05 | 2017/06 | 07
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 -
MENU

NEW ARRIVAL

PROFILE

船越幹央

Author:船越幹央
博物館で学芸員をしています。また、京都市内の大学で非常勤講師を務めています。
生れ育った京都の魅力を歴史・文化財・史跡を中心にお伝えします!
やっぱり、京都は奥深い。知れば知るほど、味わい深い。このブログを読んで、京都を歩いてみてください!

[主な取材等]
テレビ:NHK「ブラタモリ~京都~」、BS-TBS「高島礼子・日本の古都」、BS日テレ「片岡愛之助の解明!歴史捜査」ほか
新聞・雑誌:小学館「サライ」、朝日新聞、日本経済新聞ほか
見学会:「まいまい京都」ほか

ARCHIVE

京都の十日ゑびすも、今宮戎や西宮戎に劣らずおもしろい(その2)

洛東




蛭子船巡行


 四条通を進む行列

 十日ゑびすの参詣に京都ゑびす神社に行った後、四条河原町で買い物などをして、四条小橋のたもとにあるマツモトキヨシに入っていました。
 店を出て歩き始めると、なにやら太鼓の音が聞こえてきました。見ると、一団の行列が近付いてきます。

  蛭子船巡行

 明らかに神事ですが、幟(のぼり)の文字で何か判明しました。

  蛭子船巡行
  「八坂神社 祇園蛭子社」の幟

 幟には「八坂神社 祇園蛭子(えびす)社」と大書され、「えべっさん」の振り仮名が付けてあります。
 そうでした、実は八坂神社の中にも、えびす神社があったのです!


 “フロート”には七福神が!

 行列は続きます。

 蛭子船巡行 福娘

 蛭子船巡行 
 
蛭子船巡行
  えべっさん

 福娘に続いて、えべっさんの像が来ました。ブロンズのようです。

 蛭子船巡行

 先ほどの太鼓の音の主は、これでした。

 そして、メインはこちら!

 蛭子船巡行
  蛭子船

 一種の“フロート”なのですが、えべっさんが乗る「蛭子(えびす)船」になっています。いわゆる宝船ですね。

 蛭子船巡行
  蛭子船の七福神

 ここに七福神が乗船しています。えべっさん(恵比須)、毘沙門天、弁財天、福禄寿。
 大黒天、布袋尊、寿老人は逆側に乗っています。

 このえべっさんは、幟にも記されていたように、八坂神社にある蛭子神社のものです。1月9日の宵戎(よいえびす)の日に、「蛭子船巡行」として、祇園石段下から烏丸通までの四条通を巡行します。
 午後3時からの開始ですが、私が会ったのは復路だったせいで、午後4時すぎでした。
 
 それにしても、150万都市の目抜き通りを祭事の列がのんびり進むありさまは、現在と過去とが交差する歴史ページェントで、心躍るものがあります。

  蛭子船巡行
  蛭子船のえべっさん


 八坂神社の北向蛭子社

 十日戎の頃は、四条通のアーケードにも神紋の入った幕が懸けられ、提灯が吊られています。

 祇園のえべっさん 祇園のえべっさん

 石段下にも、幟が立っています。

 祇園のえべっさん

 この蛭子社の鎮座の経緯について、八坂神社の宮司を務めた高原美忠氏の『八坂神社』には、次のように記されています。

 蛭子社 事代主神、もと千本の西[、]蛸薬師の南、夷[えびす]森にあり、西宮と称す。中古本社境内に移し、西楼門内南方にあり、北向蛭子と称した。
 明治13年[1880]12月絵馬社の西南に移し、更に明治34年[1901]8月24日今のところに移す。(110ページ)


 古くは、千本通蛸薬師あたりの「夷森」という場所に位置したといいますから、ずいぶん西にあったわけです。
 呼び名は「北向蛭子」で、このことは江戸時代の地誌にも出てきます。幕末の「花洛名勝図会」(1867年)には、「恵美須社 西楼門の内、南傍ニ有、北向」と記載されています。名前の通り、社殿は北を向いていたのです。同書の図です。

 「花洛名勝図会」より祇園社
  「花洛名勝図会」

 楼門の右側に「蛭子社」が見えます。やはり北向きですね。八坂神社に数多くあった末社のひとつでした。

 「花洛名勝図会」より祇園社

 これが現在の社殿で、正保3年(1646)のもの。三間社流造(重要文化財)です。絵にも、流造に描かれていますね。

 北向蛭子社
  テントの向うが北向蛭子社 (2014年1月10日撮影)

 北向蛭子社
  北向蛭子社

 鳥居があり、小ぶりの祠があります。ふだんは、本殿への参道右側にあって目立たない存在ですが、今日は格別です。
 おもしろいことに、サッポロビールから献酒が……。ある意味、当然ですかね?

 北向蛭子社

 こちらの笹と吉兆(縁起物)は、このような感じです。

 北向蛭子社
  福笹

 北向蛭子社
  吉兆

 笹は1,000円で授与、吉兆には大鯛、大蔵、大福帳、千両箱、金小槌(以上、各500円)、福金俵、福巾着、箕三面(以上、各1,000円)などがあります。
 1月10日(本蛭子)午後3時に、蛭子社祭が執行されます。福笹の授与は、1月9日、10日です。

 八坂神社
  八坂神社本殿(重要文化財)




 北向蛭子社(重要文化財)

 所在 京都市東山区祇園町北側 八坂神社
 拝観 境内自由  十日戎の福笹授与は1月9日、10日
 交通 京阪電車「祇園四条」下車、徒歩約10分



 【参考文献】
 「花洛名勝図会」1867年
 高原美忠『八坂神社』学生社、1972年



スポンサーサイト

コメント

非公開コメント