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船越幹央

Author:船越幹央
博物館で学芸員をしています。また、京都市内の大学で非常勤講師を務めています。
生れ育った京都の魅力を歴史・文化財・史跡を中心にお伝えします!
やっぱり、京都は奥深い。知れば知るほど、味わい深い。このブログを読んで、京都を歩いてみてください!

[主な取材等]
テレビ:NHK「ブラタモリ~京都~」、BS-TBS「高島礼子・日本の古都」、BS日テレ「片岡愛之助の解明!歴史捜査」ほか
新聞・雑誌:小学館「サライ」、朝日新聞、日本経済新聞ほか
見学会:「まいまい京都」ほか

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90年前の拝観料は? - 京都の有名寺院をさぐる -

寺院




銀閣寺


 物価が急上昇した大正時代

 寺院の参拝には、拝観料がつきもの。
 近代になると、定額の拝観料を徴収するようになりますが、今回は大正末の金額を書いた史料を紹介しましょう。

 その前に、約90年前の当時の物価を現在と比較する必要があります。
 私がいつも使っている換算レート? は、“昭和初期は2,000分の1” というもの。
 つまり、80~90年ほど前の10円は、現在の2万円ほどに相当するというものです。

 ちなみに、大正時代(1912~1926)は、その間に第一次世界大戦(1914~1918)をはさんでおり、輸出も伸びて好景気となり、物価は急上昇しました。インフレは庶民を苦しめ、大正7年(1918)の米騒動につながりました。米騒動は、よく「富山の漁村の主婦たちが……」と言われますが、その後、全国に波及し、京都も早い段階で米騒動が起こっています。

 このため、物価がいくら? を考える際にも、大正の初めと終わりとでは、ずいぶん異なります。
 このあと紹介する史料は大正14年(1925)のものですから、米騒動後の昭和初期並みと考えておきます。

 大正時代は、「大正デモクラシー」などプラスのイメージも強いと思いますが、庶民にとっては結構苦しい時代でもあったのです。


 松川二郎 『名所回遊 四五日の旅』

 松川二郎。
 “花街ライター”として著名な人物ですが、たくさんの旅行案内も執筆していました。
 私も何冊か著書を持っているのですが、今回紹介するのは、大正14年(1925)に東京・有精堂書店から出版された『名所回遊 四五日の旅 改版』というものです。

 松川二郎『名所回遊四五日の旅』
 『名所回遊 四五日の旅』
 「京都見物」のページ

 全国の名所を「東京見物」「房総海岸めぐり」「善光寺まゐり」といったふうに、テーマ別にまとめている案内書。ちなみに、この本自体は490ページもあって、金2円です。現在に換算すると、4,000円くらいということで、ちょっと高いかなぁ。

 当時、2円出せば、<目薬10コ>、<とんかつ10杯>、<タバコ28箱>、<たいやき133コ>買えました。意外にタバコが安いですね。


 有名寺院の拝観料は?

 では、京都の寺院の拝観料はいくらだったのでしょうか?

 金閣寺 金閣寺

 まず、金閣寺ですが、次のようになっています。

  金閣寺  特 50銭、並 20銭

 「特」と「並」の区別が !? 
 値段も倍以上で、どう違うんだろう?

 特なら、1,000円。当時なら、<うな重1杯>と同じ値段。<コーヒー10杯>飲めました。
 うな重と同じなら、さぞかしなサービス……でしょうね。推測では、これは金閣の内部に入れたのではないでしょうか? 昔、なかに入れたという話はよく聞きます。

 並なら、400円。
 現在の拝観料と同じ! すばらしいですね、90年間据え置きです。

 つづいては、銀閣寺です。

  銀閣寺  特 30銭、並 20銭

 こちらも、特と並です。
 現在の拝観料は500円ですから、ちょうどこのくらい。

 さて、ここからは値段別に。
 20銭、いまの400円クラスは、次の寺院。

  三十三間堂、仁和寺  20銭

 20銭といえば、当時<かけそば2杯><ビール ジョッキ1杯>飲食できました。
 いま三十三間堂は600円、仁和寺は御殿拝観が500円です。微増ですかね、こちらは。

 つづいで、10銭、現在の200円クラス。

  平安神宮、知恩院、大仏殿(方広寺)  10銭

 平安神宮 平安神宮

 昭和の初め(1933年)の話ですが、大阪で初めて地下鉄が開通したとき、運賃は10銭でした(梅田-心斎橋)。最近まで200円でしたが、2014年4月から180円に値下げされています。

 平安神宮は、現在、神苑が500円。倍増です。
 知恩院は、庭園拝観が300円。
 方広寺の大仏は、焼けてしまいましたね……

 次は、5銭、いまの100円クラスです。

  大徳寺、八坂の塔(法観寺)  5銭

  八坂の塔 八坂の塔

 大徳寺は、いまは塔頭ごとの拝観です。八坂の塔は、400円みたいですね。でも、ここは塔内に入れて、とてもおもしろかったです!

 最後に、無料(笑)

  東本願寺、西本願寺  無料

 無料のところは、他にも多いでしょう。両本願寺は、いまでももちろん無料です。
 
 ちなみに、博物館(京博)と動物園は5銭でした。

 どうでしょう? 相場的には現在より少し安めかな、という印象です。
 拝観料の問題は、かなり興味深いので、また時間があれば調べてみたいと思います。


  松川二郎『名所回遊四五日の旅』装丁




 【参考文献】
 松川二郎『名所回遊 四五日の旅 改版』有精堂書店、1925年
 週刊朝日編『値段の明治大正昭和風俗史』(正・続・続続・完結)朝日新聞社、1981~1984年



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