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船越幹央

Author:船越幹央
博物館で学芸員をしています。また、京都市内の大学で非常勤講師を務めています。
生れ育った京都の魅力を歴史・文化財・史跡を中心にお伝えします!
やっぱり、京都は奥深い。知れば知るほど、味わい深い。このブログを読んで、京都を歩いてみてください!

[主な取材等]
テレビ:NHK「ブラタモリ~京都~」、BS-TBS「高島礼子・日本の古都」、BS日テレ「片岡愛之助の解明!歴史捜査」ほか
新聞・雑誌:小学館「サライ」、朝日新聞、日本経済新聞ほか
見学会:「まいまい京都」ほか

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【新聞から】京都の “和風モダン建築”

建築





 「京の和風モダン建築 十選」(石田潤一郎)
 日経 2013年6月27日付~7月12日付



  京都の和風モダン建築


 京都工芸繊維大学の石田潤一郎氏が、京都の「和風モダン建築」を紹介する連載。
 第1回の冒頭に、こう前置きされています。

 明治以来、日本の建築家は「西洋そのまま」の洋館をめざす一方で、「和」の継承もまた願った。京都ほどそうした試みを誘った土地はない。

 もちろん、近代建築に和風の要素を取り入れる試みは、京都以外の地域でも幅広く行われてきました。ただ、こうして改めて京都の建物を並べて見ると、その豊かさに気付かされます。
 石田氏が選んだ10の建物は、次の通り。

  1 京都市美術館本館
  2 大覚寺 心経殿
  3 南座
  4 大雲院 祇園閣
  5 京都教育大学付属京都小中学校
  6 旧武徳殿
  7 京都芸術センター(旧京都市立明倫小学校)
  8 京都市美術館別館(旧京都市公会堂東館)
  9 龍谷大学 大宮図書館
 10 弥栄[ヤサカ]会館


 6は京都市武道センター、8は京都会館、10は祇園の甲部歌舞練場にあります。

 南座や京都市美術館は誰もが知っている建物ですが、龍大の図書館など注目されづらいものも含まれています。

 和風モダン建築という呼称は、特に学術用語ではないと思いますが、本来なら洋風であるはずの近代建築に和風の要素を取り入れた建物、という意味でしょう。
 かつて、よく「帝冠様式」という語が用いられました。昭和初期、軍国主義的な雰囲気を背景に、西洋建築の上に“冠”の如く和風の屋根を載せた建物が造られました。これを帝冠様式と呼んでおり、歴史的な用語だろうと思います。

愛知県庁と名古屋市役所
「帝冠様式」の代表例、愛知県庁(右)と名古屋市役所

 京都では、京都市美術館などが、これに当たるでしょう。

京都市美術館
  京都市美術館

 ただ、「帝冠様式」というと時代色を強く感じすぎますし、かといって「近代和風建築」というと、寺社や邸宅などの在来の木造建築も含んで幅広くなります。
 「近代モダン和風」といえば、“モダン”の部分に力点が付いて、一定の特徴を持った建物を抽出できそうです。

 ただし、選ばれた建物はすべて鉄筋コンクリート造ではなく、旧武徳殿(松室重光設計)なども入っています。

武徳殿
  旧武徳殿

 これがモダンかな、とも思いますが、石田氏は次のように解説しています。

 その彼が武徳殿という復古的なようで新しい課題に取り組んだ。「新しい」というのは、演舞場として、24メートル×15メートルの大空間が求められたからだ。そこには柱が立っていてはならず、しかも明るくなければならない。そこで松室は、西洋風のトラスで屋根を架け、壁は筋交いで固めた。また採光のため、ガラスを入れた高窓をめぐらせた。

 木造の和風建築でも、近代になると多くはガラス窓を入れます。

武徳殿
  武徳殿のガラス窓

 1階の目立つところは蔀戸(しとみど)にして、上部の採光はガラス窓という合理性。なかなか気付きません。

 基壇に開けられた通風口にも……

 武徳殿

 煉瓦のヴォールトが。隠された“モダン”です。

 「和風モダン建築」は、少しエキゾチックな雰囲気がして、欧米人が造った日本建築、といった趣きもあります。
 細部意匠も含めて、じっくり見てみると案外おもしろいですね。

 

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