る会、1963年
 新京極商店街振興組合ウェブサイト
 寺町京極商店街ウェブサイト 


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