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船越幹央

Author:船越幹央
博物館で学芸員をしています。また、京都市内の大学で非常勤講師を務めています。
生れ育った京都の魅力を歴史・文化財・史跡を中心にお伝えします!
やっぱり、京都は奥深い。知れば知るほど、味わい深い。このブログを読んで、京都を歩いてみてください!

[主な取材等]
テレビ:NHK「ブラタモリ~京都~」、BS-TBS「高島礼子・日本の古都」、BS日テレ「片岡愛之助の解明!歴史捜査」ほか
新聞・雑誌:小学館「サライ」、朝日新聞、日本経済新聞ほか
見学会:「まいまい京都」ほか

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きょうの散歩 - 祇園祭 山鉾巡行(その2) - 2013.7.17 -





祇園祭・鶏鉾


 山鉾巡行が始まる午前9時を前に、各鉾町の山や鉾はそろそろと動き始め、所定の位置に着いていきます。

 祇園祭・鶏鉾
  鶏鉾

 四条室町下ルに建つ鶏鉾(にわとりほこ)も、僅かに北上して、四条通に出てきます。

 祇園祭・鶏鉾
  四条室町の鶏鉾

 四条通と室町通の交わるこの場所は「鉾の辻」と呼ばれ、東に函谷鉾(かんこほこ)、西に月鉾、北に菊水鉾、南に鶏鉾が位置しています。
 山鉾巡行の順番は、「くじ取らず」で長刀鉾が第一番ですが、鉾ではそれに函谷鉾が続きます。月鉾、菊水鉾、鶏鉾の3基は、くじによって、全体の9番、13番、17番に入ります。今年、鶏鉾は9番目になりました。

 この交差点で、最初の直角カーブ、すなわち「辻回し」となります。

 祇園祭・鶏鉾

 辻回しは、鉾の車輪の下に割竹を敷き、水を掛けて滑りをよくしながら、3度くらいに分けて徐々に回します。

祇園祭・鶏鉾
  割竹と桶

 鉾の車体の下部には、割竹と水を入れる桶が常備されています。
 巡行の間、辻回しは何度もありますから、割竹はその都度出し入れするとしても、水はどうやって調達するのでしょうか?

 四条室町の角に、一軒の中華そば屋さんがあるのですが、実は……

 祇園祭・鶏鉾

 車方(くるまかた)の若い男性が、この店に水をもらいに来たのです。それも二度も。

祇園祭・鶏鉾

 桶だけでなく、現代的なバケツも使っていますね。店の人も気安く水を提供していました。

 祇園祭・鶏鉾 祇園祭・鶏鉾

 その甲斐あって、徐々に鉾は転回していきます。
 そして無事に、四条通に出てきました。時刻は、午前9時。先頭の長刀鉾が動き始めた頃です。

 祇園祭・鶏鉾

 最初、四条室町で見ていた私も、歩を進めて烏丸通を渡り、大丸前あたりまで歩いていきます。
 すると、私と同じようなペースで鶏鉾も進んできました。

 祇園祭・鶏鉾
  四条通の鶏鉾

 気が付けば、いつのまにか鶏鉾と一緒に歩いている自分に気付きました。

 よく見ると、先ほどの水を汲んでいた車方は、鉾の下に陣取っていました。

祇園祭・鶏鉾

 彼は、巡行の間、外に出るのは辻回しの時だけで、まっすぐの道では鉾の中で歩いているのでした。

 祇園祭・鶏鉾

 鉾が停まっている間、路肩で話している二人は、車方の親子です。息子さんは、おそらく中学生。おやじさんは、息子を連れだして、熱心に辻回しの方法を語っているのでした。
 そのうち、鉾はまた動くので、二人して車輪を押して始動させます。

祇園祭・鶏鉾

 車輪の前を回しているのがおやじさん、後ろから押しているのが息子さんです。

 祇園祭は、こうして世代を越えて継承されていくのですが、鶏鉾について歩いている一人の男性がいました。

 祇園祭・鶏鉾

 帯を低く締めて浴衣を着た老人。ずっと鉾の前後を歩いていて、時折、知己の人たちと楽しそうに挨拶を交わしています。

 祇園祭・鶏鉾

 たぶん、町内の長老なのでしょう。まったく巧まざる着こなしが、そのくせ格好よくて、深い年輪が感じられます。

 くじ改めを済ませて、四条河原町の交差点。ふたたび辻回しです。

 祇園祭・鶏鉾
  四条河原町の鶏鉾

 ものすごい人垣で、あとから着いた私は遠くから見ることに。

祇園祭・鶏鉾

 これは辻回しを終え、北に向いたところです。
 時刻は午前10時30分。私も、そろそろ仕事に行かなければなりません。河原町通を動き始めた鶏鉾を見届けて、駅に向かいました。

 鶏鉾といえば、「イーリアス」の一節をモチーフにしたベルギー製の綴織や、今年から新調された角倉船の胴懸など、装飾に目が行きがちです。
 しかし一方で、その鉾を動かしているのは町内の人たちで、老いも若きも力を合わせて事に当たっています。その一人ひとりの姿には矜持と責任とがにじみ出ていて、自らが伝統を支えていることへの強い意識が感じられるのでした。
 長い歴史の中で、多くの困難を乗り越えてきた人たち。幾世代を越えて、その伝統は確かに継承され、時代々々に従った形に変化しながらも、その大本は受け継がれていきます。

 今朝は、7時半から10時半まで、ほんの3時間でしたが、祇園祭に携わる人たちの姿を追いながら、改めて歴史の重みと、人と人との紐帯の大切さを思わずにはいられませんでした。

 来年は巡行の形が変わるという話もありますが、時間が許せば、また鶏鉾を見に行きたいと思っています。


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