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船越幹央

Author:船越幹央
博物館で学芸員をしています。また、京都市内の大学で非常勤講師を務めています。
生れ育った京都の魅力を歴史・文化財・史跡を中心にお伝えします!
やっぱり、京都は奥深い。知れば知るほど、味わい深い。このブログを読んで、京都を歩いてみてください!

[主な取材等]
テレビ:NHK「ブラタモリ~京都~」、BS-TBS「高島礼子・日本の古都」、BS日テレ「片岡愛之助の解明!歴史捜査」ほか
新聞・雑誌:小学館「サライ」、朝日新聞、日本経済新聞ほか
見学会:「まいまい京都」ほか

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建築家の師弟が合作した祇園会館の壁画は、かぶき踊りのタイル画が見どころ

洛東




祇園会館


 築56年の祇園会館

 学生の頃、よく映画を見に行った祇園会館。
 ついこの前まで二本立てをやっていて、私も近くのコンビニで買ったビールを飲みながら気楽に映画を見ていたのですが、ついに閉鎖され、今ではお笑いの劇場になってしまいました。

 その祇園会館が開館したのは、昭和33年(1958)3月といいますから、56年も前のことです。
 昭和33年3月といえば、長嶋茂雄がジャイアンツに入団して金田正一から4打席4三振を喫した前月であり、このたび改築されることになった国立競技場が完成した同じ月です。

 祇園会館
  祇園会館

 このあたりは、江戸時代は近江・膳所藩邸があった場所であり、近代になっても付近は「膳所裏」と俗称されるところでした。東大路通も「こっぽり通」と呼ばれる狭い道だったのですが、現代ではクルマがひしめき合い、様変わりしました。
 祇園のうち「祇園東」の花街で(古くは祇園乙部)、祇園会館でも毎秋「祇園をどり」が開催されます。


 建物の設計は圓堂政嘉

 この建物の設計は、圓堂政嘉。難しい文字ですが「えんどう まさよし」と読むそうです。この字に改名する前は、遠藤正義だったといいます。圓堂建築設計事務所(現・エンドウアソシエイツ)を開いた建築家です。

 圓堂が得意とした手法は、カーテンウォールでした。カーテンウォールは「構造体の外周に直接取り付けられる薄い壁」のことで(『建築学用語辞典』)、建物の荷重を支えない外壁です。
 このカーテンウォールを用いた初期の作品が、山口銀行本店(1962年、下関市)で、彼の代表作でもあります。写真で見る限り、この建物はすごいですね!

 その圓堂が事務所を開いたのは昭和27年(1952)でしたが、その後しばらく各地でたくさんの映画館を設計しています。おそらくその経験が生かされ、祇園会館も造られたのでしょう。


 かぶき踊りのタイル大壁画

 この祇園会館で、ひときわ目立つのがタイル貼りの大壁画です。

 祇園会館
  祇園会館のタイル壁画

 8m×18mという大画面。
 この絵柄、歌舞伎の創始者として名高い出雲のお国と名古屋山三郎といいます。

 祇園会館

 祇園会館

 祇園会館

 扇や笠を手に持って踊る姿に躍動感があります。

 槍の名手として知られ、刃傷沙汰で若死にした山三郎と出雲のお国は、史実の上では関係ないそうですが、物語の世界では夫婦のようにも語られています。

 歌舞伎の発祥といえば四条河原で、祇園会館からも程近いため、このモチーフが選ばれたのでしょうか。

  出雲の阿国像
  出雲のお国像(四条大橋東詰)

 この見事なタイル壁画の作者は、建築家の中村順平です。

 明治20年(1887)、大阪市西区に生まれた中村順平は、名古屋高等工業学校を卒業後(第3回卒業生)、曾根中條建築事務所に入り、建築の道を歩み始めます。絵心があり、インテリアや客船の室内装飾に優れたセンスを発揮しました。
 戦後は、壁面彫刻や壁画に秀作を残しました。東京駅RTO(鉄道輸送事務局)待合室、横浜銀行本店、山口銀行本店の壁面彫刻が、彼の〝三大壁面彫刻”だそうです(『建築家・中村順平資料』)。
 一方、タイルを用いた壁画の代表作が、祇園会館の壁画です。

 建築教育にも熱心で、多くの弟子を輩出しましたが、実は圓堂政嘉もその一人で、「中村塾」に学んだのでした。
 中村は、建築と芸術との融合に腐心しますが、それは圓堂にも受け継がれ、ふたりの合作となったのが、この祇園会館でした。

 タイルの大壁画は、芸に命を捧げたお国と山三郎を描き出しますが、それはあたかも、建築は芸術であると信じた師弟、中村順平・圓堂政嘉ふたりの姿のようにも見えてくるのでした。




 祇園会館 

 所在 京都市東山区祇園町北側
 見学 タイル壁画は自由
 交通 京阪電車「祇園四条」より、徒歩約10分



 【参考文献】
 酒井一光『大阪歴史博物館館蔵資料集5 建築家・中村順平資料』同館、2009年
 日本建築学会編『建築学用語辞典』岩波書店、1993年
 エンドウアソシエイツ ウェブサイト


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