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船越幹央

Author:船越幹央
博物館で学芸員をしています。また、京都市内の大学で非常勤講師を務めています。
生れ育った京都の魅力を歴史・文化財・史跡を中心にお伝えします!
やっぱり、京都は奥深い。知れば知るほど、味わい深い。このブログを読んで、京都を歩いてみてください!

[主な取材等]
テレビ:NHK「ブラタモリ~京都~」、BS-TBS「高島礼子・日本の古都」、BS日テレ「片岡愛之助の解明!歴史捜査」ほか
新聞・雑誌:小学館「サライ」、朝日新聞、日本経済新聞ほか
見学会:「まいまい京都」ほか

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【新聞から】 かつて聖護院の名産は、ダイコンとカブだった

洛東




「花洛名勝図会」より聖護院大根


 聖護院かぶ、台風に負けず
 亀岡・篠地区で収穫ピーク
 京都 2013年12月3日付


 京漬物の代表格「千枚漬け」などの材料になる<聖護院かぶ>の収穫が最盛期だそうです。
 「聖護院」というと、京都市左京区の地名。門跡寺院の聖護院があるところです。

 聖護院門跡 聖護院門跡

 今では住宅が建て込んでいて、農地は見られません。
 しかし、昔は鴨東の田園が広がる地域でもあり、蔬菜栽培が盛んでした。
 幕末に刊行された「花洛名勝図会」(1864)には、聖護院大根の収穫の様子が描かれています。

 「花洛名勝図会」より聖護院大根
 「花洛名勝図会」巻4

 ちょっとした柵をこしらえて畑を作り、収穫した大根を籠に入れています。
 説明には、こう書かれています。

 此辺、岡崎、聖護院等の村民ハ、菜蔬[あをもの]を作るに精しく、毎年仲春より瓜、茄子の初ものを出し、また近来、尾張種の太蘿蔔[ふとだいこん]をつくり得て、例歳十月のころ、日毎に市に荷ふて売事しばしばなり。
 都人、これを求て風呂吹の味噌つけ、或ハ油豆腐と共に煮て羹[あつもの]とし、会式十夜講の料理に用ふる事、例式となりて、都下一箇の奇玩となれり。


 まず、岡崎や聖護院の村人は蔬菜栽培に詳しいと述べています。そのため、毎年2月(陰暦)からウリやナスの初物を出していた、ということで、ふつうよりも早く収穫する術を持っていたのですね。
 そして、近年、尾張(愛知県)の大根を改良して「太だいこん」というものを作り出して、毎年10月(陰暦)頃には市で売っていたといいます。
 京の人たちが、味噌をつけて風呂吹き大根にして食べたという、これは今と同じですね。
 「油豆腐」というのは、たぶん油揚げでしょう、それと一緒に炊いたりしたという、これもおいしそうです。
 聖護院大根は煮崩れしないので、炊いて食べるのに適しています。

 ちなみに、引用文に出てきた「蘿蔔(らふく)」はスズシロを意味し、ダイコンの漢語的表現です。春の七草のスズナ(カブ)、スズシロ(ダイコン)ですね。

 「花洛名勝図会」より聖護院大根

 「花洛名勝図会」の絵では、現在のように丸大根ではなく、ふつうの大根が太った程度に描かれています。

 新聞に出てきた亀岡市の篠地区は、聖護院かぶや聖護院大根の生産地として知られています。
 さすがに江戸時代のように、左京区聖護院の周辺では野菜の栽培は難しいでしょう。
 このような産地の移転は、戦後はよく見られる現象です。例えば大阪でも、北河内の守口市で栽培されていた細長い「守口大根」は、現在では岐阜、愛知で収穫され、名古屋名物「守口漬け」の素材となっています。

 京都の師走は、大根だき(だいこだき)のシーズンでもあります。
 12月7日、8日には千本釈迦堂(大報恩寺)で、9日、10日には鳴滝の了徳寺で、大根だきが行われます(他にもあり)。
 機会を見つけて、訪ねてみるのもいいかも知れません。
 



 【参考文献】
 「花洛名勝図会」1864年


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