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船越幹央

Author:船越幹央
博物館で学芸員をしています。また、京都市内の大学で非常勤講師を務めています。
生れ育った京都の魅力を歴史・文化財・史跡を中心にお伝えします!
やっぱり、京都は奥深い。知れば知るほど、味わい深い。このブログを読んで、京都を歩いてみてください!

[主な取材等]
テレビ:NHK「ブラタモリ~京都~」、BS-TBS「高島礼子・日本の古都」、BS日テレ「片岡愛之助の解明!歴史捜査」ほか
新聞・雑誌:小学館「サライ」、朝日新聞、日本経済新聞ほか
見学会:「まいまい京都」ほか

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日本最初の解剖を行った医師・山脇東洋の墓所は、新京極の裏側、誓願寺墓地にある





誓願寺墓地


 新京極の裏は墓地

 毎日、修学旅行生や観光客でにぎわう新京極。
 この繁華街自体は、明治5年(1872)に開かれたもので、それ以前は市街地東端の「寺町」でした。

 そのため、現在でも寺院が多く、その裏手には墓地がたくさん残されています。

 この界隈で、江戸時代、大きかった寺院は、四条上がるにあった金蓮寺(四条道場)と、三条下がるにあった誓願寺でしょう。

 誓願寺
  誓願寺

 浄土宗の誓願寺(せいがんじ)は、現在は新京極六角にあります。
 しかし、かつては三条通まで境内が広がる大きな寺院でした。およそ、三条新京極あたりに北門があったといいます。

 新京極
  三条新京極の坂道、通称「たらたら」 

 そのため、誓願寺の墓地も、上の写真の左手に残されているのです。
 東は河原町通、北は三条通、西は新京極通に囲まれた一画で、映画館・MOVIX京都の東裏です。

 新京極

 MOVIX京都の北館と南館の間を東へ向かいます。左右にホテルがありますが、その突き当り。
 小さな門が開いています。

 誓願寺墓地

 門の脇に、「山脇東洋解剖碑所在墓地」の碑が立っています。
 ここが、誓願寺墓地の入り口で、日本で最初に人体解剖を行った医師・山脇東洋の墓所なのです。


 日本初の人体解剖を行った山脇東洋

 山脇東洋(1705-62)は、丹波亀山(現在の亀岡)に生まれ、医家の山脇家に入って医業を継ぎました。
 古医方の後藤艮山に学び、“親試実験”の精神を養いました。当時、解剖は未だ行われていなかったので、東洋は人間の内臓に似ているとされたカワウソを解剖していました。
 40歳代も終わりの宝暦4年(1754)、小浜藩医らとともに京都所司代へ解剖の実施を上申し、許可されました。

 閏2月7日、六角獄舎で日本初の解剖が行われました。刑死者の遺体が腑分けされ、東洋らはそれを観察、スケッチしました。解剖された遺体は、屈嘉という38歳の男で、凶悪な強盗犯だったため斬首に処せられたのでした。

 東洋は、5年後、この解剖での所見を「蔵志」として公刊しました。
 観察した臓器などについて簡潔に記述し、4枚の彩色図を掲載しています。

  『京医師の歴史』 森谷尅久『京医師の歴史』

 『京医師の歴史』の表紙には、その1枚が使用されています。
 全4図は、人体の全面を解剖した「剥胸腹図」、内臓を画いた「九蔵前面図」と「九蔵背面図」、背骨などの「背骨側面図」です。
 
 東洋は、すでに西洋の解剖図は見ていたようで、その知見に驚きを感じつつも、自らが観察したところを図示しました。
 とても単純な図で、誤っている部分もあるといいます。
 それでも「蔵志」の刊行は、杉田玄白らの「解体新書」(1774年)より15年も早く、先駆的な業績で高く評価されるべきものです。
 

   墓地の東洋墓

 誓願寺墓地
  誓願寺墓地

 いま誓願寺墓地にお参りすると、門を入って程近いところに、屋根をかけた山脇東洋夫妻らのお墓があります。

 山脇東洋墓所

 山脇東洋墓石
   山脇東洋墓

 山脇家の墓地は、深草(伏見区)の真宗院にあるそうで、こちらには東洋の御遺骨は納められていないようです。
 脇には、解剖された方たちの供養碑もあります。東洋は、解剖後に慰霊祭も行っていました。

  解剖供養碑
   解剖供養碑

 都会の喧騒の中に眠る誓願寺墓地。
 山脇東洋という人物は、余り有名ではないと思いますが、もっと知られてもよいのではないでしょうか。




 誓願寺墓地

 所在 京都市中京区新京極三条下る桜之町
 拝観 自由
 交通 京阪電車「三条」下車、徒歩約10分



 【参考文献】
 山脇東洋「蔵志」1759年(早稲田大学図書館古典籍総合データベース)
 富士川游『日本医学史綱要 1』平凡社、1974年
 森谷尅久『京医師の歴史』講談社現代新書、1978年
 中山清治「解剖学の先駆者山脇東洋の史跡を訪ねて」(「東京有明医療大学雑誌」vol.1、2009年 所収)


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