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船越幹央

Author:船越幹央
博物館で学芸員をしています。また、京都市内の大学で非常勤講師を務めています。
生れ育った京都の魅力を歴史・文化財・史跡を中心にお伝えします!
やっぱり、京都は奥深い。知れば知るほど、味わい深い。このブログを読んで、京都を歩いてみてください!

[主な取材等]
テレビ:NHK「ブラタモリ~京都~」、BS-TBS「高島礼子・日本の古都」、BS日テレ「片岡愛之助の解明!歴史捜査」ほか
新聞・雑誌:小学館「サライ」、朝日新聞、日本経済新聞ほか
見学会:「まいまい京都」ほか

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きょうの散歩 - 貝葉書院 - 2013.10.21





貝葉書院


 今日は、ふだん余り通らない道を通って出掛けようと、自転車で走っていると、丁字路になっている二条木屋町にこんな店がありました。

 貝葉書院。読みは、「ばいよう しょいん」。

 あぁ、ここにあったのか、という感じでした。
 この店は、経典などの仏教関係書を製造、販売しているお店です。といっても、ふつうの印刷ではなくて、木版を用いて手で刷っているのです。

 貝葉書院は、もともとは宇治・黄檗山萬福寺の塔頭である宝蔵院で行われていた大蔵経の印刷がルーツになります。

 宇治・宝蔵院
  萬福寺塔頭・宝蔵院 奥の建物が一切経収蔵庫

 この大蔵経(一切経)は、鉄眼禅師が艱難辛苦の末に開版されたもので(延宝6年=1678年)、6,956巻からなっています。その版木は、現在も宝蔵院の収蔵庫に収められ(重要文化財)、驚くべきことに現役で印刷に用いられていて、収蔵庫の奥でバレンで刷られているのを目にすることができます。
 貝葉書院は、この印刷事業から発展した書院です。

 貝葉書院
  貝葉書院

 そろっと引戸を開けて中に入ってみると、棚に和本が積まれており、どれも経典をはじめとする仏教書でした。
 そのウェブサイトを見てみると、例えば鉄眼版の大般若経が扱われています。大般若経は600巻ありますから、お値段も格別。表装の如何にかかわらず数百万円します。
 いまでもこういう折本仕立ての大般若経は、転読の際に必要なものです。

  貝葉書院

 ちなみに、「貝葉」は多羅樹の葉を意味するといい、「貝多羅葉(ばいたらよう)」の略だそうです。
 山田孝道『禅宗辞典』によると、「その葉は長広にして色沢光潤にして、その質、針を以て文字を刻するに適するを以て、南方諸国においては多く書写に用ゐらる。経典も亦之に書写せるあり」と記されています。
 葉っぱに経典を書いたのですね。

 貝葉書院

 それにしても、版木に文字を彫って印刷するという伝統的な技術は、日本で発展した創造的な分野ですね。
 自在に文字を刻み、絵と同居させることもできます。細かな振り仮名も自由自在。

 都名所図会「都名所図会」より

 独特の美しさがあります。

 未だ、このような伝統を守っている貝葉書院に賞讃の念が湧いてきます。禅宗寺院が多い京都らしいお店ですね。

 ちなみに、鉄眼禅師の大蔵経に用いられた書体は、明から伝来した文字スタイルでした。これが今日の「明朝体」の起源となったことは、よく知られています。




 貝葉書院

 所在 京都市中京区二条通木屋町西入
 交通 地下鉄「市役所前」下車、徒歩約5分


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