FC2ブログ
09 | 2019/10 | 11
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -
MENU

NEW ARRIVAL

PROFILE

船越幹央

Author:船越幹央
博物館で学芸員をしています。また、京都市内の大学で非常勤講師を務めています。
生れ育った京都の魅力を歴史・文化財・史跡を中心にお伝えします!
やっぱり、京都は奥深い。知れば知るほど、味わい深い。このブログを読んで、京都を歩いてみてください!

[主な取材等]
テレビ:NHK「ブラタモリ~京都~」、BS朝日「京都ぶらり歴史探訪」、BS-TBS「高島礼子・日本の古都」、BS日テレ「片岡愛之助の解明!歴史捜査」ほか
新聞・雑誌:小学館「サライ」、朝日新聞、日本経済新聞ほか
見学会:「まいまい京都」ほか

ARCHIVE

鶏鉾の鉾建てに遭遇! - 迫力の技に感動 -





鶏鉾の鉾建て


 鉾建てを見に行った

 7月11日、京都市内で用事が終わったあと、ぶらぶら歩いて祇園祭の「鉾建て」の様子を見に行きました。
 「鉾建て」とは、文字通り、鉾を組み立てる(建てる)こと。
 完成した鉾は、装飾の付いた織物などを身にまとっているため、その構造はよく分かりません。しかし、組み立てる途中は、骨組みも露わに見ることができます。

 山や鉾が多い室町通を下がっていくと、菊水鉾町には鉾建て中の菊水鉾が。

  菊水鉾の鉾建て
  菊水鉾の鉾建て

 道路の中央に鎮座する菊水鉾。
 もちろん、通行止めです。

  菊水鉾の鉾建て

 祇園祭のすごいところは、鉾建てから巡行に至るまで、百万都市・京都の真ん中をしばし閉鎖して行われることでしょう。
 “世俗の権力”とは別の聖なる時空が現出します。

 看板をよく見ると、「関係者以外立入禁止」と書かれていますが、もちろん、みんな普通に通行したり見物したりしています。

 狭い道路に、鉾のパーツがいろいろ置かれています。

 菊水鉾の鉾建て

 組立中の真木(しんぎ)です。鉾の上に突き出す長い木です。
 木(欅など)と竹を接合して、長い真木を作ります。
 途中に、榊(さかき)が付けられているのが分かります。驚くべきことに、この榊は路傍に生えているものをノコギリで伐って調達されていました。

 菊水鉾の鉾建て

 取り付け前の車輪は、巨大です。一緒に記念撮影されている方もいます。

  菊水鉾の鉾建て

 こちらは、車軸。菊の紋が付けられていますね。


 鶏鉾の真木建てを見る

  鶏鉾
   巡行中の鶏鉾

 菊水鉾の南は、もう四条通。通りを横断すると、鶏(にわとり)鉾です。
 こちらも、鉾建て中だったので、見物させてもらいました。

  鶏鉾の鉾建て
  鶏鉾の鉾建て

 7月11日の午後3時半頃。
 鶏鉾町は、室町通の右側が市営駐車場になっていますので、その2階から見物している人もたくさんいます。私は、その下の歩道から拝見しました。

 鶏鉾の鉾建て

 この段階では、すでに胴組(櫓)は横倒しになっています。倒しているのは、長い真木を差し込むためです。

 鶏鉾の鉾建て

 手伝い方によって、真木に荒縄が巻かれている最中です。

 鶏鉾の鉾建て
 
 真木には、白幣のついた榊(さかき)が付けられています。


 真木が立ち上がるまで

 横倒しになった鉾をどのように立ち上げるのでしょうか?
  
 鶏鉾の鉾建て

 倒された胴組の右端が支点になっており、左右につけた綱(赤矢印)を使いながら起こします。
 右の綱を引っ張り、立ち上げます。左の綱は、その力を制御する役割です。

 鶏鉾の鉾建て

 右端(北)は、これだけ離れています。
 下の写真は、左端(南)。

 鶏鉾の鉾建て

 綱による真木建ては、昔は大勢の人で引っ張っていました。
 今日の鶏鉾の場合は、ウィンチを使って巻き取っています。

 左側(南)のウィンチです。

 鶏鉾の鉾建て

 ふだんまったく気づきませんが、鉾町の道路には穴が開いていて、杭を挿せるようになっています。その杭にワイヤーをゆわえています。
 上の写真の穴は、室町綾小路の交差点内(西端)ですが、これより南にも2つほどの穴がありました(下の写真)。かつて使ったものでしょうか?

 鶏鉾の鉾建て

 午後3時50分、合図が掛かって、胴組が起こされ始めました。

 鶏鉾の鉾建て


 立ち上がる瞬間!

 鶏鉾の鉾建て

 真木が徐々に上がっていきます。
 ビルの2階から見ている人が大勢!

 鶏鉾の鉾建て

 ゆっくり、着実に。

 鶏鉾の鉾建て

 空に向かって真木が立っていきます。

 鶏鉾の鉾建て

 ほとんど立ち上がったところ。足もとです。
 支点の部分がよく分かりますね。

 鶏鉾の鉾建て

 立ち上がった瞬間です。
 時刻は、午後4時。10分ほどで真木が建ちました。
 やはり感動します。

 最後に、30年ほど前に、吉田光邦氏が語られた講演録を紹介しておきましょう。
 鉾建てから祇園祭の特質を把握したものです。

 私もずいぶん以前ですが、鉾建てを朝から晩まで、最後までずっと拝見していたことがあります。
 (中略)
 そしてこの鉾が建つ新町とか室町は、ふだんから人が雑沓しているところですが、そこへ鉾ができ上ると、新しい空間が生まれ、きれいに飾られていく、やがて祇園囃子が始まると、今度は音でまた新しい空間がつくられていく、ついで巡行となって、クライマックスとなる。いえば、非常にドラマチックな、演出と申しますか、毎日毎日、次第次第に、気分が盛り上っていって、クライマックスの巡行にいくという山鉾の演出の見事さ、これは単に山鉾を美術品、工芸品と見るだけでなくて、それを包んでいる宗教的行事が宗教的な世界をいかに創り出してゆくか、単に物だけでなく、囃子という音の世界も同時につくるという、これが大切な伝統なのです。(『京都の文化財』464ページ)


 祭りを行うのに、同時にその世界まで創り出してしまうという、祇園祭の特質をよく表現しています。


 鶏鉾の鉾建て




 鶏鉾 (鉾建て)

 所在 京都市下京区室町通四条下ル鶏鉾町
 見学 自由
 交通 地下鉄「四条」下車、徒歩約3分



 【参考文献】
 吉田光邦「祇園祭と工芸」(『京都の文化財-その歴史と保存-』京都府文化財保護基金、1990年 所収)


スポンサーサイト



コメント

非公開コメント