03 | 2017/04 | 05
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 - - - - - -
MENU

NEW ARRIVAL

PROFILE

船越幹央

Author:船越幹央
博物館で学芸員をしています。また、京都市内の大学で非常勤講師を務めています。
生れ育った京都の魅力を歴史・文化財・史跡を中心にお伝えします!
やっぱり、京都は奥深い。知れば知るほど、味わい深い。このブログを読んで、京都を歩いてみてください!

[主な取材等]
テレビ:NHK「ブラタモリ~京都~」、BS-TBS「高島礼子・日本の古都」、BS日テレ「片岡愛之助の解明!歴史捜査」ほか
新聞・雑誌:小学館「サライ」、朝日新聞、日本経済新聞ほか
見学会:「まいまい京都」ほか

ARCHIVE

仁王門通の由来である頂妙寺とナゾの絵

洛東




頂妙寺


 寺院が集まる仁王門通

 「仁王門」とは門の呼び名ですが、京都で「仁王門」と言う時、例えば「東山仁王門」などという言い方があります。
 交差点の名前でもあるし、バス停にもなっていると思うのですが、東大路通と仁王門通の交わるポイントですね。岡崎公園の西方になります。

 ここには、囲碁で知られる本因坊の旧跡・寂光寺、前田玄以ゆかりの専念寺など、宝永5年(1708)の大火後に、寺町通から移ってきた寺院が多く、寺院地区の様相を呈しています。歩いていると、30くらいの寺院を示した“寺院マップ”の看板があちこちに掛かっています。


 「仁王門通」の名の由来

 頂妙寺は、寛文13年(1673)、この場所に移ってきた日蓮宗の寺院です。

 頂妙寺
  頂妙寺

 そして、仁王門通の名前の由来は、このお寺の仁王門にあるといわれています。

 頂妙寺
  頂妙寺仁王門

 三間一戸の立派な楼門ですが、現在では宅配便のドライバーさんたちの休憩場所となっています。
 この門は、いろいろと興味深いのですが、今日は幕末に刊行された「花洛名勝図会」(1864年)の記載を見ておきましょう。
 「花洛名勝図会」は次のように記しています。

 楼門 堂前ニあり、南向、左右ニ二天を安ず  額、聞法山 竪額 鷹司政熈公筆 東 持国天、西 多聞天、長七尺許[ばかり]、運慶、安阿弥の両作、此二天、霊験あらたにして常に詣人絶る事なし

 本堂の前に、南向きの楼門があり、鷹司政熈が書いた山号「聞法山」の額が掛かっている。左右に持国天と多聞天を祀っており、丈は7尺(約210㎝)くらいで運慶と安阿弥(快慶)の作という。持国天と多聞天は霊験あらたかにして常に参詣者が絶えない。
 
 そして、立派な図が載せられています。

 「花洛名勝図会」より頂妙寺
 「花洛名勝図会」より「頂妙寺二天門」

 なんと、右ページの方が出っ張って描かれている大迫力です。
 左の建物が仁王門(二天門)、右が拝堂。この拝堂は今はないのですね。門の拝殿だそうで、とても珍しいです。

 「花洛名勝図会」より頂妙寺

 よく見ると、大勢の人たちが時計回りに門を回っていることが分かるでしょう。
 もちろんお参りをしているのですが、図の説明はこう書かれています。

 此[この]尊天、霊験あらたなるが故に、陰晴をいはず朝より暮に至るまで、詣人しばしの間断なく、老若男女群つどひて、かちはだしにて門をめぐり千度をうつことおびただし

 持国天と多聞天は霊験があらたかなので、天気にかかわらず、朝から夕方まで参詣者は途絶えることがない。老若男女が群れ集い、裸足で門を巡って、千度参りを行うこと、おびただしい。

 なるほど、千度参りなんですね、このぐるぐるは。
 確かに手もとをよく見ると、

  「花洛名勝図会」より頂妙寺

 前の女性の右手、こよりでしょうか、回った数を数えるためのものですね。
 そして手に手に珠数を持っています。
 文中の「かちはだし」は、下駄などを履かない裸足のことで、それだけ深い願掛けですけれど、絵ではしっかり履いています(笑)

 それにしても、いろんな人たちが来て、熱心にお参りしています。
 私は、こういう風景がとても好きです。

  「花洛名勝図会」より頂妙寺
   数珠を持ち祈る女性

 「花洛名勝図会」は、こういった信仰の様子が生き生きと描かれていて、とても心温まります。

 最後に、ちょっとしたナゾ。
 この部分です。

 「花洛名勝図会」より頂妙寺

 拝堂の妻の部分に、ハトの巣が掛けられてるんですよ。かなり立派な、人工の……

 よく分からないですが、たぶん実際あったんでしょうね、当時は。

 というような頂妙寺。
 いつ頃から「仁王門通」と呼び始めたのか分かりませんが、これだけ信仰を集めていれば、通りの名前になるのもうなずけます。
 実は先日訪ねた時は、ろくに観察しなかったのですが、この絵を見ていると、とたんに興味が湧いてきました。
 また訪ねてみたいと思います。




 頂妙寺

 所在 京都市左京区仁王門通川端東入ル大菊町
 拝観 境内自由
 交通 京阪電車「三条」下車、徒歩約5分



 【参考文献】
 「花洛名勝図会」1864年
 『日本歴史地名大系27 京都市の地名』平凡社、1979年 
 『ビジュアル・ワイド 京都の大路小路』小学館、2003年


スポンサーサイト

コメント

非公開コメント