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船越幹央

Author:船越幹央
博物館で学芸員をしています。また、京都市内の大学で非常勤講師を務めています。
生れ育った京都の魅力を歴史・文化財・史跡を中心にお伝えします!
やっぱり、京都は奥深い。知れば知るほど、味わい深い。このブログを読んで、京都を歩いてみてください!

[主な取材等]
テレビ:NHK「ブラタモリ~京都~」、BS-TBS「高島礼子・日本の古都」、BS日テレ「片岡愛之助の解明!歴史捜査」ほか
新聞・雑誌:小学館「サライ」、朝日新聞、日本経済新聞ほか
見学会:「まいまい京都」ほか

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【新聞から】 文化財の修復に悩む寺社

寺院





「京都の寺社 改修に苦悩」日経2012年9月1日付

改修に入る平等院鳳凰堂
 改修に入る平等院鳳凰堂


 この9月3日から、平等院が改修期間に入りました。それにあわせて、日本経済新聞が改修の資金不足に悩む寺社の実情をレポートしています(京都支局長・瀬崎孝 氏)

 記事によると、現在修復中の主な寺社は、次の通りです。

 ・上賀茂神社(若宮神社)
 ・下鴨神社(橋殿)
 ・金戒光明寺(山門)
 ・知恩院(御影堂)
 ・建仁寺(方丈)
 ・清水寺(朝倉堂・子安塔)
 ・東本願寺(阿弥陀堂)
 ・東寺(東大門)
 ・萬福寺(松隠堂)

 私も、この1年間に上記の寺社を訪れていますが、修理中の囲いや覆いがかかっていましたね。他に、先日レポートしたように、仁和寺の勅使門なども修理工事をしています。

知恩院御影堂 知恩院御影堂

東寺東大門 東寺東大門

 記事は、「檀家や氏子が減った影響で、寺社経営はますます厳しくなっている」という後藤由美子氏(京都古文化保存協会)のコメントを紹介。また、墓地経営や旅行会社に働きかけるなど収入アップに努力する寺院の例をあげています。しかし、「補助金で費用の半分をカバーできても、残りを調達するメドが立たない」と改修自体を先送りにするケースもある、としています。

 なかなか深刻な状況です。文化財建造物の修理には、解体修理・半解体修理・屋根葺き替え・塗装工事などがあります。では、それにいくらくらいの金額がかかるのでしょうか?
 一例として、昭和61年(1986)から平成3年(1991)にかけて実施された知恩院三門(国宝)の半解体修理について紹介します。

 総工費  7億5722万9650円

 その出資の内訳は、

 国庫補助       4億1240万5000円
 京都府補助        1623万円
 京都市補助        1800万円
 所有者(知恩院)他  3億1059万4650円

 でした。20年前でこの金額です。

 最近の事例はどうでしょうか。最大規模の木造建築のひとつ、西本願寺御影堂の半解体修理は平成20年(2008)に竣工しましたが、総事業費は55億7150万円だったそうです。そのうち、国庫補助は33億4283万7000円でした。
 一般に、国の補助は半額ほど、それに加え都道府県・市町村の補助もありますが、所有者の負担は莫大になります。知恩院や西本願寺は信者さんも全国に多数おられるわけですが、それでも資金集めは大変です。

 西本願寺御影堂の修理の際には、「ありがたや親鸞さまの傘となり」というフレーズのもと、多くの方から寄付を募ったそうです。葺き替えた瓦の枚数だけでも、11万5千枚になったといいます。

 日本の文化財建造物の保護は、明治30年(1897)の古社寺保存法から本格的に開始され、100年余りで2000棟を超える修理工事に国庫補助金が投入されました。しかし、修理の必要な建物は多く、近年は近代の建造物も対象になり、負担は増大しています。

 指定文化財は、基本的には取り壊しされるという心配はないものの、このような問題を抱えています。修理に対する社会的関心を高める意味で、信者さん以外にも広く寄付を募るなど、社会的なアピールが必要なのではないでしょうか。



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