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船越幹央

Author:船越幹央
博物館で学芸員をしています。また、京都市内の大学で非常勤講師を務めています。
生れ育った京都の魅力を歴史・文化財・史跡を中心にお伝えします!
やっぱり、京都は奥深い。知れば知るほど、味わい深い。このブログを読んで、京都を歩いてみてください!

[主な取材等]
テレビ:NHK「ブラタモリ~京都~」、BS-TBS「高島礼子・日本の古都」、BS日テレ「片岡愛之助の解明!歴史捜査」ほか
新聞・雑誌:小学館「サライ」、朝日新聞、日本経済新聞ほか
見学会:「まいまい京都」ほか

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【大学の窓】 書庫の書物たち

大学の窓




 懐かしい書庫で勉強


 書庫

 上京大学(仮称)の図書館にある書庫。

 近年は、カウンターで申し込みさえすれば、利用者の誰もが書庫に入って図書を閲覧できるようになっています。私の学生の頃は、教員と院生だけだったような気もしますが、手軽に文献にアクセスできるのは喜ばしいことです。

 院生の頃は、この書庫に籠って、史料を読んだものでした。
 懐かしい机、エレベータの脇にある水道の蛇口と鏡も、昔と変わっていません。あの頃は、あり余るほど時間があったのですが、今は授業の前に1時間ほど閲覧するのが精一杯でしょうか。


 『聚楽』という名の写真集

 先日、一冊の書籍のタイトルを知りました。
 
 『聚楽』。

 いったいどんな本なのか?
 京都府立図書館、総合資料館にないか調べてみましたが、架蔵されていないようでした。念のため、大学図書館の蔵書を検索してみると、うまい具合に所蔵されていたのです。
 次の授業日に、早速書庫に入って、閲覧してみました。

 『聚楽』--正確なタイトルは『東洋古建築庭園画集 聚楽』--は、大型書架に置かれており、帙(ちつ、複数冊の本を納めるケース)に入ったものが、3つありました。それぞれの帙が、第1期、第2期、第3期に相当します。各帙には、さらに12の畳紙(たとうがみ、紙製の包み)が入っており、その中に12シートの写真が収められています。つまり(基本的には)1つの帙に144葉の写真が収録されている勘定です。
 ちなみに、この大学の所蔵本は、おそらく編者から、当時大学に在籍した宣教師に贈呈されたものと分かります。

 第1期から開いていきます。
 昭和2年(1927)12月の刊行。発行所は、座右宝刊行会ですが、編者・発行者は橋本基となっています。
 橋本基は、東京市牛込区に在住していましたが、日本画家・橋本雅邦の子息として知られ、自身も画家でした。志賀直哉に師事していたので、本書の監修者は志賀になっています。
 シート状の写真を見ていくと、いきなり門とか庭とかの写真が続きます。ちょっと「?」ですが、蹲(つくばい)などが出て来るに及んで、どうも茶道、「数寄」への興味かなと感じるようになってきます。曼殊院の書院などもあって、なるほどと思わせるのですが、いきなり八瀬の農家の土間(前回紹介した白河女のカマドのようなもの)が出てきて驚きます。しかしこれも、数寄的な関心から来るものだと理解できます。
 
 第1期の写真の撮影者は、大塚稔と萩生田政勝。印刷所は、大塚巧芸社。同社は、大正8年(1919)創業の美術写真印刷の草分けです。おそらく編者は、父・雅邦の伝手で大塚に仕事を依頼したのではないでしょうか。萩生田政勝は本書の写真をたくさん撮っていますが、どのような人なのか知りません。

 第2期、第3期も見ていくと、修学院離宮や桂離宮、著名寺院、邸宅などの京都の名庭から、東京の芝離宮などに至るまで、東西のさまざまな庭園、茶室などが登場し、目を楽しませてくれます。撮影者も上の2人に加えて、京都の写真で知られる黒川翠山、並木毅夫が加わっています。

 大学には第3期までしか所蔵されていなかったのですが、第4期もあるようです。
 昭和初期の全国の庭園、建築などを記録した写真集として、資料的価値も高いでしょう。
 
 こんな書物に出会えるのも、図書館の醍醐味ですね。 



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コメント

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Re: ある古い写真アルバムについて

趙さま

お話、よく分かりました。
一度、そのアルバムを見てみましょう。明日(金曜)の基礎演習の時にでも持って来てください。授業後、拝見します。
よろしくお願いします。

     船越

No title

船越先生、ご親切にありがとうございました!それでは明日よろしくお願い致します。
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