06 | 2017/07 | 08
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31 - - - - -
MENU

NEW ARRIVAL

PROFILE

船越幹央

Author:船越幹央
博物館で学芸員をしています。また、京都市内の大学で非常勤講師を務めています。
生れ育った京都の魅力を歴史・文化財・史跡を中心にお伝えします!
やっぱり、京都は奥深い。知れば知るほど、味わい深い。このブログを読んで、京都を歩いてみてください!

[主な取材等]
テレビ:NHK「ブラタモリ~京都~」、BS-TBS「高島礼子・日本の古都」、BS日テレ「片岡愛之助の解明!歴史捜査」ほか
新聞・雑誌:小学館「サライ」、朝日新聞、日本経済新聞ほか
見学会:「まいまい京都」ほか

ARCHIVE

京都の西国三十三所(1)

寺院




革堂


 現在と違った札所の順番

 関西を中心にひろがる33か所の観音霊場を巡る<西国三十三所巡礼>。
 その歴史は古く、札所の各寺院を巡ると「徳道上人」とか「花山法皇」とか古い名前がたくさん出てきます。それがいつの時代なのか、なかなかピンと来ませんね。
 徳道上人や花山法皇の巡拝は現実には行われていないと思われますが、では実際に西国三十三所が巡拝されたのがいつ頃かというと、12世紀頃と考えられます。三井寺の「寺門高僧記」などに記されている三井寺の行尊(1055年-1135年)、あるいは覚忠(1118年-1177年)が行ったとされていて、特に覚忠による巡拝(応保元年=1161年)が確からしいと考えられています。
 その頃は、現在の一番・青岸渡寺~三十三番・華厳寺という順序ではありませんでした。行尊が150日かけて回ったという巡拝は、奈良の長谷寺から始まり宇治の三室戸寺で終わっています。一方、覚忠は那智から始めて三室戸寺まで、75日で巡拝しています。三室戸寺は三井寺の末寺(寺門派)であったので、彼らがここで巡拝を終えるのも道理があるといえるでしょう。(覚忠のルートは末尾にまとめています)

 この時代、つまり平安時代の巡礼は、五来重氏の平易な言葉を借りれば「プロの巡礼」でした。行尊や覚忠らも修験者ですから、プロの「聖(ひじり)」です。一般の民衆が巡礼するようになるのは、ずっと後の時代、室町時代頃になります。

 そんなことで、西国三十三所の観音霊場は、平安時代末頃(院政期)の修験者の修行場や居所と関係がありました。上醍醐寺(十一番)、善峰寺(二十番)、中山寺(二十四番)、清水寺(播磨、二十五番)、円教寺(二十七番)、成相寺(二十八番)、宝巌寺(竹生島、三十番)など、修験者ゆかりの地がたくさんみられます。また、今熊野観音寺(十五番)、六波羅蜜寺(十七番)、六角堂(十八番)、革堂(十九番)など京都市中の寺院は、修験者が街に出て布教を行った基点です。
 覚忠なども、山林修行した修験者ですから、霊場を経巡るなかで、それを結んだ三十三所巡礼がなされたのでしょう。

 ちなみに、現在の那智から美濃・谷汲というルートは、東国からの巡礼者(伊勢詣りから始める)の便宜に叶っているルートです。「西国」三十三所という名称も<関東から見た西国>という意味合いです。


 京都の11か寺

 このことからいえば、現在、京都府内にある11の札所(番外を除く)のほとんどは、修験の霊場、あるいは市街地に置かれた基点のようなものとみることができます。もっとも清水寺のように、それ以前から京の貴顕に信仰されていた観音の霊地もあります(大和の長谷寺、近江の石山寺などもこのケースです)。
 念のため、京都の11か寺をあげておきましょう。

  十 番  三室戸寺
  十一番  上醍醐寺
  十五番  今熊野観音寺
  十六番  清水寺
  十七番  六波羅蜜寺
  十八番  六角堂(頂法寺)
  十九番  革 堂(行願寺)
  二十番  善峰寺
  二十一番 穴太寺
  二十八番 成相寺
  二十九番 松尾寺

 現在のように府県の区画はなく、道に従ってゆくので、京都の間に滋賀県や兵庫県が挟まっています。

 ということで、回を改めて、この11か寺を巡り訪ねてみましょう。
 そこには、庶民の信仰が息づいています。


三室戸寺




 【参考】覚忠が行った巡拝の順序(1161年)

 1.那智山
 2.金剛宝寺
 3.粉河寺
 4.南法華寺
 5.龍蓋寺
 6.長谷寺
 7.南円堂
 8.施福寺
 9.剛林寺
 10.総持寺
 11.勝尾寺
 12.仲山寺
 13.清水寺
 14.法華寺
 15.書写山
 16.成相寺
 17.松尾寺
 18.竹生島
 19.谷汲山
 20.観音正寺
 21.長命寺
 22.三井寺南院如意輪堂
 23.石山寺
 24.岩間寺
 25.上醍醐
 26.東山観音寺
 27.六波羅蜜寺
 28.清水寺
 29.六角堂
 30.行願寺
 31.善峰寺
 32.菩提寺(穴憂寺)
 33.御室戸寺




 【参考文献】
  速水 侑『観音信仰』塙書房(塙選書)、1970年
  佐和隆研『西国巡礼 三十三所観音めぐり』社会思想社(現代教養文庫)、1970年
  五来 重『西国巡礼の寺』角川文庫、2008年(原著1995年)



スポンサーサイト

コメント

非公開コメント