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船越幹央

Author:船越幹央
博物館で学芸員をしています。また、京都市内の大学で非常勤講師を務めています。
生れ育った京都の魅力を歴史・文化財・史跡を中心にお伝えします!
やっぱり、京都は奥深い。知れば知るほど、味わい深い。このブログを読んで、京都を歩いてみてください!

[主な取材等]
テレビ:NHK「ブラタモリ~京都~」、BS-TBS「高島礼子・日本の古都」、BS日テレ「片岡愛之助の解明!歴史捜査」ほか
新聞・雑誌:小学館「サライ」、朝日新聞、日本経済新聞ほか
見学会:「まいまい京都」ほか

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きょうの散歩 - 奈良で京の仏像に会う - 2013.9.15

寺院






  みほとけのかたち展


 奈良に行って京の仏像に会うというのも、乙なもの。
 今日は、台風が接近するなか、奈良国立博物館に行き、特別展「みほとけのかたち-仏像に会う-」を見てきました。ほとんどが奈良の仏像だったのですが、数件だけ京都の仏さまも出ていました。

  『概説三十三間堂』表紙
  『概説 三十三間堂』表紙

 私が出会った京の仏像は、三十三間堂の千手観音菩薩立像です。
 
 出品されていた像は、運慶の子・湛慶の作になるもの。
 いつも三十三間堂に行くと、南の端の方の仏像に不在があるのに気付きます。彼らは、京都、奈良、東京の国立博物館に“出張”されているのですが、おそらく今日の仏さまも“奈良出張”の方なのでしょう。

 三十三間堂内陣(『日本地理大系』7より)
  三十三間堂内陣(『日本地理大系』7より)

 ふだんはこのように、千体並んでおられるので、単体でお目にかかることはありません。
 ところが今日は、展示室の中で、たった独りで立っておられたのです。実に珍しい光景でした。

 そこで、私が気付いたいくつかのこと。

(1)すごくスマート
 思いのほか、ほっそりとしておられます。像高は166cmと等身大ですが、横から見ると腰の位置が極めて高く造られています。まさに人間離れしていて、スマートです。

(2)顔の大きさが変わる
 いつもは、割合近い位置から拝見しています。ところが、展示室で5mも離れて見ると、頭も小さくて細い体躯です。ところが、徐々に近づいて2mとか1mとかで見ると、頭が物凄く大きく見えます。
 一方、立って見るよりも、しゃがんで見る方が顔は小さく見えます。
 顔が大きいと迫力があり、小さいとコンパクトに感じられます。実際の御堂の中では、参拝者は低い位置から雛壇上を見るわけですから、顔は小さく見えているのでしょう。
 仏師は、どのように思って造ったのか、気になります。

(3)下から見上げると、もっとスマート
 しゃがんで全体を見ると、脚がより長く見えて、とてもスマートです。
 こちらも、制作の際、どういう計算で造られたのか不明ですが、おもしろい発見でした。

 という感じで、いつもと違う空間で、異なった見方をすると、見慣れた仏さまも多彩な表情を見せるのでした。
 この展覧会では、千手観音菩薩は「持物」の説明コーナーに登場されていたのですが、私は持物そっちのけで、前に行ったり後ろに下がったり、立ったりしゃがんだりと、忙しく御像を拝見したのでした。

 仏さまは別に美術品ではありませんし、博物館の中に安置されるものでもありませんから、お寺の御堂の中でどのように見えるか、信心されるかを考えるのがよいような気がします。
 今日は、そのあたりを再考するヒントをもらったような感じでした。また、三十三間堂を訪ねた折に、再確認してみましょう。


 奈良の鹿

 特別展「みほとけのかたち-仏像に会う-」 2013年7月20日~9月16日、奈良国立博物館



 【参考文献】
 『みほとけのかたち』奈良国立博物館、2013年
 『日本地理大系』7、改造社、1929年
 『概説 三十三間堂』三十三間堂本坊妙法院門跡、1976年


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