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PROFILE

船越幹央

Author:船越幹央
博物館で学芸員をしています。また、京都市内の大学で非常勤講師を務めています。
生れ育った京都の魅力を歴史・文化財・史跡を中心にお伝えします!
やっぱり、京都は奥深い。知れば知るほど、味わい深い。このブログを読んで、京都を歩いてみてください!

[主な取材等]
テレビ:NHK「ブラタモリ~京都~」、BS-TBS「高島礼子・日本の古都」、BS日テレ「片岡愛之助の解明!歴史捜査」ほか
新聞・雑誌:小学館「サライ」、朝日新聞、日本経済新聞ほか
見学会:「まいまい京都」ほか

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なぜかおもしろい! - みうらじゅん『マイ京都慕情』

京都本




マイ京都慕情


 今年注目の1冊

 今年出る京都本の中でも注目される1冊が、みうらじゅん『マイ京都慕情』。5月末に刊行されました。

 110ページの薄い本ですが、みうらじゅんらしく、また新潮社らしく、カラー写真満載の楽しめる内容となっています。
 
 みうらさんは、言わずと知れた京都生まれで、本書によると、北区の大将軍に実家があったそうです。私の母の実家はこの近く(ただし、みうらさんとは逆で西大路の東側)なので、私にとっても馴染みのあるところです。天神さん(北野天満宮)の近所ですね。

 「大将軍」の項に、はりきってタイガース(沢田研二らのグループサウンズ)の家を案内していた、というくだりがありますが、確かに昔このあたりではタイガースの出身地ということで、よくその話題が出ていましたね。

 嵐電の白梅町も近くです。

 車両こそ少し新しくなってはいるが市電無き後、当時の風情を伝える唯一の交通機関である。「踏切り良し!」と、運転手が指示し確認するセリフは今も同じだった。オレは小学生の頃、よく運転席の横に立って大声でそのセリフのマネをして、「ボク、ちょっと黙っててくれるかなぁ」と、言われたことがある。(22ページ)

 こういうところが、みうらじゅんらしくて微笑ましいです。


 ビジュアル満載!

 みうらじゅんの本は、いつもビジュアルが見飽きないのですが、この本もその一冊。
 まず驚愕するのは、そしてこの本の白眉なのが、目次のビジュアルです。

マイ京都慕情
 『マイ京都慕情』目次……渚ゆう子

 この顔、すごい……

 本書のタイトルは、渚ゆう子「京都慕情」から取られています。
 渚ゆう子、昭和45年(1970)に「京都の恋」「京都慕情」を立て続けにヒットさせた歌手。みうらさんより少し年下の私は、この歌の記憶はないのですが、みうらさんは「今でも気が付けば……口ずさんでる」曲なのです。
 彼女の姿と声は、You Tube でご覧いただければと思うのですが、さすがにこのイラストほど蠱惑的ではないにせよ、なかなか魅力的な女性シンガーです。イラスト通り、くちびるの右上に小さなほくろがあります。

 あまり中身を紹介すると何なので、あとはお買い求めいただくとして、たとえば土門拳の仏像写真と、それに憧れたみうら少年撮影の仏像写真を並べて配したページなどは、圧巻!
 いつもながら、みうらじゅんの現在と過去を行き来する構成に、時に唖然とし、時に魅了されます。  


 ひさうちみちおと対談!

 テキストも読みごたえがあって、たとえば東山高校の恩師との対談。先生の亀岡の家に泊まって、スーパーカブを乗り回して壊した話とか、南無阿弥陀仏を唱えてから学食にダッシュする話とか。先生もあたたかくて、いい学校生活だったのでしょう。

 巻末のひさうちみちお(京都出身の漫画家)との対談も興味深いです。

 みうら  京都のイメージは?
 ひさうち すごく嫌なこともなかったですが、別に好きな街でもなかったですねえ。
 みうら  住まれてる人ってそうですよね。「京都が好き!」とやたら言っている京都の人って、いないでしょ。(103ページ)


 この感じ、ありますね。
 大阪に行くと“好っきゃねん、おおさか!”という言葉をよく目にするのですが、京都はそういうのはないのです。ひさうちさんが言うように、別に嫌いじゃないけれど好き好きというのも、ちょっと違う。私も、この歳になって、ようやく少し京都のよさが分かって来たのですが、それでも「好き」というのは何か違うんですね。

 みうら  でも、東京で「関西」って言うと大阪のことですよね。(中略)京都の人は「関西」なんて言わない。京都は京都ですから。もっとエラソーですね(笑)
 ひさうち ライバルじゃないですけど、そういう感じなのでしょうね。京都人が大阪人をあんまり好きじゃないというのは、逆に大阪人が京都人を好きじゃない、ということも、こっち、わかってますから。それででしょうねえ。(105ページ)


 確かに、大阪にいると、やたら「関西々々」と聞くけれど、京都ではそう言いません。今の大阪の人は、大阪が関西の中心という気持ちがあるでしょうし、そもそもテレビのキー局や新聞の本社が大阪にあるので、マスコミの影響も見逃せません。

 マイ京都慕情
 みうらじゅん『マイ京都慕情』

 『マイ京都慕情』。ぜひ手に取ってみてください。
 ただし、京都案内としては、本人いわく「まったく役に立たない本」ではありますが……




 書 名:『マイ京都慕情』
 著 者:みうらじゅん
 出版社:新潮社
 刊行年:2013年


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