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船越幹央

Author:船越幹央
博物館で学芸員をしています。また、京都市内の大学で非常勤講師を務めています。
生れ育った京都の魅力を歴史・文化財・史跡を中心にお伝えします!
やっぱり、京都は奥深い。知れば知るほど、味わい深い。このブログを読んで、京都を歩いてみてください!

[主な取材等]
テレビ:NHK「ブラタモリ~京都~」、BS-TBS「高島礼子・日本の古都」、BS日テレ「片岡愛之助の解明!歴史捜査」ほか
新聞・雑誌:小学館「サライ」、朝日新聞、日本経済新聞ほか
見学会:「まいまい京都」ほか

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きょうの散歩 - お寺で秋の古本まつり - 2014.11.3 -





秋の古本まつり


 百万遍・知恩寺で「秋の古本まつり」

 毎年恒例、「秋の古本まつり」に行ってきました。
 京都古書研究会の主催。春(5月)は岡崎・みやこメッセ、夏(8月)は下鴨神社、そして秋(10~11月)は百万遍の知恩寺と決まっています。今年の「秋の古本まつり」は、10月30日から11月3日に開催。
 ここ1、2週間、仕事が忙しかったので、最終日にようやく訪れました。今年は天気がぐずついて、晴れた日は初日と最終日だけだったようです。

 秋の古本まつり

 まず、法然さんを祀る御影堂でお詣りしてから、各店をめぐります。
 秋は規模が小さくて、今年の参加は16店です。

 秋の古本まつり


 西国巡礼の案内記など

 今回は、あまり欲しい本がなかったので、買い物も少しになりました。
 
 『近畿の山々と史蹟巡り』 『近畿の山々と史蹟巡り』

 博多成象堂から昭和16年(1941)に出された『近畿の山々と史蹟巡り」。
 博多成象堂というから福岡の本屋さんと思いきや、主が博多久吉という人で、大阪市南区の書店のようです。
 この本を買った理由は、著者にあります。
 藤田元春という人が書きました。第三高等学校(三高)の教授で、専門は地理学です。『日本民家史』(1927年)という著書があって、これは先駆的な民家研究のひとつです。京都周辺の民家も取り上げていたと思います。
 全国的には、大正半ばに出来た柳田国男や今和次郎らの「白茅会」が著名ですが、藤田の仕事はもっと知られてよいと思います。京都では、このあと岩井武俊の『京郊民家譜』正・続が刊行されます。

 『西国三十三所観音霊場縁起と霊験記』 『西国丗三所観音霊場縁起と霊験記』

 こちらは、大竹仙太郎編『西国丗三所観音霊場縁起と霊験記』。昭和4年(1929)に刊行されました。
 本書は、兵庫県の中山寺(西国24番)の大師堂にある「西国三十三所御砂巡道」の道場にある霊験画軸を本にまとめたものだといいます。

 そういえば、以前、中山寺に行ったとき、一番奥にある大師堂に御砂踏みがあり拝観したのを思い出しました。

 この本は、各寺の本尊や御詠歌、縁起、霊験などを記しています。庶民向けですから、平易というか、ちょっと俗っぽい感じですね。

 『西国三十三所観音霊場縁起と霊験記』 革堂の部分

 霊験譚は、絵入りです。でも、その絵がヘタウマで泣かせます。
 お話も、おもしろいです。

 ためしに、第10番・三室戸寺の霊験をご紹介しましょう(大意です)。

 昔、宇治の里に、一人の器量のよい娘がいた。殊勝にも幼少より三室戸寺の本尊を信心し、そのうえ慈悲の志も深かった。そのため、村の悪童らがおびただしい小蟹を取って無残にも殺生しているのを見て、憐れに思い、子供らに銭を与えて買い取り、蟹を放生してやった。

 ある日、いつものように寺のご宝前で参拝していると、この山に住む大蛇が娘に懸想して取り付こうとし、美少年や若武者に姿を変えて現れた。しかし、娘は観世音の信心が厚いので、どうしても望みを達することが出来なかった。
 ところが、不思議なことに、助けてやった小蟹がたくさん出てきて、大蛇に集まり、ついにハサミで切り殺したという。

  三室戸寺の霊験譚 カニが、まとわりつく

 これは全く観世音菩薩の威神力と、助けられた小蟹らの報恩によるもので、それで難を逃れたのである。
 伝説では、蟹は本尊の使いということで、寺の別名を「蟹満寺」というのも道理である。(54-56ページ)


 そうか、どこかで聞いた話と思ったら、南山城の蟹満寺の縁起譚と共通なんですね。

 というように、何冊かの古書を買って、久しぶりにのんびりした秋の一日でした。




 知恩寺 (秋の古本まつり会場)

 所在 京都市左京区田中門前町
 拝観 境内自由
 交通 京阪電鉄「出町柳」下車、徒歩約15分
 

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