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船越幹央

Author:船越幹央
博物館で学芸員をしています。また、京都市内の大学で非常勤講師を務めています。
生れ育った京都の魅力を歴史・文化財・史跡を中心にお伝えします!
やっぱり、京都は奥深い。知れば知るほど、味わい深い。このブログを読んで、京都を歩いてみてください!

[主な取材等]
テレビ:NHK「ブラタモリ~京都~」、BS-TBS「高島礼子・日本の古都」、BS日テレ「片岡愛之助の解明!歴史捜査」ほか
新聞・雑誌:小学館「サライ」、朝日新聞、日本経済新聞ほか
見学会:「まいまい京都」ほか

ARCHIVE

“東洋のバウハウス”を志向した京都高等工芸学校の本館は、連続窓が見どころ





京都工芸繊維大学3号館


 吉田から松ヶ崎に移転した高等工芸学校

 前回、西陣織物館の関係でふれた京都高等工芸学校。明治35年(1902)に創立されましたが、当初は、現在の京都大学の西側、吉田の地に校舎がありました。学科は、図案科、機織科、色染科の3科から構成されていました。

 昭和4年(1929)に陶磁器科が新設されますが、このことがキャンパスの拡大、移転につながります。
 新たに、市街地北郊の松ヶ崎(現校地)に移ったのは、昭和5年(1930)のことでした。この校舎を設計したのが、図案科の主任教授だった本野精吾、あの前衛的な西陣織物館を設計した建築家でした。

 ちなみに、本野が受け持っていた科目は、建築工芸学、工芸図案学、建築史、工芸史、意匠計画、製図実習、彫塑実習となっています(昭和12年当時)。さすがに、工芸的、デザイン的な要素が強く、一般の建築学科とは趣を異にしています。

 京都工芸繊維大学3号館
  京都工芸繊維大学・東門から3号館を望む(かつての正門と本館)


 “東洋のバウハウス”? 

 移転に際して、キャンパスの東側に、東を向いて建てられたのが本館(現・3号館)です。

 京都工芸繊維大学3号館

 この建物の原型は、昭和2年(1927)に設立されたインターナショナル建築会の最初の展覧会に出品された「或る学校建築への草案」という図面でした。その設計は、壁面のすべて、とりわけ2層と3層が連続的なガラス面で覆われている建物でした。
 その前年にヴァルター・グロピウスによって造られたバウハウスの校舎(ドイツ・デッサウ)に想を得たとも思われるデザインで、遡れば、本野がドイツ留学時に圧倒されたAEGタービン工場(ペーター・ベーレンス設計)の影響があるようにも思われます。
 もし、この当初案が実現、現存していれば、日本の代表的なインターナショナルスタイルの作品になっていたかも知れません。

 現在の校舎は、本野の基本設計をもとに文部省が実施設計したといわれています。
 その前面を見ると、どこがバウハウス? と思われることでしょう。

 京都工芸繊維大学3号館
  京都工芸繊維大学3号館 正面(東面)

 その名残りは、建物の南面と北面に見られるのです。

 京都工芸繊維大学3号館
  南面

 2、3階をカンチレバー(片持ち梁)によって少し持ち出した連続窓です。当初案から比べるとずいぶんおとなしいのですが、本野のアイデアを示す部分です。

 京都工芸繊維大学3号館
  南面

 窓が光ると、3連の桟が綺麗ですね。


 外壁はスクラッチタイル

 外壁は、すべてスクラッチタイル貼りです。

 京都工芸繊維大学3号館

 当時の流行ですが、茶褐色なので、よく言えば重々しい感じ、悪く言えば沈んだ雰囲気になってしまいます。個人的な感想としては、もったいないと思います。

 それでも、細部はおもしろいのです。

 京都工芸繊維大学3号館

 京都工芸繊維大学3号館 車寄せ


 正面の車寄せです。
 庇にガラスを張って採光しています。

 京都工芸繊維大学3号館

 このあたりが時代の雰囲気を醸し出すとともに、高等工芸学校らしいエレガンスでしょうか。

  京都工芸繊維大学3号館 扉(内側より)

 もしかして学生にも余り知られていない名建築ですが、門衛所や倉庫とともに、登録文化財になっています。
 本野精吾の建築作品は、西陣織物館(現・京都市考古資料館)、本野邸、鶴巻邸と、この校舎しか現存していません。最も大規模なものですので、一度ご覧になってみてください。


 京都工芸繊維大学門衛所
  門衛所(東門脇)




 京都工芸繊維大学 3号館 (登録有形文化財)

 所在 京都市左京区松ヶ崎橋上町
 見学 自由(キャンパス内です)
 交通 地下鉄「松ヶ崎」下車、徒歩約10分



 【参考文献】
 『建築家 本野精吾』京都工芸繊維大学技術工芸資料館、2010年
 『京都工芸繊維大学百年史』京都工芸繊維大学百周年事業委員会、2001年


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