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船越幹央

Author:船越幹央
博物館で学芸員をしています。また、京都市内の大学で非常勤講師を務めています。
生れ育った京都の魅力を歴史・文化財・史跡を中心にお伝えします!
やっぱり、京都は奥深い。知れば知るほど、味わい深い。このブログを読んで、京都を歩いてみてください!

[主な取材等]
テレビ:NHK「ブラタモリ~京都~」、BS-TBS「高島礼子・日本の古都」、BS日テレ「片岡愛之助の解明!歴史捜査」ほか
新聞・雑誌:小学館「サライ」、朝日新聞、日本経済新聞ほか
見学会:「まいまい京都」ほか

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【大学の窓】 江戸時代は “閉ざされた” 時代?

大学の窓





 上京大学(仮称)での日本史の演習、今日はみんなで課題図書を読み、意見交換する授業です。私の教室には十数名が集まってきました。

 今年、私が選んだ本は、田中優子『江戸の想像力』(ちくま学芸文庫)。初めて取り上げてみました。

 なぜ、この書物を選んだかといえば、最近私が近世日本における中国文化の影響について考えていたからです。

 江戸の想像力


 京都の寺社でいえば、例えば宇治・萬福寺。
 17世紀に来日した隠元をはじめとする僧たちが、明末清初の文化を伝播しました。その一例に書がありますが、それについては、こちらの記事をご覧ください。 ⇒ <萬福寺の聯と額は、京都人の憧れの的>

 中国の書は「唐様」ともてはやされ、儒者から庶民に至るまでブームを起こしました。「売家と唐様で書く三代目」という川柳は、余りにも有名です。

 萬福寺
  萬福寺総門

 『江戸の想像力』の構成は、次のようになっています。

 第一章 金唐革は世界をめぐる-近世を流通するもの
 第二章 「連」がつくる江戸十八世紀-行動本草学から落語まで
 第三章 説話の変容-中国と日本の小説
 第四章 世界の国尽し-近世の世界像
 第五章 愚者たちの宇宙-『春雨物語』の世界

 本書では、江戸のネットワーク、とりわけ海外とのつながりが強調されていますが、学生たちにはその点が意外だったようです。

 いわく、<江戸時代といえば「鎖国」という閉ざされたイメージだった>。

 『江戸の想像力』が出版されたのが1986年。もう30年近く前になります。その後、江戸ブームも到来し、専門的な研究も進んで、江戸時代が“閉ざされた世界”だったという認識は、少し古典的な考え方になっていきました。
 ところが、高校で日本史を学んだ学生たちは、江戸=鎖国=閉じた社会、という認識を持っていたのです。

 さらに、おもしろかったのは、<鎖国中に通交があったのはオランダ>というイメージです。
 実際には、先の萬福寺の例をまつまでもなく(本書にも少しだけ萬福寺が登場していますが)、中国からの影響は多大なものがありました。同じ東アジア、漢字文化圏ですから、当然のことといえるでしょう。高校までの歴史学習では、そのあたりが分かりづらいらしく、驚きだったようです。
 
 この授業での課題図書選びは、ちょっと(かなり?)変化球かも知れないので、学生たちは田中優子さんの自由奔放な展開に少し面食らったようでした。けれども、旧来的な鎖国史観を取り外すには、有効な“ショック療法”になったと思います。


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