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船越幹央

Author:船越幹央
博物館で学芸員をしています。また、京都市内の大学で非常勤講師を務めています。
生れ育った京都の魅力を歴史・文化財・史跡を中心にお伝えします!
やっぱり、京都は奥深い。知れば知るほど、味わい深い。このブログを読んで、京都を歩いてみてください!

[主な取材等]
テレビ:NHK「ブラタモリ~京都~」、BS-TBS「高島礼子・日本の古都」、BS日テレ「片岡愛之助の解明!歴史捜査」ほか
新聞・雑誌:小学館「サライ」、朝日新聞、日本経済新聞ほか
見学会:「まいまい京都」ほか

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美しい藤の紋は、百種類以上あるらしい





護王神社


 寺社に見られる藤の紋

 4月下旬から5月にかけては、藤の花がきれいですね。

  フジ

 昔から、藤は長く枝垂れるので、枝垂れ桜(糸桜)などとともに、長寿のイメージがあったようです。

 藤は、公家の藤原氏の姓にもなっていることから、藤原氏の家紋にも使われてきました。
 もちろん、藤原氏すべてが藤の紋ではありません。例えば、五摂家のうち、九条家、二条家、一条家は藤の紋ですが、近衛家と鷹司家は牡丹の紋です。

 そして、藤の紋にも種々あって、九条、二条、一条の3家をみても、「九条藤」「二条藤」「一条藤」と異なった藤の紋があります。

 先日、その名も『紋之泉』という本を求めたので、そこから紹介しておきましょう。ちなみに、紋を集めた本を「紋帳」といい、古くから重宝されてきました。『紋之泉』は大正15年(1926)刊行の新しいものですが、収録されている紋の数が多いようです。

  九条藤
  九条藤

  二条藤 一条藤
  二条藤          一条藤

 いずれも下り藤ですが、細かいところが違っていますね。


 寺社に見られる藤紋

 東福寺は、鎌倉時代、九条家の発願により創建されました。
 そのため、藤の紋が見られます。

 東福寺五社成就宮
  東福寺 五社成就宮

 東福寺の鎮守である五社成就宮。
 屋根を見てください。

 東福寺五社成就宮
 
 藤の紋。
 でも、よく見ると、「九条藤」ではなく、ふつうの「下り藤」ですね。
 なぜでしょう ??
 既製品を使ったのですかね、なぞです(笑)

 ちなみに、明治の火災以後に立て直された建物にも、藤の意匠があしらわれています。

 庫裏です。

 東福寺庫裏
  東福寺 庫裏

 東福寺庫裏

 唐破風の兔の毛通しに藤の彫刻が付けられています。

 恩賜門です。

 東福寺恩賜門
  東福寺 恩賜門

 扉の上部に、美しい藤の透かし彫りがあります。

 東福寺恩賜門

 東福寺は、まさに“藤尽し”で楽しいですね。


 藤紋のいろいろ

 東福寺から少し南に行くと、藤森神社があります。
 名前の通り、藤の神紋です。

  藤森神社

 これは、「上り藤に一文字」。『紋之泉』には掲載されていませんでした。逆に「下り藤に一文字」は、同書では「柴田藤」としています。

 藤森神社
  藤森神社

 社殿の金物などにも、この紋が見られます。

 次は、御所の西にある護王神社です。和気清麻呂をお祀りしています。

 護王神社

 こちらも藤の紋です。

 護王神社

 これは珍しそう。
 「向い四つ藤」というそうです。上2つ、下2つの藤が向かい合っているということでしょう。

  向い四つ藤
  向い四つ藤

 『紋之泉』の図柄とは、少し違いますね。

 護王神社といえばイノシシですが、その像の台座にも神紋が見られます。

 護王神社

 護王神社

 明治23年(1890)に奉献されたものです。
 古くから使われていたことが分かりますね。

 
 『紋之泉』には136種も!

 『紋之泉』には、驚くべきことに136種類もの藤紋があげられています。
 珍しいものも多くて、例えばこちら。

  藤蝶
  藤蝶

 藤がチョウの羽根のようになっています。

  藤鶴崩し
  藤鶴崩し

 これも綺麗ですね。

 では、最後に、『紋之泉』に掲載された紋の種類数(バリエーション)、ベスト10を紹介しておきましょう!(カッコ内が種類数)

 10位  蝶(80)
 9位  扇(84)
 8位  梅(89)
 7位  片喰[かたばみ](98)
 6位  柏(101)

 5位  桔梗(109)
 4位  笹(121)
 3位  桐(129)
 2位  藤(136)
 1位  菊(141)

 バリエーションの豊富さは菊が1位です。藤も堂々の2位でした。

 他は、花菱、牡丹、松、茗荷などが多かったですが、茗荷(みょうが)が意外ですね。
 なお、これはあくまで『紋之泉』掲載の種類数をもとにしたものです。

 紋の世界も、また深遠です。




 護王神社

 所在 京都市上京区烏丸通下長者町下ル桜鶴円町
 拝観 境内自由
 交通 地下鉄「丸太町」下車、徒歩約5分



 【参考文献】
 吉野竹次郎『紋之泉』洛東書院、1926年


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